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転生先が物語分岐の中ボスという微妙な立ち位置だった  作者: 蔵前
ダグドと乙女と押しかけ騎士団
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戦況は一瞬で変わる①

 前述したとおり、俺の城は三重の壁に包囲されているのであるが、一つ目の壁、つまり俺の領地と外界との国境線ともいえる壁の前には軍勢と呼べる敵が陣を敷いていた。

 軍団を率いるのは六人の騎士らしく、彼等は教会の紋章が描かれた胴当てと鉄仮面をつけていた。

 その後ろには白装束の僧兵が百人ばかり。

 ただしここで俺が違和感を抱いたのは、聖騎士軍団の中に紅一点どころか、以前にシロロと俺の広間に押しかけた魔女がいるということだ。


「あれ、純粋な教会の兵に黒魔術の魔女がいるのはなんでだ?」


 勿論、敵が俺の疑問に答えてくれるはずはない。

 しかし、馬鹿正直に門から出て来た俺が彼等の度肝を抜いたのか、下っ端の兵士どころか命令を下すはずの騎士までも全員が全員、兜からむき出しの口を大きく開けて、俺の姿を茫然と見つめているという状況なのだ。


 あれほど人んちの壁に投てきをしていた癖に、家主が門前に現れた途端に戦意を失うとは何たることか。


 俺は憤懣を抱えたまま頼りになるエレノーラに帰ろうかと声を掛けようとして、俺の後ろで俺の乙女達が婚礼衣装のような格好で並んでいた事に気が付いた。


 なにこれ、まさに結婚情報誌の表紙絵じゃないの。


 生贄の娘達、今はもう俺の娘同然の俺の乙女隊であるが、彼女達はエレノーラを筆頭に、スーパーモデルのように美しくもあるのだ。


 真っ黒で真っ直ぐな髪を風になびかせたシェーラは、頬骨が高いところが女戦士のようにも見えるアジア系のたおやかな美女。


 赤毛のモニークは巻き毛のふわふわさんだ。

 生まれたての猫のような水色の瞳に鼻の頭にはそばかすと、本当に可愛らしい天使のような外見なのである。


 一番年下のアリッサはストロベリーブロンドという不思議な髪色だ。

 太陽の元ではピンク色を帯びて輝き、室内照明の元ではアンティックゴールドにと色変わりしてしまうのである。

 顔立ちも全員の中で一番華があると言ってもよく、美しい猫そのものにも例えられる品の良さだ。


 しかしながら、男達の目を引くだろう一番の外見はリリアナだろう。


 蜂蜜色の髪色と紫色の瞳が素晴らしく輝いているからではない。

 遠目ではそんなものは目立ちはしない。

 彼女は誰よりも豊満で、男性だったら夢に見るだろう恵の体をしているのである。


 しかし、外見通りにおっとりさんな彼女は、そんなことを口にしたらおっとりうふふと笑ったまま俺の男性の象徴を潰してくるだろうから、俺は彼女の肉体美を褒めたことは一度も無い。


 そして、この輝ける乙女達の中で、一滴の清涼のようなのがノーラだ。

 アッシュブラウンの髪に緑色がかった琥珀色の瞳を持つ彼女は、静かそうな外見で森の妖精のようでもある。


 彼女達は甲乙つけがたく美しいが、嬉しくない事に俺への恋心をなぜか抱いているらしく、俺への恐怖となっている方々でもある。

 よって俺は彼女達の着飾った姿を美しいと思うよりも、背筋に悪寒が走った方が強く、おどおどと何でも知っているエレノーラに尋ねていた。


「ねぇ、エレノーラ。あの子たちはどうしたの。お嫁さんになるの?」


 俺はピクリともしていないよ!


 どことは言えないけれど!

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