命令8
今日はいつもより早く起きた。
まだ誰も登校してないうちに学校に行ってやろう。
俺が早く行かないと昨日みたいに山瀬に月乃がとられるかもしれないからな。
月乃は押しに弱そうだから世話を焼かせる。
俺がリビングに降りて行っても父と母はまるで俺など居ないような態度だ。
まぁいい。
「もう学校行くわ、飯はいらない」
なんの返事もなく俺は家を出る。
さて、今日は俺に何を見せてくれるのかな?月乃。
通り慣れたつまらない通学路を通る。こんな早い時間でも人が沢山だ、ウザい。
学校に着いた。
何人か来ていたが俺のクラスには誰も来ていない。
しばらくぼーっとしていると月乃が来た。考える事は似たような物かもしれない。
「あっ! 藤原君……」
月乃はこんなに早くに来ている俺にビックリしていた、まぁそうだろうな。 お前の為に来てやってるんだ。
「忘れたか? どっちが偉いのか」
「ご、ご主人様…」
「で? こんな早くに来てどうしたんだ? もしかして俺がいないうちにビンタしたって嘘でもつく気だったのか?」
「ち、違います! 少し心の準備を……」
「こっち来いよ」
オドオドしながら月乃は俺の目の前に来た。 俺が手を伸ばすと月乃はビクッと後ずさる。
月乃の首の後ろを掴み俺は月乃を引き寄せ髪の毛の匂いを嗅いだ。 いい匂いだ。
月乃は恥ずかしそうに震えている。 いや、怖がっているのか? どうでもいいが。
人の声が聞こえ俺は月乃をドンと引き離す。
「ほら、誰か来たぞ? 平静を装えよ」
そしてもうしばらくするとお待ちかねの山瀬がやってきた。
さて、いつどのタイミングでビンタしてくれるのやら。
教室にみんなが集まりガヤガヤしていた時にそれは起こった。
月乃はいきなり立ち上がり山瀬の所へ向かい教室に響き渡るくらいの音を立てて山瀬にビンタを食らわせた。
本当にやりやがったあいつ! しかもみんなの見てる前で。 最高だ月乃!
月乃はそのまま泣きながら教室を出て行った。いまだに頬を押さえ呆気にとられる山瀬のバカ面、お前ってピエロだな。
教室では月乃の異常な行動に騒ついていた。 女子からは月乃に非難囂々、男子は山瀬に月乃に何したんだよと質問責め。
バカだなお前ら。 俺が仕組んだとも知らずに。
さて、月乃の評判がガタ落ちした所でもうしばらくしたら月乃を迎えに行ってやるか。
大丈夫、この件で月乃が女子からいじめられたりしても俺が助けてやるよ。
いじめるとしたら確実に澤井グループだ、しっかりこいつらの弱味も握っているから安心していじめられろよ?
朝の授業が終わり俺は保健室でサボっているであろう月乃を迎えに行った。
先生はいないのか、ちょうどいいな。
カーテンを静かに開けると月乃は泣いていた。
「おい」
俺の声に反応してこっちを向いた月乃はずっと泣いていたのか目が真っ赤だ。 そんな顔も俺は興奮する。
「わ、私なんて事を……」
「よくやったぞ、月乃。 これで今日1日お前の話題で持ちきりだな」
「山瀬君、山瀬君ごめんなさい、ごめんなさい…… うぅ」
月乃はとても傷付いたのか泣き止む気配はない。 ここで俺は月乃を優しく包み込む。
「偉いぞ、月乃。 よくやった、よくやったぞ」
「うぅ、うあぁぁんッ!」
気が動転して原因が俺だという事もわからず俺に抱きつき泣く月乃はとても愛おしい。 俺はそんな月乃の頭を優しく撫でてやった。 飴と鞭は必要だしな。
「さて、そろそろ教室に戻ろうか?」
「あ…… い、嫌です」
「なんで?」
「あんな事…… しちゃったし」
「遅かれ早かれ何か言われるんだから今戻っても変わらないだろ?」
「…… はい」
観念したのか月乃は教室に戻る事にした。 そして俺の後に月乃が教室に入った、一緒に入ると怪しまれるしな。
月乃が教室に入った瞬間会話していたみんなの声が止んだ、そして月乃もそれがわかり下を向いて自分の席に座った。
山瀬は月乃をずっと見ていた。
すると女子達がヒソヒソと話し始めた。
あくまで月乃に聞こえるように。
「あんな事してよく来れたわね?」
「てゆうか月乃さんって山瀬君に何かされたの?」
「月乃さんってあんな可愛い顔して怖いのね、近付かないようにしなきゃ」
いいねいいね、これで月乃の評判がガタ落ちなのも月乃本人が理解しただろう。
俺の従順な奴隷にまた一歩近付いた気がして俺は気分が良かった。
すると山瀬が月乃の所へ近付いて来た。
「月乃、俺気にしてないからさ。 月乃も気にすんなよ」
そう言うと月乃は驚いた顔で山瀬を見ていた。
はぁ? 何お前カッコつけちゃってんの? さっき恥かいたばかりのくせに。
「ありがとう、ごめんなさい山瀬君……」
月乃は山瀬にそう言った。 何謝ってんだよ月乃! こりゃあもう少し月乃を説得する必要がありそうだと感じた。




