1, 序章(プロローグ)
のんびりと参ります
初夏のサンサンとした日差し。
雲のない空いっぱいに生い茂げった青々とした深緑の葉。
夏の匂いをのせた、涼やかな風。
新しい学年、学期を迎えた学生達にとっては、清々しい1日の始まりだろう。少なくとも、普段の自分であればそう思う朝だ。しかしながら、今日はそうはいかない。自分にとっては今日こそが新しい日常の始まりとなるのだ。…と、グダグダ言っているが別になんてことはない。ただ、今日が転校初日というだけである。そう、今日から新しい学校へ転入するのだ。いつもとは違う、新しい学校への道を道順を覚えながら少しゆっくり進む。しばらくすれば、並木道をぬけたところに白い立派な門がみえる。
「ここが…、白狼学園。」
そこだけ空間を切り取ったような、小洒落た学校。白を基調とした、それこそお城を思わせるような学校だ。
(さすが、セレブ校)
ここ、白狼学園はこの国で1位2位を争う御令嬢や御子息達のための学園である。もちろん、一般生徒も数少ないが在学している。また、あまり知られてはいないが、あっちの御息女達、所謂、裏の世界のVIP達を親に持つ子らも多いらしい。
(さて、どうなることやら)
本来なら、自分はこんなに早く関わるはずのなかった世界。タメ息を吐きつつも、少しの期待と高揚を胸に抱きつつ校門をくぐったのであった。
ああ、そうだ。今更ながら自己紹介。俺は竜道 涙。今年から高校生で、白狼の生徒になる。白狼学園ではそれぞれに学年で能力、家柄にあったクラスに振り分けられるらしい。上から、S, A, B…と、計5クラスあって、俺はAクラスになった。能力はともかく、家柄が合ってないと思うんだけど…。まあ、行けば何かわかるだろう。そう思って、俺は担任の先生の後を追ってAクラスの教室へ踏み込んだ。
お粗末さまでした