ご近所ダンジョンさん?
ご近所ダンジョンさんが、閉鎖されてしまったため、週末には必ずダンジョンに行かなければならなくなりました。
そうしなければ、ミズモチさんの体調が悪くなってしまいます。その他にも平日に最低二回は、ダンジョンに行かなければならなりません。
そうなると私が体調を崩してしまいます。
疲労が溜まってあまり良くないため……本日はご近所ダンジョンさんが、復活していないか確認に参りました。
「あれ?」
冒険者アプリのニュースで、大岩で閉ざされていると見ました。ですが、洞窟の入り口を閉じているはずの大岩がありません。
「これは入れるのでしょうか?ミズモチさん。どう思いますか?」
【ミズモチ】《アベ〜ごは〜ん》
「ミズモチさんは入ってもいいのですね。わかりました。入ってみましょう。
ですが、ここはA級ダンジョンですからね。
注意をしながら、入らなければいけません」
私は恐る恐る、ご近所ダンジョンさんの入り口へと足を踏み入れました。
約500メートルほどの一直線のダンジョンです。
迷うことはないはずなのですが、前よりもボス部屋さんまでの距離が長い気がします。
「ダンジョンが広くなりましたか?それに横道もできていますね。何もありませんが」
今まで一直線しかなかったご近所ダンジョンさんが、リニューアルオープンされております。
横道ができて小さな部屋がありました。
一直線の距離も一キロぐらい歩かなければ、ボスさんの扉にたどり着くことが出来ません。
真っ赤に染まったボス部屋は前よりも禍々しく見えます。
「これは、横道から魔物が現れたら危ないですね」
真っ直ぐなダンジョンに、小部屋が五つもできていました。それ以外にダンジョンの距離が長く広くなっています。ご近所ダンジョンさんは、広いお家が欲しくなったのですね。
「もしかしたら、家族が増えたから部屋を増築されていたのでしょうか?一ヶ月ほどで、改装が終わったので再開してくれたのですかね?」
【ミズモチ】《アベ〜ごは〜ん》
ミズモチさんの声で、察知さんも同時に反応を示します。久しぶりのゴブリンが、私を見ていました。
ただ、緑色の見慣れた肌ではなく。黒に近い灰色をしたゴブリンです。
オークさんとも違うので、少し不思議な小さい鬼のように見えますね。
「ミズモチさん。戦います?」
【ミズモチ】《やる〜》
「わかりました。援護します。私も新しい魔法を試したいところですが、ここはお願いします。
未知の敵に対して、私では力不足になるかもしれませんので」
【ミズモチ】《いくよ〜》
ミズモチさんがウォーターアローを飛ばしましたが、灰色ゴブリンは、素手で弾き落としました。
武器は持っていないようですが、強化されているミズモチさんの魔法を弾くのは驚きです。
私は、黒杖を構えてミズモチさんの援護をすることにしました。
「ミズモチさん。灰色ゴブリンは強そうなので、援護します」
【ミズモチ】《わかった〜》
ジリジリと距離を詰めていく私の姿を、灰色ゴブリンが視線を向けてきます。
ミズモチさんよりも私の方が大きいのですからね。
視界に入れやすいということでしょうか?
灰色ゴブリンさんが退路を塞いでいるので、逃げるためにも突破しなければなりません。
「やっぱり、ご近所ダンジョンさんは油断できませんね」
察知さんで気配を探っても灰色ゴブリンしか出現はしていないようです。
ですが、灰色ゴブリンは、武器持ちオークさんよりも強い雰囲気を感じます。
前はそんなことがわからなかったのですが、私も少しは成長しているということでしょうか?
「行きます。刺突!」
黒杖さんで、灰色ゴブリンを突きます。
手刀で弾かれ、ミズモチさんが横から体当たりをしますが、受け止めました!!!強い!!!
「引っ掛け!」
受け止めた体勢を崩すために足払いをしますが、手応えがありません。
「くっ!ライト!」
目眩しに反応しました。目を閉じています。
「刺突!」
なんで、目を閉じているのに振り払えるのですか!!!
「ミズモチさんウォーターランス!」
ミズモチさんから巨大な水の槍が灰色ゴブリンに飛んでいきます。
「GYA!」
灰色ゴブリンが気合いで消してしまいました。
「そんなことできるんですか!!!」
ヤバいですね。ここまでの強敵は初めてです。
今まではなんとか傷を負わすことができたのに、傷をつけることもできません。
「くっ、やるしかありませんね!!!ミズモチさん、援護をお願いします」
【ミズモチ】《わかった〜》
前衛に出た私は気合を入れます。
黒杖さんの端と端を持って、構えを取ります。
常の型
黒杖さん、力を貸してください。
「はっ!」
「GYAA!!」
出どころがわからなくなった黒杖さんに、灰色ゴブリンが困惑しています。
私は攻撃と同時に「フラッシュ!!!」
ライトの二倍はある強い光が、灰色ゴブリンの目へと襲い掛かります。
「えっ!私の額から光が飛んでいった!眩しいだけじゃないってことですか?」
フラッシュは、灰色ゴブリンの片目を焼きました。
これはあれですね!レーザーと呼んでも良いのではないでしょうか?
「ミズモチさん!私の進化をご覧ください!アベフラッシュビーム!!!」
私の額から強い光が放たれました。
灰色ゴブリンを倒したいと願った結果です。
「でっ!出ましたよ!ミズモチさんトドメを!」
出ました、某怪獣を倒すヒーローのように出ました!!!
【ミズモチ】《ごはん〜》
私の攻撃でダメージを受けた灰色ゴブリンに、ミズモチさんの消化がクリティカルヒットです。
「ふぅ〜今回はヤバかったですね!負けると思いました」
【ミズモチ】《おつ〜》
何度経験しても、戦闘は慣れませんね。