酒呑童子
《side酒呑童子伝説》
酒顛童子、酒天童子、酒伝童子など呼び名は様々でありながら、日本古来から伝わる鬼で最も有名な名を表す。
九尾の狐の化身である玉藻や、妖怪の頭領と言われるぬらりひょんなどと並んで日本三大妖怪に数えられる。
鬼は本来死者の魂であり、中国から伝わってきたと言われている。
人に災いをもたらすものであり、荒々しく不気味な妖怪であり、人間とは相容れない存在だった。
しかし、日本に来てからは、人助けをしたら色の変化があったり、中には神として崇め奉られて、厄災から人々を守る存在へと昇華した。
そんな鬼の代表格、酒呑童子は、鬼は人間に近い存在になった。
凶悪には違いないが、大酒を飲み、美女をさらってきては酒池肉林を繰り広げるなど、どこかの暴君の所業を見せた。
酒呑童子は人の前に出る時は、おかっぱ頭の美少年外道丸として人と接していたという。
伝説の一つとして、自分を退治に来た源頼光らの前で酔っぱらったあげく、ついつい心を許して身の上話などを始める。もしかして泣き上戸か? 最期は頼光に退治され、めでたしめでたしで終わるはずだったが、だまし討ちにされたことに腹を立て、酒呑童子は「鬼はこんな卑怯なマネはしない」と怒った逸話を残す。
鬼として残忍性と凶暴性、非情さを持ちながら、はかり知れない孤独感と虚無感を併せ持つ。それが酒呑童子だと言われている。
そんな酒呑童子の住処として一般に知られているのは、京都の丹後半島の付け根にある大江山連峰だ。
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《side阿部秀雄》
カオリさんが聞かせてくれた酒呑童子の話はどこか陽気で明るくありながらも、悲しい逸話を持つ鬼の話でした。
「なんだか、憎めない鬼という感じですね」
「はい。お酒を飲んだあから顔が、赤鬼の由来とも言われています」
「今までの鬼たちもどこか悲しさを背負う鬼が多かったですが、今回は特別な意味合いが深い相手ですね」
「ですが、ダンジョンと化した魔物はその逸話を利用して作られた存在です。ヒデオさんが気に止むことはないと思います」
カオリさんの言葉に、私は黒鬼さんや黄色鬼さん、そして白鬼乙女さんの顔が浮かんでいきます。
鬼さんたちの逸話はどこか悲しさがあり、解決してあげたいのにできないもどかしさがありますね。
「さて、本日は京都福知山大江町で宿をとって、酒呑童子の情報を集めましょう」
「はい!」
福知山の木造建築宿である菱屋さんで宿を取りました。
古き良き木造建築の中に、最新のホテルや中庭が完備されていて、雰囲気のある旅館に京都の良さを味わうことができます。
「鳥名子 福知山本店さんを予約しておりますので、行きましょう」
東京を出て福知山に来るまでに移動ばかりでしたので、私たちは宿に荷物を落いて、夕食をいただくお店にやってきました。
鴨すき鍋と普段とは違うメニューに、鳥料理を提供してくれるお店です。
事前にミズモチさんが行っても良いのか、そして、50人前ほどをお願いしたいとカオリさんが問いかけると、快く承諾していただけました。
鳥取でも、四国でも、皆さん優しい方が多いので、ありがたいです。
どこのお店やホテルに行っても、料理を提供する際には大量に注文して、ミズモチさんが一瞬で食されていくので、戦場とかしていますが、どうか利益になってくださると嬉しいです。
「それにしても美味しいですね。私、鴨はあまり食べたことがなかったですが、ハマってしまいそうです」
「そうですね。独特な香りがしますが、鴨たたき、鴨の薫製、鴨柳川風鍋、鴨すき焼、鴨ねぎ焼など食べ方も様々あるんですね」
他にも焼き鳥や唐揚げなど鳥料理が充実しています。
ミズモチさんもいつもとは香りが違う鳥料理が美味しかった様子で、ご飯を食べる速度が速いように感じます。
「ミズモチさんは気に入ってくれたようですね」
「はい。本当に美味しいですからね」
私たちは締めに手打ち蕎麦をいただきました。
ミズモチさんが全力で食べられている横で、鴨すき鍋に、鴨燻製。鳥もつ焼き丼をいただきました。
ミズモチさんはサラダや丼など、私たちが食べていない料理も、鍋ができる間に食べられて凄い量が運ばれてはお皿が部屋から運ばれて行きます。
一人10000円ほどの予算で、ミズモチさんの支払いだけで1000000円を超えていました。
カオリさんは支払いと領収書をもらう際に、ニコニコと支払っていました。
「それでは帰ったらスキルの調整をしましょうか?」
「はい。レベルが上がってから、精神的な疲労が強かったので、放置していましたからね」
「やらなくちゃいけないことを後回しにするといいことはありませんからね。挑戦する前にしっかりと準備をしましょう」
「はい!」
風情がある宿に戻って檜でできたお風呂をいただきます。
見た目だけでなく、部屋一つ一つの品物が和風の雰囲気があるので、京都という雰囲気と合わせてとても居心地がよく感じてしまいました。




