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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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いばらき童子ダンジョン 1

 河川敷から梅田さんが運転する軽自動車に乗ってやってきた場所には本物の鬼がいました。

 そこは茨木市にあるゴルフ場が多く存在する場所だったそうです。

 現在は、ゴルフ場のクラブハウスが鬼の住処になって、ダンジョンボスである、いばらき童子のレベルはBランク認定を受けています。


 子鬼と呼ばれるゴブリンよりも身体が大きく。

 大鬼と呼ばれるオーガたちはまるで鬼ヶ島に現われる鬼と同じで、赤や青……黄色や黒など様々な肌を持つオーガたちは人と変わらない身長をしていました。


 初めて見た私は恐ろしいと感じました。


 あのホブゴブリンと変わらない者達が、普通に歩いているのです。


「かっ、帰ることは出来ないのでしょうか?」

「なんやビビッたん?」

「まぁそうですね。ビビりました!メチャクチャ恐いです」

「ふふ、恐い言う人がそんなハッキリ言わんわ。それにミズモチさんも、阿部さんも全然恐そうな顔してへんよ」


 そうなのです。恐怖耐性のお陰なのか、私よりもレベルが上のオーガを見ても恐くないのです。

 これは危機管理能力の低下ではないでしょうか?絶対に恐いはずなのに……恐くないのです。


「まぁええよ。一匹ぐらいなら私だけでも倒せるから見といて」


 そういって梅田さんが狙いを定めて赤鬼に襲いかかりました。

 梅田さんの武器はアーミーナイフのような短剣でした。

 二本の短剣を両手に持って器用に相手を攻撃して、いなしていきます。


 オーガの印象は強そうから、ゴブリンよりも身体が大きく力強そうという印象に変わりました。


《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》


「ええ。私たちも行きましょう。察知さんがオーガの居場所を教えてくれます」


 この辺りはオーガが一匹ずつしか行動していません。


「ミズモチさん、ウォーターアロー!」


 河川敷よりも魔力が強いと感じたので、ミズモチさんの魔法を使ってみました。

 ミズモチさんも調子が戻ってきた様子で、水の矢がオーガの眉間に突き刺さり大ダメージを与えられました。


 さすがにレベルが向こうの方が上なので、一撃では倒せません。

 いつものヘルメットも無いので近づくのは不安でしたが、好機を逃すわけにはいきません。


「プッシュ!ダウン」


 オーガを押し倒してトドメを刺しました。


「やっぱりやるじゃん!」


 梅田さんが戻ってきていました。

 どうやら戦うのを見ていてくれたようです。


「うん。この辺のオーガなら私たちのレベルでも倒せるね」

「あっ、すいません。私レベル低いです」

「初心者って言ってたからわかるよ。レベル3くらい?」

「テイマーでレベル4です」

「レベル4であそこまで戦えたら凄いと思うよ。私はシーフでレベル7やし」


 おお!私よりも三つも上の先輩でした。


「今日は慣らすために阿部さんのレベルを上げよう」

「はい!ありがとうございます!!!」


 それからは察知さんでオーガを探して倒すを繰り返しました。二匹いるときは危ないかと思いましたが、ミズモチさんと梅田さんが背中を守ってくれるので安心して戦うことできます。


「うん。やっぱり阿部さんはセンスあると思うよ」

「センスですか?」

「うん。戦いの勘と言うか、間合い?慎重さと度胸のバランスがいいんやと思うで」


 梅田さんは凄く褒めてくれるので、調子に乗ってしまいそうになります。


「ちょっとだけ奥に進みたいねんけど。ええかな?」


 すいません、調子乗りました。正直恐いです。


《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》


「ですが、ミズモチさん」


《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》


「はぁ~任せろと……でも、日が傾きかけているので、時間を区切りましょう。あと30分だけでどうですか?」


 この時期になると15時を過ぎると暗くなってきます。

 山の天気は急に変わるので、なるべく早いほうがいいです。


「わかった。それでええよ」


 梅田さんが承諾してくれたので、もう少しだけ進むことにしました。


「ふぅ~今日はこの辺でええかな?」


 キッチリ30分が経った頃、梅田さんの方から終わりを告げてくれたので、車を止めている駐車場へ戻ることにしました。


 しかし、駐車場には……


「なんやあれ?」


 察知さんにも反応がありましたが、正確な数を数えることが出来ていませんでした。


「オーガが車の前に集まっていますね」

「ちょっ!あれ、まだローン終わってないねんで!壊されたらエライことやで!」


 慌てる梅田さんを抑えて私は……一つの作戦を提案することにしました。


「私がオーガを引きつけますので、車を取り戻して頂けますか?」

「阿部さん。ええんか?向こうは5匹はおるで?オーガは一撃では絶対倒せへんで」

「わかっています。倒すのではなく気を引くだけです」

「わかった。頼んます」


 両手を合わせて拝むのはやめて頂きたいです。


 私は仏様ではないので……ハァ~この技は封印したかったのですが……


「オーガ!!!私はこっちです!!!」


 車に群がっていたオーガたちを私の方へ引き寄せます。


「GYAAAAA」


 ホブゴブリンほどの威圧は感じません。


 それでも数が多い上にレベルが高いので、オーガの方が何倍も厄介です。


「こい!」


 私は5匹が完全に車から離れるのを見計らって作戦を決行しました。


「ライト!!!」


 暗くなり始めた山の中……ヘルメットを付けていない私の頭が太陽の光のように目映い光を放ちます。

 近づいてきたオーガたちの視界を奪うことに成功しました。


「ミズモチさん!」


 目の無いミズモチさんが魔法を使ってオーガを襲撃します。


「ライトアロー!!!」


 私は光り輝く頭頂部から光の矢を放ってオーガを攻撃します。


 エンジン音が聞こえて、梅田さんから合図が来ました。


「阿部さん!」


 私とミズモチさんは一匹ずつオーガを倒して車に飛び乗りました。


 レベルアップ音が聞こえてきたのは頭頂部の光が消えた後でした。

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― 新着の感想 ―
『ライト』で頭が光るとか読んだ瞬間に笑ってしまいましたw 公共の場でなくて良かった〜 『ライトアロー』が額からって設定も、想像するだけで笑えますね
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