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命令2


メイド兼奴隷宣告を受けた私はとりあえず帰らされる事になった。


「とりあえず今日はこれくらいで帰っていいよ」


「え? 」


「なんだい? 」


「あの、その写真は……」


「ああ、これかい?」


私の目の前で写真をヒラヒラ振り回す。


「欲しいのかい?」


「はい」


「ほら」


そうして彼は私の目の前に写真を投げ捨てた。 私は急いでその写真を拾う。

これで!


「言っとくけどこんな写真たくさんコピーあるからね? 」


「へっ?」


「当たり前だろ? 気が動転してそんな事もわからないのかい?」


「私を脅してるの?」


すると突然私は藤原君に押し倒されて肩を踏まれた。


「あうっ!」


「ご主人様だろう? え?」


「ご、ご主人様ッ!」


「俺と2人きりでいる時はいつでもそうしてろよ? 俺の可愛いメイド奴隷」


彼はそう言い教室を出て行った。


「…………」


言葉にならなかった。

私の学校生活は全て彼に握られたんだと絶望してしまった。



完全に意気消沈して家に帰る。 人生が終わったわけじゃないのに今はそんな気分だ。 この学校という狭い生活空間の中で彼に全て従わないといけないのか……


私は現在高校2年生。 あと1年も? これをネタにされてずっと脅され続けるの?

考えただけでゾッとした。


明日という日が来なければいいのに。 そんな風に思ったが次の日は無情にも訪れた。


学校に着くと私はすぐさま保健室に向かった。


「すみません、具合が悪くて」


「熱はあるの?」


「いえ、ただ気分が悪くて……」


「まぁいいわ、少しベッドで眠ってなさい」


仮病を使ってしまった。 藤原君と顔を合わせないために。

1時間目が終わり私は考えにならない考えを回らない頭で必死に整理していた。


どうしよう? このまま帰る? そんなことして大丈夫? いや、大丈夫かもしれない……


するとベッドのカーテンが開いた。


「大丈夫? 具合良くなった? それとも今日は帰る?」


その言葉に帰ろうという決断を下そうと思った瞬間カーテンの横から藤原君の姿が見えた。


「ああ、彼ね、あなたを心配して見に来てくれたのよ?」


「月乃さん、具合良くなったかな? 俺心配でさ」


「あ…… うん、もう大丈夫……」


「じゃあ教室戻ろうか? 」


「……うん」


藤原君の笑顔で私を迎い入れる。だが目の奥では笑っていないように感じたのは考え過ぎだろうか?


保健室を出て私は隣で歩いている藤原君を横目で見た。

すると藤原君も私を見ていた。


「どうしてサボったのかな?」


「あの、その…… 具合が悪くて」


「へぇ、なんで?」


「なんでって…… わからない」


「は?」


藤原君の冷たい反応に思わずビクついてしまった。


「月乃さんは学習能力がないのかな? 」


そう言い昨日の写真のコピーらしきものをまた私にチラつかせた。

すると私達の目の前に数人の生徒達がいた。


「これ、そこでばら撒いていい?」


「や、やめて!」


「まだわからないようだね、お仕置きだ」


そして藤原君は勢いよく数枚の写真を目の前の生徒達目掛けてばら撒いた。

私はばら撒かれた瞬間即座に写真を回収しようと駆け出していた。


「ダメーッ!!」


心の中で叫んだつもりだったが声に出ていたようだ。

そして生徒達の前に写真が散らばる。


終わった…… 私はその場に崩れ落ちてしまった。


「何この写真?」


生徒達が写真を拾い確かめる。

もうダメだ、私はこれからヤリマンとかビッチとか噂されていじめられるんだ。

そう思いへたり込んだまま下を向いてると……


「あ、可愛い! 猫の写真じゃーん!」


へ? そんな声が聞こえてきた。

その瞬間私はハッとした。 藤原君は写真をチラつかせていただけだ、しかも裏面にして……



「どうだい? これで懲りたかい?」


悔しくて涙交じりで藤原君を睨みつけた。


「なんだい? その顔」


ヤバい、ついやってしまった…… 私は切り替えて即座に謝った。


「申し訳ありません、ご主人様」


「うん、よろしい。 いつまでそこに座っているのかな? 腰でも抜けたのか?」


藤原君が手を差し伸べその手をとり立ち直る。 昨日から今日までで心臓が止まりそうな思いを2回もした。


これから先私はどうなってしまうんだろう……


「そうだなぁ、猫と言えば……」


藤原君は何か呟き考え事をしているようだ。 だが私はその考えのもとは私に向いているようにしか思えなかった。


教室に戻ると藤原君は私のもとから離れ自分の席に向かった。 そして何か書いているようだ。


それから私のもとへ向かってきた。 なんで? なんで来るのよ……

と思ったが藤原君は私を通り過ぎて行った。


なんだ、気のせいかと思い安堵していると机に何か紙が乗っていた。

開いてみると今日誰かに喋りかけられたり授業中指名されたりしたら語尾にニャアをつけろ、命令だ。と書いてあった。


な、なんだって!? この私が? 語尾にニャアをつけろ!?

嘘でしょ!?


藤原君を見るとニタァと気味の悪い笑顔を私に向けていた。……やるしかないの?


そして私は机に突っ伏し誰にも話しかけないという決意を断固した。


だけど……


「月乃さん具合悪いの? 大丈夫?」


さっそく声を掛けられてしまった。 しかも男子に。 無視だ、これしかない。


「…………」


「大丈夫? また保健室行こうか?」


「どうしたん?」


「月乃さんなんか凄い具合悪そうでさ」


ヤバい、黙ってると変な誤解を招く……

仕方ない。


「だ、大丈夫だにゃあ〜」


「は?」


「え?」


私はその瞬間茹でタコのように真っ赤になったのが自分でもわかった。


「あははは、月乃さんおもしれぇ〜!」


「何? 今の? あははは!」


も、もう無理だ! 誰か助けて!

すると先生が来て授業が始まった。 た、助かった。


私は安堵したのも束の間、授業になって気付いた。 これって指名されたらさっきよりヤバいかも……


ていうか今日1日私は無事に過ごせるのだろうか?


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