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判断されない形


倉庫作業の途中、

悠馬は手を止めた。


棚でも、箱でもない。

自分の考えが、ようやく一つにまとまったからだ。


――逃げなければ、処理されない。

――だが、従えば配置される。


どちらも、終わりだ。


外に出た未登録者は、

判断されない形で生きている。


施設にいる自分も、

判断されない形で残っている。


形は違うが、状態は同じだ。


昼休み。

人の少ない通路で、ミズキを呼び止めた。


「ミズキ。

 聞きたいことがある。」


彼女は立ち止まり、視線だけで続きを促す。


「未登録者ってさ。

 判断を避けてるんじゃないよな。」


「……うん。」


「判断が“始まらない形”を選んでる。」


ミズキは、否定しなかった。


「それは偶然じゃないんだろ?」


「うん。」


「条件がある。」


悠馬は、息を飲む。


「能力を制御できること。

 使わない選択ができること。

 説明できる生活範囲にいること。」


「そして――」


少し、間を置く。


「制度に“敵対しない”こと。」


その言葉で、全てが繋がった。


「……だから、俺は今ここにいられる。」


「そう。」


ミズキは静かに言った。


「君は、制度にとって

 一番扱いづらくて、

 一番切りにくい存在。」


悠馬は、初めてはっきり言葉にした。


「俺は、

 この形を“偶然”で終わらせたくない。」


ミズキは、目を伏せた。


「……それを言うなら、

 私はもう“業務外”になる。」


「それでも?」


「それでも。」


ミズキは、ゆっくり頷いた。


「じゃあ、

 “制度の中でできること”だけやろう。」


ここで、話は一段進んだ。

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