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清潔感

スキンヘッドにスーツはなんとも違和感がありますね。

ですが清々しさがあり、気持ちがシャキっとします。


自身の回復(極小)を取ったお陰なのか、寝て起きたら鼻の腫れも綺麗に治っていました。やっぱりレベルアップは凄い効果を発揮しますね。

(極小)でケガをすぐに治してくれるなら、これよりも上の能力はどれほど凄いのでしょうか?


若返りとか魅力アップとかして女性にモテモテになったりしませんかね?はは、昨日のスキルを見てもそのような効果は無さそうです。


出勤のために電車に揺られていると、スキンヘッドの方って結構居られるのですね。

そう言えば冒険者ギルドの受付さんもスキンヘッドでした。

自分が仲間入りしたことで、気にとめるようになりましたね。


お仲間の存在に勇気を頂いて、私が出社すると女性社員二人が目を丸くしました。


「阿部さん!何かあったの~?」


50代の女性社員、三島冴ミシマサエさんが声をかけてきました。

この方、私のことは見下していてほとんど話しかけてくることがありません。

綺麗な方ではあるのですが、少し香水がキツいです。


「はは、ちょっとイメチェンです」

「そう……あなたそっちの方がいいわよ」


意外にも高評価を頂きました。


「ねぇ、カオリちゃん」


カオリちゃんと呼ばれたのは矢場沢さんです。

フルネーム矢場沢薫ヤバサワカオリさんが私を見て目を見開いています。


「えっ、あっはい。いいと思います」


矢場沢さんはなんと言って良いのかわからない微妙な顔で褒めてくれました。

うん。ありがとう。若い子は正直ですね。


「ありがとうございます。思い切ってよかったです」

「うんうん。清潔感があっていいわね。それになんか迫力もあるわよ」


なんだかいつも以上に絡んでくる三島さんにはちょっと疲れてしまいます

それぐらい事務仕事もお手伝いしてくれればいいのですが……


昼休みになり……お弁当を食べていると矢場沢さんが近づいてきました。

また領収書かな?そんなことを思っていると……


「あの、阿部さん。一緒にご飯食べませんか?」

「へっ?」

「あっ、いえ、なんだか最近は色々と頑張っていらっしゃるのかなと……」


あっ、これは私が悩みを抱えていると心配してくれているのでしょうか?はは、矢場沢さんいい人ですね。


ミズモチさんが来てから一ヶ月ほどですが、職場の環境まで少しだけ変わったような気がします。


「はい。よければ一緒に食べましょう」


三島さんは昼は外で食べに行く人なので、昼はいつも二人で食べています。

それでもそれぞれの席で会話もなく、それぞれスマホを見て過ごしていました。

こうして近くで食べるのは新鮮なことですね。


「はい」


何かを話すわけではないですが、近くに人がいて食事をするって緊張しますが、なんだかこういう雰囲気もいいですね。


二人ともお弁当を食べ終わり、温かいお茶を入れてホッとします。


「阿部さん。最近……何かありました?」


矢場沢さんの方が我慢できなくなりましたね。

はは、若い子に気を遣わせてしまいました。

ここは正直に話した方が良いでしょう。


「ちょっとしたことがありまして」

「前に良いことがあったと言っていたことですか?彼女でも?」


矢場沢さんも女子ですね。

いいこと=恋愛……それもいいですが、40のオジさんにはなかなか機会がありません。


「いえいえ、彼女とかではなくて、ペットを飼いだしたんです」

「ペットですか?」

「はい。それが……実はスライムなんです」

「えっ?スライム?あの魔物の?」

「はい。あの魔物の……実は一ヶ月前の土曜日」


私はスライムを拾った経緯や、飼い方をついつい熱を入れて話してしまいました。

矢場沢さんは最初は驚いて聞いていましたが、スライムの愛らしさを語ると笑ってくれました。


「ふふ、阿部さん本当にミズモチさんが好きなんですね」

「はい。まだ一ヶ月ほどなのですが、大切な家族です」

「ゴブリンの話は怖かったですが、阿部さんが元気ならよかったです」

「はは、心配をかけてしまいましたね」

「正直に言うと……変な宗教とか、女性に貢ぎだしてヤバい人たちに何か要求されて無理をしているのかなって思ったんです」


まぁそうですね。

最近、変なテンションの浮き沈みが激しかったのかもしれませんね。


「大丈夫ですよ。スライム教には入信しても良いかもしれませんが」

「ふふ、そう言えるなら大丈夫ですね」


なんだかギャルで苦手な印象でしたが、矢場沢さんは私のようなオジサンを心配してくれる良い子でしたね。


人を見た目で判断してはいけませんね。反省です。


「でも、事情がわかって安心しました。今の阿部さんいいと思いますよ」


微笑んで去って行く矢場沢さん……素敵です。


気分上々にスキップしながら帰宅した私は今日もミズモチさんとダンジョン散歩ですよ。


一応警戒のために本日はバットを握りしめてやってきました。

包丁にしようか悩みましたが、包丁はリーチが短いので、相手に近づくのが怖かったです。


ですが、杞憂に終わりました。


本日はゴブリンはどこにも居らず、普通に散歩をして帰ることができました。


そう言えばゴブリンが落とした赤い宝石?はなんなんでしょうか?


「魔物が落とした宝石」


検索をかけるとマッスルVさんのブログに答えがありました。


どうやら魔石と呼ばれる物で、破壊すると魔力吸収が出来るそうです。

要はレベルアップに役立つアイテムですね。

経験値(小)とかそんなところでしょうか?ゴブリンが落とす魔石は大した効果がないので、冒険者ギルドでも買い取りはしてくれますが、100円だそうです。


私は捨てるのも勿体なかったので、地面に叩きつけて使うことにしました。


「う~ん、効果があるのかわかりませんね」


知識が無い状態でダンジョンに挑戦することに不安を感じ始めていました。


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