B級冒険者試験の案内
冬になるとオークの廃道は真っ白に染まってしまいます。そのためオークの数が激減しております。
魔物のたちも寒いのは苦手なのでしょうか?なかなか外に出てきてくれません。
ゴブリンの住処に移動したら、ゴブリンは出現してくれるのですが、ミズモチさんの食欲が乗らないようです。
オークの美味しさを知ると、ゴブリンは美味しくないのでしょうか?
どうしたものか?一人で考えていても答えが出ません。
ユイさんに相談することにしました。
「そうですね。ミズモチさんが好みそうな魔物となると、スリープシープか、ミノタウロスになると思います」
羊さんの魔物に、牛さんの魔物ですね
「ですが、どちらもB級のダンジョンになりますので、C級であるヒデオさんには紹介できないのです。
場所を教えて危険なことをされるのも……」
ユイさんは優しいです。
私を心配してくれているのですね。
ミズモチさんは羊や牛を食べるのは喜びそうです。
どちらも強そうな名前なので、私としては怖いですね。
「ここ一ヶ月のヒデオさんの活躍でしたら…… 大丈夫そうですね。ヒデオさんは討伐数も問題なく、進化した魔物を倒すこともできています。
これだけの実績なら、B級冒険者になれます。
試験を受けられますか?」
「えっ?B級冒険者ですか?」
「はい。C級は戦える力を自分のモノにできているのか見るために試験を行います。
冒険者としては、一人前になったと認められることを意味します。
ですが、B級からは戦える人なのかを見ます。そのため実績と試験はC級よりも厳しくなります。
それでも受けられますか?」
ユイさんの言葉は私の覚悟を問うために真剣な目をされております。
きっと恐怖耐性をとっていなければ、私は怖くて受けることはできなかったでしょう。
「……受けてみようと思います」
「よろしいのですか?ヒデオさんはテイマーですので、それほど戦闘能力は高くありません。
ミズモチさんと力を合わせて、一人前です」
ユイさんの言葉は、注意を促すモノだったのでしょう。ですが、私としてはミズモチさんと力を合わせて一人前と言われたことが嬉しいです。
そうです。
私は一人ではありません。
ミズモチさんと歩んでいくのです。
「はい。構いません。ミズモチさんと二人で試験に挑みたいと思います」
「かしこまりました。それでは登録しておきます。
試験は2日間に及びます。週末に開催されているのですが、いつの週末がいいですか?」
「それでは再来週にしていただけますか?月が変わって有給を使えますので」
「……はい。大丈夫ですね。試験への登録完了しました」
「ありがとうございます。試験に向けて用意しておく物はありますか?」
「いえ、いつもの装備で試験会場へ直接向かってください」
「わかりました」
B級ということは、長さん、元さんに肩が並ぶのですね。ハルカさんもB級だと言っていましたから……
私も彼らと同じ冒険者としての高みへ上がることになるんですね。
「ヒデオさん!」
「えっ?シズカさん?こんにちは」
「こんにちは。あの!B級試験を受けるって本当ですか?」
「えっ、聞いていたのですか?」
「ちょうど通った時にお二人の声が聞こえてきたんです」
まぁインフォメーションですからね。
冒険者ギルドに出入りする人は簡単に聞こえますね。
「はい。実はそうなんです。ユイさんに、私の実績なら受けられると言って頂きましたので……」
「どうして、ヒデオさんはランクを上げようと思うんですか?」
「えっ?」
「戦う相手が大変になります。それは危険も増えるんですよ?」
シズカさんの疑問はもっともです。
危険な仕事なので、出世することなど必要ありません。
専門でしている方でも無ければ、意味がないように思えます。
「そうですね。私のためですよ。やっぱり」
「ヒデオさんのためなんですか?それはランクを上げてお金を稼ぎたいとか、名誉のためってことですか?」
「いえいえ、そうですね。私は40歳です。冒険者を始めて一年しか経っていません」
「はい……」
シズカさんは何かに悩んでいるのでしょうね。
私を誰かと重ねて聞いているのだと思います。
「ですが、若い子達からすれば、おじさんなのに40歳で冒険者を始めて調子に乗っていると思うかもしれません」
「そんなことは」
「これはね。会社の話です」
「会社?」
「はい。歳をとった者がいつまでも平社員でいれば、若い子に気を遣わせます。
それに同じ年が出世していくので、その人たちからも軽んじられます。
自分よりも年下の子が上司になると、年下の上司は、年上の部下を使いにくいと思うでしょ?」
シズカさんには難しい話でしょうか?
「だから、年齢に合った責任は果たしたいと思っているだけです。私よりも年上の先輩たちに肩を並べて、その人たちの役に立ちたいとね」
わかってもらえるのかはわかりません。
ですが、シズカさんの悩みの助けになれればいいのですが……
「だから、ユウ君は危険なことをしてB級に上がろうとするんですか?」
なるほど、ユウ君もB級へ上がろうとしているですね。
彼も結婚を考えているので、上を目指すのは当たり前でしょうね。
「そうなのかもしれません。彼は大人になりたいと足掻いているんじゃないでしょうか?」
「大人になりたい?」
「はい。大人って物凄く嫌なことがたくさんあるんです。その中でも責任を背負うというもっとも嫌なことがあります。彼は自ら責任を背負う道を進んでいるんです。それは大人になりたいと思うことと同義だと思います」
大人になるのに男女は関係ありません。
責任を背負う覚悟を持つかどうか……難しいですね。
「まだ、私にはわかりません。でも、もう少し考えてみます」
「まぁ、若い間は危機感も薄いかもしれませんので、サポートしてあげてください」
「はい!ありがとうございました」
彼らも成長しているんですね。




