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赤岸春走(あかぎし はるし)
「あの人何かブツブツいってるわよ」
「やだ~、怖い~」
右からも左からも俺への奇妙な目が向けられている。それもそのはずだ。俺は他からは見えない存在に向かって話しかけている。いや、妄想した世界と言ったほうが正しいかもしれない。俺には友達がいない。友達欲しさにいつの間にか妄想してしまう。
俺の名前は赤岸春走。聖ミサラギ学園に通う高校2年生だ。高校生になって1年が過ぎたが友達が出来ない。おそらくこの妄想癖が理由だろう。とはいえ、今となっては妄想世界もなかなか楽しい。・・・・・・かもしれない。
でも・・・友達が欲しい・・・