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命令3


私は出来るだけ授業中目立たなくしていた、その行為に意味あるのかと聞かれると微妙だけど。


席順に次々と指名が来る。

今は歴史の授業、どうにか私に順番が回ってこないように祈るが虚しく私の番が来てしまった。


藤原君の席に目をやると藤原君はニヤリと笑い私の答えを待っていた。


「どうした?月乃、わからないのか?」


「あ、えとホモ・サピエンスですにゃ……」


あまりに恥ずかしくて最後の方は消え入りそうな声だった。


「あ?」


先生の疑問符に生徒の目も一気に私を見つめる。


「月乃ー! もっかい言ってみろ」


先生が追い打ちをかける。


「ホ、ホモ・サピエンスですにゃ!」


「ハハハッ、さっきからなんだよそれ!?」


「おい、大丈夫か? 月乃」


「あははッ、月乃さんってそういうキャラだったの〜?」


みんなから大笑いと一部からは痛い奴を見る目で見られ私は背中にジワリと汗が滲むのを感じた。


「あ〜、お前ら静かにしろ、もういい。月乃、座れ」



私は泣きそうになったがなんとか我慢して席に着いた。悔しい悔しい悔しい悔しい!!


たった1時間授業を受けてこれだ…… 今日どうやって過ごせばいいんだろう?

藤原君は私を見て肩を震わせ笑いを堪えたいる。


許せない! 人に恥ずかしい思いをさせておいて…… でも逆らえない。


その後の授業でも……


「月乃さん、これの答えは?」


「答えは≧4ですにゃ」


「まぁた言ってるよ〜」


ゲラゲラと笑いが起こる中一部の女子は私が調子に乗っているんじゃないかと怪訝な目を向ける者もいる。 澤井さんとか……


そして休み時間になると……


「美穂、あんた男ウケ狙ってあんなふざけた言葉遣いしてんの? マジキモいんだけど」


私だって言ってて気持ち悪いもん、ていうか話しかけてこないで! 藤原君に目をやるとしっかりこちらを監視している。


「何黙ってんのよ!? シカト?」


「ごめんなさいにゃ、今は話したくないんだにゃ……」


死にたい、穴があったら入りたい。


「うわー、マジドン引きだわ…… そこまでしてそんなキャラ作ってんの? 」


知らないよ! 私だって今すぐやめたいよ、こんなキモい言葉遣い。


昼休みになり普段は女子のグループで食べている私は足早に1人になれる場所まで移動した。


ダメだ、昼休みなんて長すぎる、この状態じゃ拷問だよ!

屋上まで走りドアを開けた。


よかった、誰もいない。 ここなら安心して食べれる……

と思った矢先屋上のドアがまた開いた。


「ふ、藤原君……」


「は?」


「ご、ご主人様!」


「ふん、まぁいいか。 それで? なんでみんなと食べないで逃げたのかな?」


「そ、それは……」


「まさか猫キャラがしたくないから逃げたなんて言わないだろうね?」


「違います!」


「もう忘れたの?」


「ち、違いますにゃ」


「あはははっ! 超ウケる、必死な分マジで間抜け」


お腹を押さえて藤原君は大笑いをしている。 他人事だと思って…… 今日午前中だけで私がどう思われたか藤原君わかってるの?


「ご主人様、この言葉遣いやめてもよろしですかにゃ?」


「ダメだよ、今日1日俺が満足するまでそれでいてもらう」


「そ、そんにゃ……」


「あははッ! だからウケるって」


ふ、ふざけんなよ! と私は思ったがそんな事言ったら今度はどんな罰が下るのか恐ろしいので心の中に止める。


「さて、2人きりだし俺もここで食べようかな」


しまった、みんなと一緒も嫌だけど藤原君と2人はもっと嫌だ……


「じゃあ月乃の弁当俺にちょうだい? 俺のは月乃にあげるからさ」


「わかりましたにゃ」


私が語尾ににゃをつける度にいちいち藤原君は笑いそうになるのがまたムカつく。


「ほら、食べさせろよ」


藤原君は私の膝に頭を乗せて口を開けた。 なんで好きでもないこんな奴に膝に頭を乗っけられてこんな事をしなくちゃいけないのだろう……


「早くしろよ、ご主人様、アーンしてにゃってちゃんと言うんだぞ?」


「……ご主人様、アーンしてにゃ」


そして藤原君は口を開け私のおかずを頬張った。


「うーん、美味しいな。 月乃が作ってんの?」


「はいにゃ」


「お前俺を笑い死にさせる気かよ」


あんたがやらせてるんでしょ!?


「月乃は下から見ても美人だなぁ」


「そ、そんな事ないですにゃ」


「それにいい匂いするなぁ」


膝枕している私のお腹に顔を疼くめそう言った。 何してんのこの人!?


「きゃあっ!」


私は咄嗟に後退りしてしまい私の膝から藤原君の頭が落ちてしまった。


「いったぁ〜」


「あ…… 申し訳ございませんにゃ! 怪我とかしてませんかにゃ?」


「じゃあ罰として俺の頭を月乃の腹に抱いてぶつけた所摩れよ」


なんて気持ち悪い事を考えるんだろう藤原君って……

でも断れないのでやるしかない。


藤原君がまた私のお腹に顔を埋めた。そしてぶつけたであろう所を優しく撫でた。


「こんな時は痛いの痛いの飛んでけだろ?」


「痛いの痛いの飛んでくにゃ〜!」


私は自分のしているこの行為に鳥肌が全身に立つのを感じた。

結局私のお弁当は全部藤原君が食べ私はなんやかんやでお弁当を食べる時間さえなくしてしまった。


これから毎日これなの? 私が一体何したって言うのよ!!




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