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●0●城崎詩菜
夕日が沈んで行くところを、僕たちは旅館のラウンジから眺めていた。
「優太、いい景色だね・・・。」
隣にいた詩菜が先に口を開いた。
「ん、ぁ、そうだな。」
「私、この時間が永遠に続いてくれたらいいなと思う。」
それは俺も同じだ。っていうのはなんか恥ずかしいな。ここはなんて言うのがいいのだろうか。そう思っていると、詩菜が続けた。
「無限の時間など存在しない。この世界は有限でできている。そうなんだよね。」
「確かにそうだけど・・・突然どうしたの?」
「ぁあ、ごめんね、変なこと言いだしちゃって。」
そしてまた、無言の時間が続いた。
___ソファに座り夕日を眺めていたせいか眠くなってきた。あと30分もすれば晩御飯の時間だ。5分前までには集合したほうがいいだろう。
「詩菜、そろそろ部屋に戻った方がいいんじゃないか、・・・あれ?」
詩菜はうたた寝をしていた。寝顔、可愛いな・・・。
出会ってまだたった数ヵ月くらいだけど、今はこんなに仲良くなってしまった。
・・・しかし、出会った時の違和感は残ったままだった。