レベルアップ
有名なレベルアップ音が脳内に響いて、身体が光り出しました。頭部は輝いていませんよ。身体全体が光ったんですからね。
「えっ?レベルアップしたんですか?」
色々と大変なことが続いたせいで疲れてしまいました。
自宅に帰って傷の手当てして休息を取ります。
ミズモチさんは傷一つありません。さすがです。
明日が日曜日でよかったです。
鏡を見ると思っている以上に顔が腫れて、頭が……ゴッソリ……
「明日、理髪店に行くしかないですね」
手当を済ませて、痛み止めを飲んでホッと一息つきます。
ミズモチさんはご自身のダンボールベッドでご就寝です。
「ふぅ~一先ず、あのときの現象を調べないといけませんね」
【レベルアップ】、ネット検索するとすぐにヒットしました。
「冒険者になると味わうレベルアップとは……」
今回、レベルアップについてブログを書いてくれているのは、マッスルVさんの投稿です。
ダンジョンに一定回数潜っていると、身体に魔力が溜まっていき、その状態で魔物を倒すと、レベルアップ現象が起きるということだそうです。
「レベルアップすると、どのような恩恵があるのでしょうか?」
まずレベルアップをするとステータスを見れるようになる。
「えっ?ステータス?」
私が疑問系ながらステータスと口にすると、目の前にゲームで見かけるステータス画面が表示されました。
名前 アベ・ヒデオ
年齢 40歳
種族 人
レベル 1(SP10)
職業 ビーストテイマー
能力 テイム
使役 ミズモチ
「おお!本当にステータスが見れました。それに冒険者の職業はこれで分かるんですね。冒険者ギルドの受付さん……本当に説明なさ過ぎです」
表示に触れることもできて、それぞれの詳細も記載されていました。
名前、個体名
年齢、誕生から経過日数で割り出す数え年
種族、DNAで算出した種族=ヒト
レベル、魔力の蓄積量+魔物を倒した経験値で算出
SP、スキルポイント
職業、ダンジョン挑戦アビリティ
能力、ダンジョン職業から得られる能力、自分の内なる才能。
使役、テイムしている魔物
「ほうほう……レベルが上がるとスキルポイントがもらえるということですね。ダンジョンで役立つ能力や自分の内なる才能が習得できるのですね」
いったい私にはどのような秘められた能力があるのでしょうか?これは私のチュウニ魂がザワザワと騒ぎ出しますね。
「イデヨ!我が秘められた能力よ!」
SPのタッチすると項目が現われました。
・魔物の攻撃強化
・魔物の防御強化
・魔物の魔法強化
・魔物の魔法防御強化
・魔物の異常耐性強化
・魔物の回復力強化
・魔物の異常耐性回復
・魔物の経験値アップ二倍
・自身の回復(極小)
・悪臭カット
・育毛
……
………
……………
わかっています。
私に才能なんてないんですよね。
平凡な毎日を送ってきましたからね。
ただ、一つだけ言わせてください。
育毛は押しても良いのでしょうか?髪が生えてきますか?私……まだ諦めなくていいんですかね。
どれもスキルポイントを1消費するだけで取れるので、一先ず全ての項目をとっておくことにしました。
しかし、スキルポイントは10、取れるスキルは11……育毛と悪臭カット……私は悪臭カットを取りました。
育毛……ほしいのですが、むしり取られた部分だけが変に空虚になってしまいそうで怖いのです。
それに……加齢臭も気になっていましたからね。
もしも、また魔物に出会ったときに私の加齢臭で気づかれたとか笑えませんよ。
とまぁ自分に言い訳をしながら、私は育毛を何度も見つめながら眠りにつきました。
はい。日曜日は相変わらずのスーパーで大量買いしました。
その後は理髪店です。
「今日はどうされますか?」
「不規則な頭になったので、スキンヘッドにして頂けますか?」
「よろしいのですか?」
理髪店のご主人の目がキラリと光ったような気がします。
「ええ。出来るだけ綺麗にして頂ければ……」
「かしこまりました」
そこからの仕事は素晴らしいの一言ですね。
昨日のゴブリンとの遭遇によって、私は恐怖を感じると共に髪を命だと暴れた自分を恥じました。
後頭部に残された草原(私にとっては草原です)を守る戦いよりも、ミズモチさんと共に助かる生存率を上げたい。
そのためには邪魔な草原は必要ありません。
「出来ましたよ」
鏡の中では草原を失った私の頭が綺麗に肌色になって、蛍光灯の光を反射しておりました……何故でしょうか……瞳から汗が出ます。
「お客さん……あんた漢だよ」
「ありがとうございます!!!」
何故か理髪店で感動してしまいました。
スーパーカブに荷物を乗せて、本日もミズモチさんとパーティーです。
「ミズモチさん。昨日は命を助けて頂きありがとうございました。
本日は、ミズモチさんが喜んでくれるかわかりませんが、スーパーでステーキを買ってきました。
1ポンドのワイルドステーキです。
どうぞお召し上がりください」
表面だけ焼いたレアな焼き上がり、少し大きめに切り分けてミズモチさんへ近づけました。
ミズモチさんへ溶け込むと……ミズモチさんがいつも以上にプルプルしております。物凄く喜んでおられます!!どうやらミズモチさんは肉派のようですね。
一ポンドのお肉をあっという間に食べてしまいました。
昨日の今日なので、ダンジョン散歩はお休みして、本日は一緒に寝ました。




