オークの廃道 4
私とは住む世界の違う人である梅田さんの発言に驚いてしまいました。
活躍されている冒険者さんって凄いんですね。
でも、やっぱり安定とはほど遠い環境そうなので、私には無理です。
「ねぇ、阿部さん」
「はい?」
「今週末、私と一緒にオークの廃道に行かへん?」
「一緒にですか?」
「うん。前は阿部さんに助けてもらったやん。だから、今度は私が阿部さんを助けたいねん」
「それは嬉しいですね。Bランクの梅田さんが一緒に行動してくれたら安心です」
いつもミズモチさんと、2人で冒険をしてきました。
もしも、自分よりも経験豊富な方が、一緒に冒険してくれるなら安心感が増します。
「任せといて!それとな、私のことは梅田さんじゃなくて、ハルカって呼んでや。友達やし、阿部さんの方が年上なんやから」
「えっ?名前呼びですか?」
「一緒に冒険するんやから、その方が親近感も湧くやろ?」
「まぁ仲間としてですね。わかりました。ハルカさん」
「ふふ、まぁ阿部さんらしいな。あっ、私は、ヒデオさんって呼ばせてもらうけどええ?」
「もちろん、全然いいですよ」
女性から名前で呼ばれるって、大人になってから母さん以外は初めてですね。
なんだか、恥ずかしいような凄く嬉しい気持ちになります。
「それじゃヒデオさん。また週末に。メッセージ送るから見てや」
「はい。これからはご近所さんなので、よろしくお願いします」
「そやね、また」
そういって去って行くハルカさんの姿を見送ると、大阪でのキスが頭の中に浮かんでしまいます。
「あれも、お礼でしたね」
お礼をたくさん貰いすぎていると気がします。
ハルカさんが、とても優しいので貰いすぎてしまいますね。
新天地で知り会いと行動すると言う方が、ハルカさんも心強いのかもしれません。
私で協力できることはしてあげたいです。
週末が楽しみです。
「ミズモチさん、強力な助っ人が来てくれましたよ」
【ミズモチ】《だ~れ~》
「ハルカさんです。大阪で一緒にいばらき童子を倒した人ですよ」
【ミズモチ】《わかんない》
「そうですか。週末は一緒に行動することになったので、よろしくお願いします」
【ミズモチ】《は〜い》
時間というのはあっという間に過ぎ去っていくものです。
週末がやってきました。
一緒に冒険するために、私は自分が持ち得る装備をフルで着込みました。
ハルカさんにご迷惑をかけてはいけないと思ったからです。
「ヒデオさん。おはようさん」
黒い皮のコートに黒皮のロングブーツを着込んだハルカさんが現れました。
大阪の時はスカジャンにジーパンといったヤンキーお姉さんだったのに、今回はガラリと雰囲気が違うパンク風お姉さんです。
普段なら近づくのも恐れ多いタイプの美人さんです。
出来る女性と言えばいいのか、ブーツを履いているので身長が高くて、モデルさんのようにスタイルがいいです。
黒髪のショートヘアーが服装と合っていて、凄く似合っておられます。
「なんや? 私に見惚れたん?」
図星を突かれて顔を赤くしてしまいます。
「ヒデオさん、可愛ええな。ふふ、今日は私の本気を見せようと思って、ちゃんとした装備で来てん。中身みたい?」
コートのボタンを外す姿は私には刺激が強いです。
「あかんよ。これは本番までお預けやで。それにしてもヒデオさんは、お坊さんみたいやね」
私は湊さんに貰った黒いローブを着てきました。
法衣のように見えるのでしょうか?湊さんには神父さんと言われましたからね。
「それはそれで似合っててええやん。個性があるで」
同じなのは黒い衣装を着ているだけで、二人の衣装はアンバランスな気がします。
「最近はお坊さんもパンクしたり、ロックを歌うこともあるらしいよ」
私が気にしていることを察して、ハルカさんは優しく言葉をかけてくれます。
「テレビで見たことがありますね」
「そやろ。ならええやん。行こ」
ハルカさんは、こちらへ車で来たそうで、助手席に乗せてもらいました。
ミズモチさんは後部座席で揺られて、プルプルコロコロと楽しそうです。
「さて、今日はヒデオさんに私の力を見せたるで、気合い入ってるんや!」
「はい。よろしくお願いします」
【ミズモチ】《おねがいしま~す》
ミズモチさんもプルプルとハルカさんに挨拶をしております。
「任せとき!」
黒皮のコートを脱いだハルカさんは、赤と黒のくノ一衣装に身を包んでおりました。
「シーフの上位職のくノ一やで、どや?」
ポーズを取るハルカさんはセクシーです。
黒のブーツ、網タイツ、ミニスカくノ一衣装、上半身には鎖帷子を薄くして着込んでおられるようです。
「凄く似合っています」
「せやろ。私も気に入ってるねん。見た目は可愛いやろ?せやけど、凄いんは見た目だけやないよ!」
進んでいくハルカさんは、ナイフやクナイ、手裏剣などの投擲によってオークたちをどんどん倒して行きます。
その一撃は正確に脳天や心臓を貫き、仕留めるのが速いです。
「ふふ、これがBランクの実力やで」
美しい物にはトゲがあると言いますが、ハルカさんのトゲはかなり痛そうです。
「それに見とって!」
そういってオークに向かって走って行くハルカさんは、ブーツのカカトをオークの脳天にたたき落として倒してしまいました。
あの綺麗な足は凶器だったのですね!!!
あまり見ていたら私もあんな風になってしまうのですか?
「どうや?強いやろ?」
「はい!物凄く強いです!!」
「でもな、あのいばらき童子を倒したヒデオさんの背中は、私よりもカッコ良かったんやで」
「えっ?私がカッコイイ?」
「そや。だから、私は今こうしてここで戦えてる。物凄い感謝してるんやで、ありがとうな」
笑顔を向けてくれるハルカさんを救うことが出来て、本当によかったです。
「今日は、オークの廃道におる進化したオーク倒すから協力してや」
「私に出来るでしょうか?」
「ヒデオさんと私、それにミズモチさんの三人なら大丈夫や!」
そうでした。私には心強い味方であるミズモチさんがいます。
「ミズモチさん」
【ミズモチ】《頂きます》
「ふふ、ミズモチさんは美味しくボアを食べることしか考えていませんね」
ミズモチさんを見ているだけで冷静になれるので、行ける気がしますね。
「行きましょう!」
「よっしゃ!やったるで」
【ミズモチ】《は~い》
三人で冒険するって楽しいですね。




