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アリッサが泣いた本当の答え

 アルバートルは子供達の憧れであり英雄となった。

 彼の神出鬼没な出現に子供達は大声をあげて逃げまどい、そのうちに七人全員が一か所に集まると、打倒アルバートルに立ち上がったのだ。


 正しくは、用兵術を極めている男によって子供達は気付かないうちに一か所に集められたが正しいだろう。


 彼は自分の思惑通りに一致団結した子供達に討ち倒され、子供達はその勝利に喜びで顔を輝かせて、そして自分達が倒して横たわるアルバートルを全員で介抱し始めるという微笑ましい情景となった。


 俺とリリアナは適当な場所に並んで座って、子供達に囲まれて遊んでやっているアルバートルを眺めていた。

 もちろん、何も知らずに登場したカイユーとフェールが子供達をぐるぐる回して遊ぶ係となり、アルバートルは適当な声をかけて子供達を煽っているだけなのであるが。


「すごいな、あの男は。カイユーやフェールが団長団長って慕うはずだよ。子供の扱いというか、適当なあしらい方が上手すぎる。」


「ふふ、本当に。アリッサはいつだって子ども扱いされるから彼が好きなのよ。でも、私との噂で本当は違うようにも見て欲しいって気が付いてしまった。ああ、今更どうやってアプローチしたらいいの?」


「ああ、それが本当の答えか!」


 俺は自分の顔を両手で覆っていた。


 アリッサが泣いた時に俺はあれこれ言って慰めるのではなく、五歳児が泣いてどうしようもなくなって困るお父さんとして、五歳児のような彼女をただただよしよししてやれば良かっただけだったのか。


「俺は駄目なお父さんだねえ。」


「そう。ダグド様は私達のお父さん。でも、結婚したばかりのダグド様に甘えられないわ。そうだ、アルバートルをダグド様の代りにしてしまおう!ふふ、アリッサは父親代わりに甘えていたアルバートルが近所の素敵なお兄さんだと気が付いてしまったの。」


「ごめん。俺が悪かった。何かあったら昔みたいに、いや何もなくてもいつでも呼び出して。」


「まあ!パパありがとう!」


 リリアナは俺の肩に頭を乗せて、俺は彼女の肩をグッと抱いて引き寄せた。


「君も彼を揶揄う気持ちしかなかったのに、彼を素敵なお兄さんだと認識しちゃって困っちゃったのかな?」

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