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俺は中ボスでしかない

「うわあああああ!」

 俺は叫ぶしかない。


 俺の防御が破られて、敵に攻撃を受けたまでは仕方が無い。


 俺はこの世界では物語前半の終了となる中ボスでしかなく、それゆえに、後半開始後の中ボスがいれば、それは確実に俺よりも上位のボスと言えるのである。


 つまり、俺の魔法も防御力も彼らには完全に子供の遊びでしかない。


 そのように断言できるのは、俺の育てている子供がラスボス様だからだ。


 彼の魔法力は確実に俺よりも上で、防御力など絶対防御という完璧さだ。


 俺の前世が友人と作ったゲーム世界に酷似したこの世界でもあるが、絶対防御力のあるチートな魔王という存在は、この世界どころかゲームシステム自体を確実に壊していたと俺は最近考える。

 魔王こそ友人が作り出したキャラクターでもあるが、友人はプレイヤー達にどうやって魔王を斃させるつもりだったのだろうかと。


「って、魔王様だ!魔王様!シロロ、シロロ!」


 俺は本気で慌てていた。

 なぜならば、西の森に機体が落ちたところまでは俺には見えたが、その先が俺には全く見通せなくなったのである。

 俺は部屋から飛び出すと、俺の部屋と同じフロアだが、廊下を五十メートル走は必要な先にある魔王様の部屋へと駆け出した。


 早い話、フロアの端と端だ。


 これは俺とシロロが仲が悪いからではなく、彼を迎えたばかりの俺は小さな子供の世話に尻込みをしていたために、出来る限り自分の部屋と離れた部屋を彼に与えたというだけである。


 しかし、城の住居部分の間取りとして考えると、城主の部屋と奥方様の部屋となるはずのものだった。


 つまり、俺の部屋が城主様の部屋で、シロロが奥方様、ということだ。


 俺は面倒なものをしょい込んだと思いながらも、小さな子供が泣くのが怖いと二番目に良い部屋を与えていたという、自我の混沌をも引き起こしていたらしい。


「ちくしょう。遠すぎだぜ。」


 俺は大きく息を吐くと、シロロの部屋のドアをノックもせずに開け放った。


 今は一大事だ。

 俺が見守っていたはずの飛行機が落ちたのだ。


「シロロ!」


「きゃあ、あの、ダグド様!」


 小麦色の肌に空のような青い瞳、そしてひまわりのように輝く金髪を持つゴージャスな美女がベッドから飛び起きると、その女神のような豊満な体をシーツで隠した。


 俺はシロロのベッドに俺のストーカーまでも入っていたと知り、数分前のモニークの危機が消えてしまうくらいに、頭が真っ白になっていた。


 きっと、シロロの髪の毛のように、俺の髪の毛も真っ白になっている筈だ。

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