命令13
それから私は藤原君にいつにも増してくっついて行動するようになり周囲からも私が藤原君と付き合ってるんだなという事になっていた。
ただ相変わらず藤原君の風当たりは悪く何かあるんじゃないかと思われていた。
それはそうなんだけど……
山瀬君は気に入らないらしく私に話しかける事もだんだん少なくなっていった。
「じゃあさ、今度の休みお前の家に招待しろよ?」
「え? 」
「彼氏として招待しろよ? いいな?」
「は、初めてなので……」
お父さんやお母さんの前に男の人を連れて行くのは初めてだから若干焦った。
でも堂々としてれば良いよね?
そして日曜日になり私は藤原君を家に連れて来た。
「お父さん、お母さん、私の彼氏の藤原君だよ」
「どうも、藤原 貴樹と申します」
「え? 美穂の彼氏? 聞いた事ないけどあんたいつの間に……」
「彼が美穂の彼氏か……」
あれ? あまり良い反応じゃない?
どうしてだろう? やっぱ娘の私がいきなり彼氏を連れて来たから?
私の部屋に藤原君を連れて行き何かお菓子でも持って行こうとしてリビングに行くとお母さんに呼び止められた。
「美穂、あんたの彼氏って本当にあの子なの? 私はあんたに彼氏ができるとしたらもっとこう……」
「藤原君じゃあダメ……?」
「違うの、ただ思ってたのと違ったからね、お母さんもお父さんもあれ?って思っただけよ」
「それって遠回しに藤原君を否定してない? 私が選んだの、だからいいじゃない!」
「ま、まぁ美穂がいいなら……」
やっぱり思った通り私の両親にウケが悪かった、藤原君ももう少し愛想良くしてもらいたかったけど私が何言っても無理だもんね。
自分の部屋に行くと藤原君は私の部屋を物色していた。
な、何を!?
「あ、あの何をしているんでしょう?」
「俺が月乃の部屋に何かしたらいけないのか?」
普通は付き合ってるとはいえ、そんな事されるのは嫌だと思うけど……
「いえ、滅相もありません」
「ああ、普通にしてていいや。 月乃の家だし無礼講だ」
どうして藤原君は私に対してここまで偉そうになれるんだろうという事を考えだすとまた私の精神が負のスパイラルに陥りそうだから流す事にした。
「じゃあ私の部屋を物色してた目的は?」
「ああ、月乃の服のチェックだ、どんな物着てるかな」
「それに何の意味が…… あ! 私の下着!」
「ああ、これだろ?」
すると指で私のパンツをクルクル回して私の顔に飛ばした。
私が好きになろうと頑張っているのにこの扱い…… 藤原君は私の何が好きなのか理解に苦しむ。
「おっと。テンプレ的な反応お疲れさん」
「あのー、なんか私の好きと藤原君の好きって大分違うよね……」
「じゃあ月乃はどういう好きが好きなんだ?」
「それは…… 一緒にいたら落ち着いたり、手を繋いでくれたりドキドキしたり……」
「ふぅん、俺はそんなの求めちゃいない」
「え?」
「俺が好きな月乃をめちゃくちゃにしたい。俺の所まで落としたい、一緒に苦しんで欲しい」
「ちょ、ちょっと待って! そんな事言われても……」
「月乃の両親見てさ、俺ってよく思われてないだろ?」
「そ、そんな事ないよ?」
「嘘だね、すぐわかった。 月乃の連れてくる彼氏はもっとカッコよくて愛想良くて月乃につりあうような男がいいなって両親は思ってるはずだ。 月乃は両親から期待されてるんだなぁ」
「藤原君は違うの?」
「違うね、甘やかされてきた月乃にはわかんないだろうな」
「藤原君はご両親とは上手く行ってないんだ?」
「俺の事が好きだったら俺と同じ立ち位置に立てよ、俺の事を全て受け入れろよ、さもないと……」
「わ、わかった! 頑張るから」
そう自分で言ってて何を頑張るんだろう? なんで私必死になってるの? 私は藤原君に洗脳されているのかな?
そうか、そんな藤原君を好きになるよう頑張るんだった。さもないと……
「さもないと月乃のご両親も悲しむだろうね。 こんな事を月乃がしてたなんて」
「!!」
藤原君は写真を私に突きつけた。 普通だったらそんな事してないと私が必死になれば両親は信じてくれるかもしれない。
だけどこの時の私は藤原君にいいようにされ過ぎて私自身おかしかったのかもしれない。
「むしろ見せた方が俺の立場まで落ちてきてくれるからいいかもしれないね」
藤原君はまた意地悪そうな顔をしてそう呟いた。
この時はまだ私には藤原君を好きでいればこれ以上悪い方向には進まないと思って楽観していたのかもしれない。
藤原君が自分と同じ所に落ちてきて欲しいなんてのもただの願望であってそんな事は私に出来るはずがないとも私が勝手に思い込んでいた。




