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命令6


最初に異変に気付いたのは月乃が変な言葉遣いをしている時だった。

月乃はあんな事するような奴じゃない。


俺は月乃をずっと見てきたからわかる。

ずっと見てきたと言っても1年の頃からの話でそんな食いつくように見ていたわけじゃないが。


俺は月乃に気があった。 好きなんだが月乃は告白されても今は付き合うとか考えてないって言って断っているらしい。


だから俺は月乃には敢えて告白しない。

気まずくなるのは嫌だからな。

2年も同じクラスになれてラッキーだと思った。


そして少し経った頃月乃は様子がおかしくなった。いきなり猫キャラを演じ出した。 それと澤井ともあまり仲良くないらしい。


だけどあまりいい噂を聞かない澤井らと仲良くても嫌なのでそれはいいが。

俺は月乃が気になり月乃に問いかけたがまだ猫キャラしていた。

そこになんの意味があるのか全然わからなかった。


そして次の日の朝も月乃に問いかけるが言葉遣いは普通に戻っていたのである意味安心した。


そして悩みがあるなら相談すると言った、少しでも月乃の力になりたい。そして出来たら俺の事を好きになってもらいたいという気持ちもあったからだ。


そう、そして目論見は見事に失敗した。

月乃に呼び出されたのだ。 俺は少し期待していたんだ。 相談事を俺に話してくれるのではないかと。だが……


「あなたの事が嫌いなの、大っ嫌い」


月乃にそう言われて頭が一瞬真っ白になった。 嘘だろ!? 俺嫌われるような事何もしてないぞ……


俺が呼び止める暇もなく月乃は走り去ってしまった。

わけがわからない、少なくても月乃はそんな奴じゃない。


俺が教室に戻ると周りの奴らから告白されたのか? なんて言われたがそれどころじゃない。


月乃を見ると机に突っ伏して泣いているように見えた。 やっぱり本心じゃないのかもしれない。


その後授業が始まり俺は月乃を見ると月乃も気にしていたのか俺の事を見ていた。


目が合うとすぐ逸らされてしまうのだがやっぱり何かおかしい感じがした。

昼休みになったら月乃にもう一回聞いてみよう。


昼休みになり月乃は女子のグループといつも食べていたのだが消えてしまった。

俺は月乃が行きそうな場所を探し屋上へと最後に足を向けた。


屋上のドアを開け隅の辺りを見ると月乃はいた。 だが誰かと一緒にいるようだ。


…… あれって藤原か? なんであいつと一緒にいるんだ? しかも何故か距離が近い肩同士が当たっている。


俺は気になり月乃のもとに向かった。


「月乃、何やってんだ?」


「あ! 山瀬君……」


「山瀬こそどうしたんだ?」


「月乃と藤原ってなんなの? もしかして付き合ってんの?」


俺がそう言うと藤原はニヤリと笑い月乃の肩を寄せた。


「きゃっ!」


「そうだよ? 俺たちそういう関係なんだ」


勝ち誇った顔で俺にそう言ってくるが月乃はとても嫌そうな顔をしていた。やっぱり何かあるんだな。


俺は藤原から月乃を引き剥がし月乃の腕を掴んで屋上から出ていた。 そして月乃を人気のいなそうな場所に連れて行った。


「離して! ねぇ山瀬君」


「月乃、お前変だぞ? なんで藤原となんかと一緒にいたんだ?」


「それは……」


「藤原になんかされたのか?」


「…………」


「じゃあさ、藤原と付き合ってんの?」


「………うん」


「嘘だろ? 付き合ってるなら月乃あんな嫌そうな顔しないもんな」


「………」


「なぁ、何があったか言ってみろよ? 相談に乗るって言っただろ?」


「ごめんなさい、山瀬君には言えない……」


「なんで?」


「言ったって解決できないから……」


そう言った途端月乃は逃げようとしたので俺は月乃の腕を掴んだがかなり月乃が強引に引き離そうとしたので俺と月乃はバランスを崩して俺と一緒に倒れてしまった。


月乃が俺に腕を掴まれて俺の下に倒れる。ヤバい、この状態。押し倒したような感じになってしまった……


月乃も目を丸くさせ俺とキス出来そうな距離くらい近い。


「山瀬君、どいて!」


月乃は力一杯俺から離れようとしたが今度は俺もそれなりの力で押さえつけているのでビクともしない。


「じゃあ何があったのか言ってくれよ、俺月乃の事……」


「やっと見つけた。 何してんの? 俺の月乃に」


藤原声が聞こえた。顔を上げると藤原が俺を睨みつけていた。

俺の力がそれで一瞬緩み月乃は俺から離れた。


だが藤原もとに行くわけでもなく俺と藤原の中間の距離に身を置いた。


「おい、月乃。 山瀬と何してたんだ?」


「…… 何も」


「そうか、じゃあ戻るぞ?」


そう言い藤原と月乃はどこかへ消えてしまった。

藤原に何かされた事は間違いない、でも一体何をされたんだよ!?

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