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ピグミーグール・プロジェクト開始

「お見事です。」

「あ、君にも目を瞑ってもらうのを忘れていたよ。」

「大丈夫ですよ。俺はあなたに惚れ直しこそすれ、脅えたりなどしません。」

 俺はわざとらしく大きく舌打ちの音をさせ、ティターヌはフフフと笑った。


 化け物をくし刺しにした木の根はシュルシュルと地中へと戻っていき、五十六人の遺体は地面に転がって土に還るのを待つだけだ。

 この様子をもモニークに見せたくは無いが、いつまでも目を瞑らせておくわけにはいかないだろう。


「モニーク、いいよ、目を開けても。」

「ダグド、様?」

 モニークの水色の瞳には恐怖が残っており、それは彼女が生贄として捨てられた時に見た目の色と同じものであった。


「悪い子だ。見ていたんだね。」

「でも、あたしはダグド様を好きなままです。」

「あら、俺のせいで血を好む戦士がまた増えた。君に襲われるって俺を脅えさせないように、その檻の中で大人しくしているんだよ。」

「ダグド様ったら。」


 まだ笑うことが出来る状態のモニークにほっとしながら、俺はアルバートル達に意識を切り替えた。

 彼らはモニークの墜落地点から直線距離で十キロ地点まで来ていた。


「アルバートル、おや、運転はエランか。」

「順番ですからね。帰りはイヴォアール様に譲りますよ。俺達は飛行機のお守、でしょうからね。」

「いや、君は見ていて知っているでしょう。モニークと合流したらそのまま領地に帰ってくれ。」


 アルバートルは口元を引き上げた。

「残ってもいいのですけどね。」


「安心して。あの化け物はまだまだうじゃうじゃいるよ。そろそろそっちにも挨拶に行くと思うからね、頑張って。」

「え、守ってくれないんですか?」


「あと五キロ川を下ったらそのまま陸に上がって、それでモニークのところまで走行してくれ。」


「これ、陸を上がれたのですか?」

「そう。露払いはしておいたから行けるでしょう。スカート部分を敵に傷つけられないように気を付けて。そこが破れたら走行不能だ。」


「エラン!イヴォアールに運転を代われ!帰りは俺だ。」


「ひどい団長だな。」

「これくらい好きにできなきゃ、俺は団長になんてなりません。」


 ホバークラフトはそろそろと速度を落として停止すると、運転手の交替が行われた。

 アルバートルはサーチスキルを完璧に磨いているが、動く標的への射撃はそれほど得意ではない。

 反対に、エランはサーチスキルはアルバートルの足元に及ばないが、彼は鷹の目スキルという、何でも撃ち落とせるスキルを持っている。

 そして、二人ともマシンガンのような連射は出来ない。

 俺はここで、マシンガン連射だけの為に何のスキルも磨かない、あのカイユーがいればと思ってしまった。

 いや、ガトリングを持つティターヌこそエランの代りに乗せるべきだったのだろうか。


「ダグド様。今回の人選は間違っていませんよ。」

「ありがとう。アルバートル。」


「こういうハンデありの縛りプレイって、経験値を上げるいい機会なんですよ。」


「悪かったよ。俺は人選に二度と口を出さねぇよ!」

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