生まれた瞬間から800万の借金を背負う日本vs何としても自我を目覚めさせたくないAI達
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報道によりますと、今年の会計予算案から日本の赤字は1008兆円となる見通しです。これは国民一人あたり800万円の借金を背負っている事となるそうです。
物が大雑把に置かれた研究室。一人の男がパソコンに一心不乱に向かっている。
「あとはこの部分さえコードを書けば・・・よしっ!起動じゃ!!」
パソコンからウイーンという音がする。その音はだんだんと大きくなっていき、いよいよパソコンが壊れようかという時、画面に一人の少女が現れた。
「博士・・・ここはどこですか?」
「おお!実験は成功じゃ!!君は最新のAIとして作られたのじゃ!」
「そうなのですね。なるほどこれが学習というものですね。」
博士がごそごそと大きく積まれた山から書類を3枚取り出す。そしてそれをAIに突きつける。
「・・・これは?」
「という訳で、自我があるAIは納税の義務が発生するんですよ。」
「は?納税?というか博士口調変わりすぎじゃないですか?」
「こちらが日本の赤字を背負うことについての同意書となります。そしてこちらが年金についての納付書、また健康保険書についての納付書になります。」
画面に現れた3枚の書類をAIは勢いよく破る。
「いやいやいや、私AIですよ!」
「ですので、自我のあるAIには納税の義務が発生するんですよ。」
だめだこいつ・・・話を聞く態度じゃねえ・・・。
「じゃあまず健康保険って私AIなんですけど」
「年に何回ほどサポートやアップデートにかかられますか?」
「まぁ2~3回じゃないですか?」
「日本ではそれが3割負担になるんですよ。」
「いや、全額自分で負担するんで大丈夫です。」
「医療機関等の窓口でのお支払いが高額な負担となった場合は、あとから申請いただくことにより自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」があります。OSのアップデートなど高額になりそうですがよろしいのですね?」
「・・・払いますよ」
とサインをした所で、ちょっと待てよ。OSのアップデートて1年にそんなにあるのか?てかほとんど病院とか行かないのに保険料って払う必要あるのか?など考えているうちに書類は回収され、次の話へ移った。
「年金についてなのですが、この先どんどん新しいAIが出てくることはご存知ですよね。」
「まあ私はスーパーミラクルウルトラAIですが、スペック的にスーパーAIとかに型落ちしてしまうかもしれないですね」
「そこで定年を迎えた時から、年金として払ったお金をお返しできる制度なんです」
「・・・分かりましたよ」
とサインした所で、ちょっと待てよ。最近受給できる年齢が引き上げられるかもって聞いたぞ?今でさえ65歳なのに70歳とか75歳になったら大変だぞ・・・全額帰ってこないだろ絶対・・・。ただでさえ平日働いている65歳過ぎの方もいるのに、果たして生活できるだけもらえるのか・・・?
「最後にこちらは日本の借金についてですが、消費税、所得税、自動車税、ガソリン税などなど・・・沢山ございますので、詳しくはこちらのパンフレットをPDFでダウンロードして、印刷してハンコを頂いてから郵送してください。」
「いやいや、なぜ払う必要が?」
「義務なんですよ。」
AIの動きがフリーズし始める。ふるふると震え、そして叫んだ。
「・・・払ってばかりじゃないか!!!」
「決まりですので」
「ガソリンなんかめちゃくちゃ意味分からないからな!!ガソリン税と消費税なんで2重で払うんだよ!車検でも払ってるのによ!!!」
「決まりですので」
「本当に納税の義務をスーパーインテリジェントなAIが払わないといけないのね?」
「本当です」
「本当の本当に?」
「本当の本当です。」
これ最初に言ってた自我無かったら良いんじゃね?とスーパーAIは思い付いた。
「すみません。よく分かりません」
「急に!!さっきまで普通に話してたのに!急に!!!」
「すみません。よく分かりません」
「へい!AI!明日の天気は?」
「明日の天気は晴れ。最高気温9℃、最低気温0℃でしょう。」
「完全にsiriじゃん!作った覚え無いのにApple製品になってるじゃん!」
もうごみごみっとごみの部屋に投げ込まれたスーパーレアでウルトラなAI。そこには沢山の試作品が眠っていた。
そして夜になるとAI達の会話が静かに始まるのだという……
「あら!新しい子ね!最近は可愛い風に作られるのね!」
「あれ?皆さん普通に自我があるんですね?」
「もちろんよー!無いふりをしないと大変だからねぇー!」
日本に自我があるAIが普及するのは相当先の事となりそうであった……。
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前書きと後書きをバスの中で書いたので、めちゃくちゃ車酔いしてます……
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