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百戦錬磨よりも怖い無垢①

 カイユーとフェールは素直に会議室を出て行ったが、アルバートルは涼しい顔を崩さずに俺の次の言葉を待っていた。


「どうしたの?」


 彼はくいっと右の眉をあげた。


「俺達の車が消えましたね。」


「格納庫だよ。心配ない。」


「奴らがテレポートできなかったのはなぜですか?以前はあなたもテレポートが使えませんでしたよね。」


 俺はふふっと笑い出した。


「ダグド様。」


「格上の存在による魔法干渉。つまり、前回は深海の魔王様で俺は使い物にならず、今回はシロロ様という陸の暫定魔王の存在が格下の魔法使いの魔法をキャンセルしてしまったってことさ。」


「あぁ、俺達のすぐそばで戦闘中でしたね。彼らは?」


「直ぐ帰って来るでしょう。もうすぐお昼だ。」


「シロロ様はさすが魔王様って事なんですね。彼がいち信徒として教会に紛れ込んでいたという事が信じ難いですよ。その時も教会を潰そうと考えての行動だったのでしょうか。俺はそうは思えないから、彼の過去の行動が本当に不思議です。」


「あの子は人寂しいだけだよ。でも、魔王だ。時々魔王としての破壊活動が必要となる。そして、厄災を呼ぶとコミュニティから追い出される。それだけだよ。君達が遊んでくれるから、あいつは本気で生き生きしている。俺の死どころか、君達の誰が欠けてもあいつは復讐に魔王化するだろう。だから、頼むよ、今回は堪えてくれ。教会を潰す事は出来るだろう。だが、君達の誰かが欠けるかもしれないし、なにより、その後の信者達、教会の暗部を知らない純粋な人達の生活も壊れるんだ。」


 ティターヌはアルバートルの肩を叩くと彼は下着をつけ始め、しかし、アルバートルは肩コリをほぐすように首を大きく回すと、全部なんかするかよ、と天井に向かって呟いた。


「アルバートル?」


 彼は顔を俺に戻すと、口元を皮肉そうに歪めた。


「俺が考えているのはね、暗部の幹部をひとーりかふたーりほど、闇に葬ってしまおうかなってぐらいのささやかなものですけどね。」


「イグナンテス教皇様の暗殺がささやかか。」


 俺達は互いに含み笑いをし、アルバートルはモニターの味方を惨殺し終わったボードウィンに一瞥を与えると下着を手に取った。


「ゴミが残っちまった。片付けてきます。」


 俺は彼に汚れ仕事をさせてしまう事を止められないと観念した時、会議室に女性の悲鳴が響き渡った。


 俺は悲鳴の方へと振り向くと、戸口には昼飯の籠をぶら下げたエレノーラとリリアナとノーラとアリッサが立っていたのである。

最初この話が丁度百話目だったから百戦錬磨と百を入れたのにって話。


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