命令17
「やっと見つけた、待って!貴樹君」
学校から少し先の河川敷に貴樹君はいた。
「なんだ、探してたのか」
「私もうダメなの?」
「ああ、もういいんだ」
「一方的過ぎるよ、いつだって貴樹君は勝手だよ。 私何も理解しないうちに……」
「じゃあさ、これわかる?」
貴樹君は写真を取り出した。
「もう別に私はそんなの見せられたってどうって事ないよ?」
「違うんだなぁ、よく見ろよ?」
よく見たらそれは山瀬君が私を押し倒している写真だった。
それを見て思い出した。前に山瀬君に……
「それが何なの?」
「この写真教室にバラまけよ?」
「何でそんな事……」
「ほらな、美穂にはできない」
「だって…… 私の事はいいけどそれだと山瀬君は」
「山瀬なんてどうでもいいじゃないか? どうなっても」
「わ、私は山瀬君まで巻き添えにしなくてもいいって……」
「がっかりだよ、出来ないの?」
「出来ない…… 私には。 山瀬君まで同じ目になんて合わせられない」
「相変わらず優しいなぁ、美穂は」
「ねぇ、傷付けたいなら私だけでいいじゃん?」
「じゃあこの写真は俺がバラまいとくよ」
「ダメ!!」
私は貴樹君に詰め寄り写真を取り返そうとした。
貴樹君はそれを防ごうと力づくで私をねじ伏せようとする。
私はそれでもなんとか写真を取ったが河川敷の土手から貴樹君と一緒に転がり落ちてしまった。
「いったぁ……」
「まさか美穂がここまで抗うなんてな、よっぽど山瀬の事が気になるのか?」
私は写真を後ろに隠し貴樹君を睨みつけた。
「そういう事じゃないよ! これ以上他の人を巻き込んじゃダメって言ってるの!」
「その写真、それだけだとでも?」
「だったら…… 何度でも取り返すもん!」
「あー、興醒め。 やっぱ美穂はそこまでだったんだね。 好きだったのに残念だよ」
「こっちの台詞だよ……」
私はやっぱり間違ってたんだ。
自分を誤魔化して貴樹君を好きになろうとした。 そして貴樹君への想いを拗らせてしまった。
私と貴樹君はどこかズレていた事に目を伏せて。 だからこうなるのは当然だったんだ。
「私もう貴樹君のいいようになんてされない! でももし私の事をほんの少しでも好きでいてくれるなら山瀬君には何もしないで。 お願い……」
そうして貴樹君は何も返答せず帰ってしまった。
貴樹君まで私から離れて行っちゃったな…… 自分からそうしたのに。
もういいんだ。 「まだ遅くないだろ?」 そう言われたから間違ったんならやり直せばいい。
前向きに考えよう、押し潰されないために。 相変わらず親とも仲は悪いけどクラスでは少し浮いちゃったけどしんぱいしてくれる人がいないってわけじゃないんだ……
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせその日は家に帰った。
「ただいま」
「あんた! また学校サボって」
「うん、ごめんなさい。 明日からはちゃんと行くから」
「そう言って最近はサボってるじゃない!」
「お母さん、ごめんね。でも私をちゃんと見て? 私だってそんな時はあるしいろいろ悩んでたの、だから私を見て! 今からでもいいから」
「美穂……」
「お母さん、今までごめんなさい、明日からは本当にちゃんと行くから」
私は部屋に行き今まで溜め込んでいた物を吐き出すように泣いた。
貴樹君、私変わって見せるから。 そう自分に言い聞かせた。 今度は誤魔化しなんかじゃない。自分の本心で。




