レベル7
凄いです!凄いです!!凄いのです!!!
私……三年分のボーナスを頂きました。
こんなにも貰っても良いのでしょうか?冒険者カードの残高が、今まで見たこともない金額で記載されています。
「今回は、討伐依頼としてではなく災害緊急指名依頼という形で報酬を出させて頂いております」
水野さんは、私の驚いた顔を見て、優しい笑みを浮かべてくれています。
「はは、私ずっとサラリーマンで決まった金額しか稼いだことしかないのです。
こんなにも凄い金額を頂くなんて宝くじに当たったぐらい奇跡みたいなことです」
「そんなことはありません。これは阿部さんの努力の結果です。阿部さんたちが頑張ってくれたお陰で、一般の方への被害はありませんでした。それを思えば少ないくらいです」
いやいやいやいや、物凄く多いです!
「阿部さんは確実に実力をつけておられるので、これからに期待しています。堅実な性格も頼りにしています」
「え~私が頼りになるのですか?それは自分では思ってもいませんでした」
水野さんのようなキレイな人に頼りにされる、照れてしまいますね。
ここ最近、ストレスが溜まっていたのが嘘のように、ボーナスと水野さんのおかげでスッと抜けていった気がします。
「ありがとうございます。なんだか今日は本当に良い日です」
「はい。ですが、頑張りすぎには注意していくださいね」
「気を付けます」
優しい水野さんに別れを告げて、お昼過ぎに冒険者ギルドを出ました。本日はミズモチさんと共にカフェにやってきました。
「ミズモチさん。本日はミズモチさんをこの店に連れてきたかったのです。本当に美味しいサンドイッチを出してくれるんですよ。
ただ私は…… カフェに入るとナポリタンが食べたくなる派なのです。前回は湊さんの服を汚してはいけないと思って頼めませんでした。ですが、本日は遠慮いりません」
私はミズモチさんのためにサンドイッチ全種類を注文しました。臨時収入が入ったのでこれぐらいは許されますよね?自分にはナポリタンとエビピラフを注文しました。
カフェのナポリタンって、どうしてこんなにもシンプルなのに美味しいんでしょうね。
あの輪切りのピーマンとケチャップ、ベーコンの組み合わせが大好きです。
「はいよ!」
少し広めのテーブルに、料理が並んでいきます。
ミズモチさんはテーブルに乗るために水餅サイズになって端から並んだサンドイッチを食べ始めました。
卵にハム、カツにアボカドなど、バラエティーに飛んだメニューからフルーツサンドまであって、ミズモチさんは大満足です。
私も本日は炭水化物+炭水化物という悪魔的メニューです。ハァ〜幸せでした。
満腹になったお腹は睡魔が襲ってくるので、本日はミズモチさんと共にお昼寝をして、夕方ぐらいに目を覚ましました。
二重生活を送ることは大変なことかもしれませんが、メリハリがあることで私は生きている実感が持てるようになってきています。
さて、レベルが上がりましたので、スキルチェックです。
レベル 7(SP70)
SPのタッチすると項目が現われました。
・魔物の攻撃強化+6
・魔物の防御強化+6
・魔物の魔法強化+6
・魔物の魔法防御強化+6
・魔物の異常耐性強化+6
・魔物の回復力強化+6
・魔物の異常耐性回復+6
・魔物を装備へ
・杖術中級
・痛覚耐性
・毛
えっ?毛?発毛でも、育毛でも、無くて、毛って、そもそも毛って、髪の毛なんですか?それにスキルポイント70!!!全てを使わなければ習得できないスキルって、どれだけ凄いんですか?!!
もういっそ取ってみましょうか?明らかに強いスキルだと思うのです。
髪の毛から離れてしまったようにも感じますが、それでも私が髪の毛への執着を手放せていないから出現した凄いスキルに思えます。
ですが、私はすでに決めたのです。ミズモチさんと強くなってお話をすると……
new魔物を装備へ
・テイムした魔物を、魔物の種族に合った装備へ変更できるようになる。
これはミズモチさんを装備として使えるということでしょうか?
ですが、ミズモチさんはプルプルしていて、装備しても攻撃力が上がらないように感じます。いったいどうなるのでしょうか?
new杖術中級
・杖術中級、杖を武器として使うことが上手くなる。
アクティブスキル
・薙ぎ払い
・刺突
・突き落とし
・引っ掛け
・受け流し
・常の型
変な英語表記から、日本語に変わりました。
やっぱりこの方がしっくりきますね。
new痛覚耐性(小)
・身体に受けた痛みであれば、耐性を持つことができる。
あれですかね?オーガやゴブリンたちからダメージを受けたことで、痛みに対して強くなったのでしょうか?
様々な耐性や技を得ると、私も強くなっている実感を持てているのでしょうね。
「ミズモチさん。終わりました。いかがですか?」
【ミズモチ】《な~に~》
「えっ?今までと念話さんの聞こえ方が違います!!ふふ、話すときにプルプルするのは変わらないのですね」
【ミズモチ】《うん》
念話というよりは、アテレコしているような吹き出しが見えそうです。
それにメッセージを送られてくるようで、面白いですね。
【ミズモチ】《ご飯?》
「お昼寝して、スキルを考えて、もうお腹が空きましたか?それではご飯にしましょう。何が食べたいですか?」
【ミズモチ】《肉~》
「わかりました。今までよりも本当に話をしているようですね。ただ、ミズモチさんの声が聞こえはしないのでまだまだレベルを上げる必要がありそうですね」
やっとミズモチさんと意思疎通が言葉で出来るようになりました。