命令12
藤原君はその次の日学校に来た、最初はみんな藤原君を見てギョッとしてたけどもともと彼は目立たないのでその内誰も何も気にしなくなった。
「月乃、あれどうしたんだ?」
山瀬君が藤原君を指して言う。
「あはは、どうしたんだろうね? 」
「もしかしてまた月乃あいつに変な事されたのか?」
「ううん、何もされてないし藤原君の事何も変だなんて思ってないよ?」
「は? 月乃何言ってんだ?」
「山瀬君、藤原君の事悪く言うのやめて、私聞きたくない」
「え? だっておかしいだろ? 今まで嫌そうにしてたのに」
「…… 嫌だなんて思ってないよ?」
「それって本心で言ってんのか? 無理矢理言わされてんのか?」
「無理矢理とかそんな事ないよ、私の本心だよ。 だから藤原君を悪く言わないで」
「あいつの事好きなのか?」
「……うん」
「いつの間にそんなんなったんだよ!? 全然納得出来ないんだけど?」
「だって私の勝手じゃん! なんで山瀬君にそこまで言われなくちゃいけないの
?」
そうして山瀬君は訝しげに藤原君を睨み言ってしまった。
そう、もういいんだ。藤原君には参ってしまった。
だから藤原君の気持ちを受け入れよう、もともと弱味を握られてるんだ。 どっちにしろ変わらない。
それに藤原君は私の気を引こうと何をするかわからない。 だってあそこまで殴られて私に心配されたいからってそこまでするなんて。
私は藤原君の事なんて何も知らないけどただあんまりいい家庭環境じゃなくて藤原君がそうなったんだって言うのは藤原君と話しているうちになんとなくわかった。
私が当然だと思ってやってる事にも月乃は育ちがいいんだね? ってよく言ってくるし……
それで藤原君の事が可哀想と思った自分もいた。 私もおかしいのかもしれない。いいように意地悪されてそんな風に思っちゃうなんて……
だからいっその事好きになってみよう、わかってみせるって自分に言い聞かせた。 こんなの間違ってるけどね。
我慢しても苦しいだけ。 藤原君からは逃げられそうにない。
私は藤原君を見た、彼も私が山瀬君と話していたから気になって見てたようだ。
だから大丈夫だよの意味を込めてニッコリ藤原君に微笑んだ。
藤原君は怪訝な顔してたけど伝わらなかったのかな? まぁいいか、これからは私も積極的に接すれば……
そしてお昼になり藤原君の席に私は行った。
「藤原君、一緒に食べよッ!」
出来るだけ明るい感じで言ってみた。 だけど藤原君の反応より周りの反応が聞こえてきた。
「はぁ? 月乃さんなんであんなのと?」
「月乃さん趣味悪ぅ〜」
「あんな奴が月乃と!?」
藤原君、なんて風当たりが悪いんだろう……
藤原君を見るとなんて事ない顔をしていた。
「じゃあ前に座れよ」
「うん!」
藤原君は今までの私と態度が違うので少し疑い気味に見ていた。 藤原君的にはこうなって欲しかったんじゃないの!?
まぁ最初だから驚いてるだけかもしれない、流れに身を任せてみよう……
そして放課後になり藤原君にいつもの如く呼び出された。
少し違うのは私はもう嫌がったりなんかしないって事。
「今日は珍しく俺に積極的だったね、何か心境の変化でも?」
「いいえ、私の気持ちです」
「……ふぅん、じゃあこっちに来いよ」
藤原君が私に自分の側に来いと手招きした。 だから私は自分から甘えに行く感じで藤原君にくっついた。
「ようやく俺の事を好きになったみたいだな?」
「はい、だって私のご主人様ですし」
「好きだったらこれからどんな事も耐えられるよな?」
「…… はい」
「ククク、らしくなってきたじゃないか? どうだ? お前みたいなチヤホヤされてた奴が俺の言いなりになってる気分は」
「私が好きな人なので私は苦じゃありません」
「へぇ? なら山瀬は?」
まだ山瀬君に敵対心持ってるんだ…… 私が好きって言ってるの信じてないのかな?
「や、山瀬君はただの友達です」
「ダメだね、そんなすぐボロが出るようじゃ」
「信じてください、ご主人様を好きなのは本当です!」
「まぁ前より従順になったことはいいことだ、じゃあこれからは俺と付き合っていると公にわかりやすく行動しろ」
それで藤原君が満足してくれるなら私も満足だ。 そう心に言い聞かせた。




