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4, 生徒会へ

といっても、別に男装趣味があるわけではない。個人的な理由ももちろんあるのだが、この学校、制服の指定がないのだ。つまり、男子が男子制服を着ろとは言われていないのである。動きやすさもあって、涙は男子制服を選んだというわけだ。で、どうせなら、と髪型やらも男っぽくしたら、思った以上に男っぽくなって少し達成感がある。


…絶対にバレないという自信はある。別にばれたって問題はない、ただ、少々面倒くさいというだけで。


考え事に集中していたせいで、零夜が足を止めたのに気付かずドンとぶつかってしまった。


「着いたぞ。」


着いたって、どこに…。


ぶつけた鼻をさすりつつ、彼の前にあるドアを見る。


あれ、生徒会って書いてあるような…?


「え、お前、役員なの?」


「あぁ、そう、だけど、聞くとこ違うくね?」


首を傾げて聞いた涙に、彼も同じように首を傾けた。うん?あぁ。


「なんで、生徒会??」


そう言えば、彼は、なんだか2重のハテナに聞こえた…、と顔を覆っている。


「まあ、ちょっと話があるんだと。」


そう言ってドアに手をかけた。


なんだか嫌な、というより面倒くさそうな予感がする。


「あー、零夜?俺さ、ちょっと用事が…。」


くるりと体の向きを変えようと思えば、ガシリと肩を掴まれた。


「んなわけないよな、転校初日に用事ってなんだよ。ほら、行くぞ。」


さすがに男の力に敵うはずもなく、ズルズルと引きずられて中へと連れて行かれた。


ガチャリ、とドアの音が虚しく響く。少し不貞腐れながらも、キチンと正立し、入った部屋をぐるりと見る。


うん、やっぱ、金持ちだな。こんな設備普通ないぞ。


生徒会室にしては、派手、というより豪華な調度品。中央に置かれているテーブルやイスはきっと名高い作り手のものだろう。さらに、どこの貴族の休憩だよ、というようなテーブル中央にのった紅茶や様々なお菓子。


そのテーブルの中央に座っている人物が生徒会長だろう。白銀の髪に黄金の瞳。悠然とくつろぎカップを口に運ぶ仕草は洗練されている。


カチャリとカップが置かれ、涙を見てにこりと微笑んだ。


…嫌な笑い方だった。


なんか、こう、作ったような笑い方。なんだろ、好きでもない相手からの好意的な笑み?みたいな感じ。


表情には出さないが、わりと初対面にしては失礼なことを心の中で愚痴る。そして、その笑みが合図かのように役員の一人が口を開けた。


「わざわざ申し訳ないね、竜道君。」


ふわりと申し訳なさそうに、こちらを気遣うように微笑む。


あぁ、この人はちゃんと感情がのってる。とはいえ、優しそうなのかと問われるとそうとは思えない。食えないタイプだとおもう。計算高そうな、かといって、初対面で警戒心を持たせない人。ダークブラウンっぽい髪色もそんな彼の柔らかそうな印象を加速させている気がする。ネクタイの色からして、先輩のようだ。


まあ、さすが、ここの生徒会に君臨するだけはある、か。油断出来る相手ではなさそうだ。


気を引き締めて、次の言葉を待つ。


「うん、まあ、とりあえず自己紹介から入ろうか。」


にこやかにそう言われた。


はい?



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