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家内工業的完全犯罪

 俺が城に戻り、生首も完全焼却したその後すぐに、魔王な子供が帰ってきた。

 俺が彼の功績に気が付かなかったのは、広間に殺戮があった形跡が全く無かった事もある。

 彼が一人で片付けたにしては綺麗すぎる程なのだ。


「シロロ、詳しく話を聞きたいのだけど、いいかな?」


 俺が声をかけると彼は部屋から飛び出して、嬉しそうにたかたかと足音高く俺の方に向かってきた。

 俺は近くに来た彼をどこかに座らせるよりも自分の腕に抱き上げて、とりあえず彼の頭をよしよしと撫でることにした。

 彼は頑張ったのだ。


「でね、あの敵をどうやって君が仕留めたのか、もう少し詳しく聞きたいんだ。広間でやっつけたにしては広間が綺麗だからね。敵の体をバラバラにしてやっつけたのでしょう。」


「ふふ。バラバラになんかしていません。」


「え、だって、ポータルに釣り糸って。」


「はい!釣り糸に見事にひっかっかったのですよ!朝ご飯をテーブルに並べている時にぶらーんって。大きな鼠が!僕の糸を避けたつもりでも僕の糸は僕の魔法が掛かっていますもの!あいつは糸に足を絡ませて宙吊りになっちゃったの。そこを、えいやって、にろにろが。床に叩きつけられて死んだあいつのせいでちょっと床が汚れちゃいましたが、僕達の行為こそ偉いからいいのよってエレママが片付けてくれました。革袋にもママが入れてくれたの。リリアナに見せたらいいわよって。」


「わぁ、すごい。そうかぁ、止めはにろにろかあ。そして、お片づけはエレか。俺は素晴らしい家族を持って嬉しいよ。そして、家族を守ってくれてありがとう。これはみんなシロロのお陰だね。」


 その素敵な殺戮時に俺はベッドで眠りこけていたのだと自分を反省しながら、何事も無い顔で朝食を囲んでくれた家族に俺への信頼はどうなっているのかな、と少し寂しい気持ちが湧いていた。


 誰も助けてって俺を呼ばなかったんだな、と。


 こんな俺じゃ、シェーラが相談など考えるわけは無いだろう。


「あ、そうだ。ゴミは燃やしましたか?エレママもリリアナ先生も、ダグド様に渡せば片付けてくれるからって。」

「ハハハ。お父さんは生ごみを燃やす焼却炉当番か。」


 一応は仲間に組み込んでもらえた事に喜ぶべきだろうか、まるきり知らせて貰えない存在だと思い込んでいた時よりもなんだか空しく悲しくなっていた。


「ふふ。でも、僕は驚きました。シェイプシフターって頭だけの生物だったのですね。リリアナ先生がシェイプシフターが化けた生き物の見分け方も教えてくれましたから、ダグド領の子供達で化けたシェイプシフターに騙される子供はいないですよ!」


 俺は凄いとシロロを高い高いして彼を褒め称えていたが、内心では相棒ともいえる男を連れてリリアナ先生にご挨拶しなければとげっそりとしていた。

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