5, 面倒な事
名前変更してます。
うん、聞き間違えかな。
「あの、すみません。聞き間違えたようで、自己紹介って聞こえたんですけど…?」
あくまで、聞き間違い。そう、主張したにも関わらず、その先輩はにこらかに、
「うん、そう言ったよ?」
と、ぬかしやがった。
え、自己紹介いる?いらないでしょ。なんで、こんな絶対、ぜっっったいに、関わらない方がいい方々に自己紹介しないといけないのさ。
「じゃあ、僕からね。僕は……、」
あ、始めやがった。ちらりと零夜に視線を向けた。すると、彼は諦めろ、と言うように首を横に振った。
はぁ、とため息をついて、仕方なくその先輩の自己紹介を聞く。聞かなかったら聞かなかったで何か言われそうだ。
で、さっきから話している腹にイチモツ抱えてそうな先輩が、副会長補佐の城之内 慎羅。
その正面にいる、女の先輩は副会長の咲宮 結希。真っ直ぐな綺麗な黒髪が彼女が動くたびにさらりと揺れ、手入れが行き届いているのがわかる。可愛いと言うより、美人に近い。瞳はグレーかかっており、目を細めてにこりとこちらに向けて放った笑顔には殺傷力があった。
美人の笑顔、こわい。心臓発作で死にそう。
で、その隣に座ってるのが同じ1年らしい、書記の隠栄 郁。高校生にしては少し身長が…、小柄な体型。ふわっとした赤茶の髪がさらに彼を幼く見せているようだ。
うん、これこそ、"かわいい"だな。
その後、会計として零夜が適当に紹介され、最後。
「どうも、はじめまして。生徒会長の神風 愁です。」
にこりと、相も変わらず感情のない笑みを生徒会長は浮かべた。
あっちもよろしくする気はなさそうだな。まあ、少なくとも……。
「次はキミね、竜道君。」
城之内 慎羅に促されて、ため息を飲み込んで口を開いた。
「今日、転入した、竜道 涙です。」
それを言い切り、口をつぐむ。
ぱちりと目を瞬かしたのは、ほぼ全員と言える。
「え、もっと、ないの?なんか、家のこととか、今までのこととかさぁ?」
馬鹿でしょ、そんなの。なんで、そこまで仲良くない人にそんな話する必要が?
とは言わず、少し考えたフリをし、苦笑して、
「残念ながら。」
と、答えた。
この時はこれが最前と思っていた返答だった。
しかし、ここは白狼学園。平穏へと繋がるはずだったこの返答が、彼らの興味を引いたのである。
登場人物
生徒会役員
神風 愁
生徒会長、高2。
咲宮 結希
副会長、高2。
城之内 慎羅
副会長補佐、高2。
隠栄 郁
書記、高1。
日早貴 零夜
会計、高1。