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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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指名依頼 お盆のレイス 2

 私は依頼者に会うために、依頼者のお宅へお邪魔しました。


 テレビの豪邸紹介などでしか見たことがない門があり、中庭のあるお屋敷のチャイムを押すときは物凄くビビりました。


 ですがスーツを着て、正装で来た自分を褒めてやりたいと思います。


 チャイムを押すとご本人ではなく、給仕をされている女性が出迎えてくれて、屈強な男性に守られた初老の男性がソファーに座って待っておられました。


「阿部秀雄です」


 私が自己紹介をすると、初老の男性に促されてソファーへ腰を下ろします。


「どうも、西園寺剛蔵サイオンジゴウゾウと申します。この度は私の指名依頼を受けて頂き感謝いたします」


 華麗なる一族の旦那様と呼ばれそうな雰囲気をお持ちです。


「いえ、私のような者で良いのか不安ではありますが、誠心誠意努めさせて頂きます」

「ふむ、謙虚な御仁だ。それでは早速仕事の話をさせていただいてもよろしいか?」

「はい。よろしくお願いします」


 ここにいるだけで緊張してしまうので、早く話してくれるのはありがたいです。


「かつて私が住んでいた屋敷なのだが、妻を病で、娘を事故で亡くしてしまってね。悲しみで家を引っ越したのだが手放すことができなくて放置していたら、どうやらダンジョン化してしまったようなのだ」


 現在は、冒険者ギルドが監視をつけているそうです。

 お屋敷と部屋の敷地内にある中庭がダンジョンの対象です。


 西園寺さんと別れた私はダンジョンに向かいました。


 屋敷に辿り着くと、私が感じたのは有名なお屋敷ホラーゲームです。

 なんとかダンジョンを消滅させて西園寺さんの奥様と娘さんを安らかに眠れるようにしてあげたいです。


「ミズモチさん。幽霊は怖いですね」

「ヴュ〜!」


 電気をつけることはできるそうなのですが、一先ず屋敷に辿り付かなければいけません。大きな門には木々が絡み付いて開くことができなくなっております。


 代わりに人が一人だけ入っていける勝手口から入らせて頂きます。


「お邪魔します」


 西園寺さんの家に寄ってからやってきました。

 ですから、お昼を超えているはずなのに中には木々で太陽の光が届いていません。薄暗い中庭に足を踏み入れました。


 真夏の酷暑と言われる大都会の中で、ひんやりとした空気が味わえるとは思いもしませんでした。私は唾を飲み込んで進んでいきます。

 

「家の中に噴水があります!」


 勝手口から家の中を目指して歩いていると水の音が聞こえてきて、向かってみると噴水がありました。

 和風の家ならば、鯉などがいそうですが、洋館が建てられているので噴水なのでしょうか?


「ふぅ、いつものダンジョンと違って緊張しますね」

「ヴュ〜」

「ふふ、ミズモチさんがいてくれることがとても頼りになります」


 私はミズモチさんを抱きしめて、ゆっくりと進んでいきます。


 ここに来るまでに戦闘衣装に着替えているので、薄暗いなかでも私だけ真っ白なので目立って仕方ありません。


「ふぅ、相手が魔物ですからいいのですが、魔物といっても幽霊は怖いですね」

「ヴュ〜」

「ふふ、ミズモチさんは平気そうですね」


 本当に心強い味方です。


 噴水を通り過ぎて、台所にある屋敷の勝手口へと辿り着きました。


 台所の扉を開くと……、


 ダンッ!!!


 いきなり何かを叩きつけるような音が響いて、ドキッとしました。

 

 しかし、音がするということは何かいるかもしれません。

 私はそっと覗くように台所を見ました。

 すると、コック服を来たゾンビがいます!


 レイスだけではないのでしょうか? どうやらゾンビもいる様子で、コック服の大柄なゾンビが包丁を持ってテーブルに叩きつけています。


「怖っ! 物凄く怖いです!」


 もう少しで叫びそうになってしまいました。

 私、こういうの本当に怖いです。

 あれを倒さなければ中に入れないのですね。


 どうしましょうか?


「ヴュ〜」

「えっ? ミズモチさんが倒してくれるのですか?」

「ヴュ〜」

「わかりました。不甲斐ない私ですみません」


 ミズモチさんは私の腕から飛び出して、ゾンビコックに近づいて行きました。


「……」


 私が見守る中で、ミズモチさんは高速でゾンビコックさんの背後をとって氷漬けにされました。見た目は人でしたが、魔石へ変化しました。


「やっぱり魔物なのですね! さすがはミズモチさんです。どうしても人に見えると怖いと感じてしまいました」


 ですが、魔物だと思って気合を入れる必要がありますね。

 幽霊さんも、ゾンビさんも実在の人ではないのですから、魔物なのです。


「よし、行きましょう」


 今度は私も戦わなければいけません。

 ゾンビコックさんがいなくなったので台所に入り、そこから繋がる部屋をのぞきました。どうやら皆さんで食事をされる食卓が置かれている部屋でした。

 広いので二十名ぐらいが一緒に食べられる大きなテーブルが置かれています。


 もうここでパーティーができそうですね。


「ここは誰もいませんね」


 私は隣の部屋に進んだところで、扉を開ける音がしました。

 テーブルの下に潜り込んで、やってきた魔物を見ます。


「今度は? 執事さんでしょうか?」


 執事ゾンビがテーブルの周りを見回って、また扉から出て行きました。


「ふぅ、行きましょう」


 私がテーブルの下から出て扉に向かって開くと執事ゾンビが立っていました!!!


「うわっ!! ライト!!!」

「グアあああああああああ!!!!!!!」


 私の頭が光と同時に、執事ゾンビさんが消滅しました。


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