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にろにろ姉妹の末路

 透明なアクアリウム的だった大型水槽は、いまやエアレーションで上部がマグマのようにブクブクとしているだけの四角い箱だ。

 水槽の内部は真っ赤な粘液で満たされているかのようなおどろおどろしいものであり、にろにろ姉妹の姿形が見えないという、嫌な想像しか出来ない異物と成り下がってるのである。


 シロロの指先の赤は、にろにろ姉妹の血痕だったのか。


「――やっちゃったんだ。」


「ええ。やりました。クラーケンの大嫌いな赤カブの刑です。」


 どんな刑か知らない俺は、生け簀水槽がどろりとした真っ赤な水色に染まっている様に、にろにろ姉妹はシロロによって生皮を剥かれたに違いないと背筋をぞわっと震わせた。


「誰も君を止めなかったの?」


「僕は悪戯しかしないにろにろの足を切り落とそうとしたのですが、アリッサがクラーケンには赤かぶ攻撃こそだって。怒りを込めて水槽にぶち込めって。」


 俺は心の中でアリッサに最大級の賛辞を与えていたが、魔王に刑の変更をさせる事が出来た彼女の魔法の言葉も知りたいと思ってしまった。


「ええと、アリッサは赤かぶ攻撃が最上な理由を君になんて?」


「ダグド様は飲み水が全て赤さびみたいなビーツ味になったらどう思いますか?体がビーツ色に染まったらどう思いますか?僕はオエってなります。」


「……確かに酷い刑だな。それで、君は許してあげる気持ちなんだよね。ではさ、みんなでお風呂に入って仲直りしようか?」


 シロロはぷいっと顔を背けて頭をがっくりと下げた。


「……僕は久しぶりにダグド様だけがいい。」


 こいつがあざといぐらいに可愛い事を忘れていたと、俺は再びシロロを抱きしめ、彼の望むように久しぶりに父親らしいことをしてやることにした。

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