オークの廃道 1
インフォメーションの水野さんにCランクになってもゴブリンの住処にいけるのか聞くために、やってまいりました。
「ゴブリンの住処ですか?もちろん行けますが、ゴブリンの魔石はDランクの初心者さんたちにお金を稼いでもらうために発注しているので、Cランクになると討伐依頼は受注できません」
う~ん、討伐依頼としては受けられないのですね。
ということは報酬が下がってしまうのでしょうか?
「ゴブリンの魔石を集めても売れないのでしょうか?」
「いえ、売ることは出来るのですが、討伐依頼ならば5個で1000だったのですが、ゴブリンの魔石は一つの価値が本来はかなり安い物なので値段が下がります」
なるほど、受けれるけどCランクになれば、態々ゴブリンの魔石を売るのでは稼ぎにならないということですね。
「Cランクでは、どんな場所へ行けばいいのでしょうか?」
「はい。それでは紹介させて頂きます」
・ウルフが彷徨う雑居ビル
・フットラビットが出現する密林公園
・オークが暴走する廃道
「おお!なんだか怖そうな名前ばかりですね」
「ゴブリンやスライムに比べれば確かにそうかもしれません。ですが、どの魔物も阿部さんなら問題なく対応できると思います」
ゴブリンも集団で来られると対応できるとは、未だに思いませんよ。
水野さんには過大評価を受けているように感じますね。
「ミズモチさんとのコンビなので、集団で襲ってくるウルフはオススメはしません。オークは集団では活動しないので、対応もできると思いますよ」
今年の干支がウサギさんなので、ラビットさんを退治するのは気が引けますね。
ただ、オークと言うのは、あのオークでしょうか?
「あの、オークとは豚の化け物ですか?」
「そうです。オークだけではなくボアと言われるイノシシの大きいのも出現します」
豚の人型と豚の巨大化ですね。
なぜでしょうか?ミズモチさんが喜んでいるように感じます。
豚肉だからでしょうか?ミズモチさんがオークと聞く度にプルプル度合いが増しているように感じます。
「あの、それではオークの廃道に行ってみます」
「はい。オークが出現して、使えなくなった道路に棲み着いていますので、入り込みすぎに注意してください。オークたちはゴブリンと同じく繁殖して数を増やしています。ゴブリンのときのように進化した個体も存在しますので、くれぐれも無茶だけはしないようにお願いしますね」
水野さんは何かと心配してくれるので、嬉しいことです。
「それとオークの魔石は、ゴブリンの三倍は大きいです。ゴブリンの魔石が石ころぐらいとするなら、オークの魔石はちょっと重たい石ぐらいあります。そのため一つで500円。討伐依頼を受けて頂ければ10個で、6000円で買いとらせてもらいます」
おお、ゴブリンよりも遙かに効率がいいです。
人型であれば、杖を実戦で使うのにもいいかもしれません。
さっそく、私はミズモチさんと二人で水野さんに教えて頂いたオークの廃道に向かうことにしました。
様々な場所にダンジョンが出来たことを聞いていましたが、こうして使われていない道に魔物が出るというのは本当に怖いことですね。
人が住めなくなることもそうですが、生活するために必要な道路まで使えなくなるのは大変です。
「あれですね」
あまり近づき過ぎないようにして、私は遠くに見える廃道を見ました。
廃道の横には使われなくなったトンネルがあります。
その先も廃道が続いてオークの縄張り?として活動範囲が広がっているようです。
そして、大きなイノシシさんとして水野さんにアプリで見せてもらった魔物のボアは……思った以上に大きかったです。
軽トラック?と同じ大きさのイノシシってどうやって倒すのでしょうか?
駐車場に寝転んでいるボア……もう、あれは軽トラックです。
「ミズモチさん。どうですか?戦えると思いますか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、頂きますと言っています》
「いやっ!ご飯じゃないですよ。ミズモチさん、オーガのときもそうでしたが、食いしん坊なところが強くなっていますよ!!!」
頼もしすぎる相棒のミズモチさんは、オークやボアがいる廃道にすぐにでも行きたそうにしています。
私は遠巻きにオークを見ておりますが、オークの顔は……ゴブリンよりも怖さが少ないです。
うん。完全に豚さんですね。豚さんが二足歩行であるいておられます。それはそれで……なぜだか間抜けに見えますね。
もっとこう……人型っていうのが強調されていると思っていたので、行けそうな気がしてきました。
「よし、ミズモチさん。ボアはお願いします。オークは私が頑張ってみます」
《ミズモチさんはプルプルしながら、ありがとうと言っています》
「いえいえ、こちらこそボアをお願いします」
廃道の中へと入った私は、察知さんに誘導されて一匹のオークと相対しました。
大きさとしては、私と背丈が変わらないか、少し身長が低いぐらい。
顔は完全に豚さんです。そして、手は豚さんの指で二足歩行をしておられます。
うん。強そうには見えません。
「新しい杖術の実験相手になって頂きます」
オークに対して恐怖耐性が働いて、私は黒杖さんを構えます。頭には水野さんに頂いたサークレット、身体は皮の胸当てを装備して、本日は完全装備です。
「行きます!プッシュ!」
私が突きを放つと、豚さんが意外にも俊敏な動きで避けられました。
「なっ!」
「ブヒヒ」
こちらをバカにするような笑みを浮かべる豚さん。
どうやら侮っていたのは私の方だったようです。
豚さんではなくオークでしたね。
オークは魔物なのです。油断してはいけません。
私は柳先生に習った構えで棒の先を隠しました。
「ブヒ?」
私が武器を隠したことで、オークは戸惑った顔をしました。どうやらこちらの攻撃を見極める知能をお持ちのようです。
「だからこそ、効果があるのでしょうね」
私はジリジリとすり足で近づいて、オークが攻撃を仕掛けようと腕を振り上げたところで、腕を黒杖さんで払ってバランスを崩して、コメカミに黒杖さんを思いっきり叩きつけました。
「ブヒィ!!!」
ダメージを受けているようです。
たたみかけるなら今です。
「ダウン」
オークの足の甲に打ち落として、痛みで慌てているオークの喉と鳩尾へ一撃を加えました。
「ふぅ~新たな技を手に入れた私に当たったのが不運でしたね」
一度言ってみたかったセリフを言い終えました。
私の前にはオークの魔石が落ちています。
どうやら一匹のオークであれば、私でも戦うことができることがわかって安心しました。
「ミズモチさん。ボアを」
私が声をかけるとミズモチさんはボアを飲み込んで消化しておられました。
最後に、ペッと魔石だけを吐き出されました。
ミズモチさんが、どんどん強くなっているようで何よりです。




