命令7
放課後になりさっきの事をこってり絞り月乃に再認識させる必要があると感じた俺は目の前の土下座をしている月乃に足を乗せて考えた。
ここまで俺は手駒を増やせるとは内心思っていなかったので棚ぼただ。
澤井も写真をネタに脅せる、もとあと言えばあいつが俺の月乃にけしかけたんだからな。
そして今日また新たな手駒を手に入れた。山瀬だ、あいつが月乃を押し倒した写真もバッチリ撮れた。
これをネタにあいつらを脅す? いや、そんな事はしない。 なんせ管理が難しくなるからだ、人によって考えが違う。
月乃は幸い従順なタイプだ。 それに比べて澤井たちはどうだかな。 まぁ保険として使えるな。ビビることは間違いないだろう。
山瀬は…… こいつは月乃を俺から引き裂くかもしれない。 あいつは結構イケメンの部類だ、月乃も何かある度に優しくされたらあいつになびかねかねない、だから1番効果的な時に山瀬の写真は取っておくか。
とりあえず俺の最大目標は月乃だ。 月乃が俺の手中に収まっているうちは山瀬のような悪い虫はあまり近付けない方がいいだろう、洗脳とは対象に俺以外に頼りになる人間を与えてはいけないのだ。
ククク、俺はこいつを洗脳したいのか?
いや、愛してもらうさ。 心から。
頭に乗せていた足を離してやると静かに月乃はこちらを見つめる。
「あ、あの……」
月乃は困った顔で俺を見つめる。
月乃が今俺に、俺だけにこんな表情をして見つめている。大してイケメンでもない俺が月乃を好きにできる、堪らない。
俺の機嫌を損ねないか何やら心配そうな目線を送る月乃の顎を摘んだ。
困らせてやろう。
「ご主人様の好きな所を3つあげてみろ」
「え!? えと、その……」
「あ? 何を言い淀んでいるんだ? もしかして好きな所はないってか?」
「いえ…… あ! 私を気にかけてくださる所です」
やっと絞り出した感満載の答えだ。
「へぇ? あと2つは?」
「……か…」
「あ?」
「か、かっこ…… カッコいい所です」
こいつ…… 言うに事欠いて俺をカッコいいだと!? まぁ月乃にそう言われるのは悪い気はしないが。
「あとは?」
「わ、私をす、好きでいる所? ですか?」
よし、終了。 全部本心ではないな。 それにしても月乃にこんなに意地悪になれる俺はつくづく性格が悪いな。
「お前は俺の事が好きか?」
「……はい」
「嘘をつくのが下手だなぁ、月乃は」
「いえ、そんな事は……」
月乃を抱き起こし俺は月乃の腰に手を回した。
「ひゃあッ!」
月乃は驚くが別に俺は月乃をどうこうしようなんて気持ちはない。
無理矢理犯してしまうのは簡単だろう。だけど月乃には綺麗でいてもらいたいからな。
「今日は俺に付き合え、帰るぞ」
そして俺は月乃を付き従え帰り道にコンビニに寄る。
親はどうせ遅くまで帰ってこないので夕飯を買う。 帰ってきた所で俺は邪険にされるだけだからな。
「あの……」
「なんだよ?」
「夕飯ですか? それ……」
「それ以外何かあるか?」
「ご両親とかは?」
「いいかい? 月乃みたいに恵まれた環境で育つ奴ばかりじゃないんだ、月乃には一生わからないね」
まぁわからなくていい。月乃は優しい奴だからな。 幸せな家庭で育ったんだろう、じゃなきゃこんな俺に利用されるような奴になんてならないからな。
その月乃を俺の側に引き寄せてやる。俺が月乃を再教育してやらなきゃな。
「余計な事を聞いてすみませんでした」
ほらな、こういう奴だ。 俺に散々コケにされて余計な事を聞いたと思ってバツの悪そうな顔をしている。
心配するな、そんな風に思えなくなるほど辱めてやるよ。俺は心の中でそう呟き会計に進んだ。
「あ、そうそう。 今度は月乃に何してもらうか考えてたんだ」
「え?!」
途端に月乃が怯え始める。
いいね、やっぱり……
「明日山瀬の奴にビンタしろ」
「そ、そんな…… それだけは許して下さい!」
「俺の事が好きだって言ったろ? なのに山瀬とあんな事しておいて。 俺が好きだったら出来るはずだろ? それともあの言葉は嘘だったのか? もしそうだったらどうなるかわかるよね?」
「…………」
月乃は何も言わないがこいつは明日山瀬にビンタするだろう。
「じゃあもう帰っていいよ、また明日」
そうして月乃はその場に立ち尽くし俺がいなくなるまでずっとそこにいた。
ククク、明日山瀬の顔が見ものだな。
山瀬にビンタをすれば月乃は罪悪感でいっぱいになるだろう、そこにまたつけ込む隙が出来る。待ってろよ月乃、ククク。