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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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休みの計画

 海の日を含んだ三連休が終わって、猛暑日が続いています。


 皆さんはお元気でしょうか? 熱中症などに負けていませんか? 私は頭が暑いので、最近は帽子を被って保護しております。


 暑中見舞いを出さなくなって久しく、夏のご挨拶も誰にもしていません。


 お盆になったら帰省することも考えていましたが、お盆に移動する新幹線も飛行機も取れませんでした。


 今年は皆さん移動の年のようです。早々とチケットを取られていたのですね。


 私はミズモチさんがいるので、できれば指定席を取りたいので、今回は諦めることにしました。


 代わりに年末は帰ろうと思うので、早々にチケットをおさえました。


 お盆はカオリさんのご両親にお会いしようと思ったので、カオリさんがミヤコさんのところにアルバイトに行っている間に、私はカオリさんの友人であるユウリさんの焼き鳥家さんに来て、ご相談することにしました。


「というわけで、ご挨拶を考えているのですが、どう思われますか?」

「阿部さん、カオリから付き合ったことは聞いてたけど。まさかいきなりうちに来てそんな悩みを言ってくるとは思わなかったよ」


 ご予約して、カオリさんに本日はこちらで食事をいただくことは伝えてあります。


「変でしたでしょうか? ここの焼き鳥は美味しいので、また来たいと思っていました」

「いや、それは嬉しいけど。別に普通にご飯を食べに来てくれるのは良いんだよ。この紫なのか、ピンクなのかわからないスライムちゃんも可愛いからそれでは全然ね」


 ミズモチさんを受け入れていただいて嬉しいです。


 本日はカオリさんがいないので、夕食がありません。

 

 最近はカオリさんの料理に舌が肥えてしまったので、私の作る物よりも、どうせならば美味しい物が食べたいと思ったので、こちらに来させていただきました。


 平日の水曜日だったので、お客様も少なく快く迎え入れてくれたので、本日は店にある全種類の食材を全ていただくつもりです。


 私はちょっとずつ味わう程度ですが、ミズモチさんが満足していただくために全ての注文しました。


「それにこれだけ豪気に注文してくれるお客様も珍しいからありがとうございます。だけど、カオリの両親についてはプライベートなことだからカオリ自身からきいた方がいいと思うよ。うーん、私から言えるのはカオリの両親は離婚してて、それでちょっと色々とあるってことくらいかな?」


 いきなり凄い情報が飛び出してきたのです。

 その情報こそ、言ってはいけないのではないですか?


「離婚しておられたのですか? 知りませんでした。それではカオリさんはお母さんの元で? それともお父さんの元で?」

「それがさ、カオリが成人してから離婚しているから色々と複雑なんだよね。カオリも精神的に参っている時があったから、その時でね。それを救ってくれたのがミヤコママって感じ」


 ミヤコさんにも挨拶に行けていませんから、改めて挨拶をする必要がありそうです。


「そうだったのですね!」


 私はカオリさんに話を聞いてもらうばかりで、カオリさんのことをちゃんとわかっていませんでした。


 カオリさんもあまり自分のことを言いたがらないので、つい話題を変えていました。ダメですね。


 もっとカオリさんの話を聞かなければいけません。


「貴重な話をありがとうございます。カオリさんと話してみます。それでは本日は全商品の食べ比べと、全種類のお酒を飲み比べて行きますので、どうぞじゃんじゃん持ってきてくれださい」

「本当にいいの? 結構な値段するよ。それに食べきれる?」

「もし、お客様が来ないのであれば、お二人の夕食にしてもらってもいいですよ。費用は私が持ちます。貴重な情報を教えていただいたお礼と思っていただければ」


 臨時収入が入り、カオリさんにもある程度は好きに使ってもいいと言われています。カオリさんの友人に使うなら私も心地よく使えます。


「そう言うなら、お言葉に甘えようか? ちょっと早いけど店じまいしよ」

「ああ」


 店主さんも早く店が閉められて、少しだけ嬉しそうです。


 その後は、お二人とお酒を飲み交わしながら、色々な話を聞かせていただきました。


 カオリさんが精神的に参っていた時の話や、学生時代の話など、お酒が入るとユカリさんの口も軽くなって、たくさんの話を聞くことができました。


 本人からは聞けないような話が多かったので、とても面白かったです。


「本日はご馳走様でした」

「いやいや、こっちの方こそです。こんなに太っ腹なお客様は初めてでした。今度はカオリも交えて四人で飲みましょうね」


 ユカリさんにと旦那さんに見送られて、私とミズモチさんは焼き鳥屋さんを後にしました。


 また一軒、美味しくていきたくなる店を見つけられたので嬉しいですね。


「ミズモチさん、私たちはカオリさんのことを全然知りませんでした。料理上手で、聞き上手、それに優しくて、賢くて、ついつい甘えてしまっていました。これからは私もカオリさんの力になれるように頑張りたいです!」


 ミズモチさんと二人で夜道を帰る道すがら、家に灯りがついているのを見て嬉しくなってしまいました。


「もう帰られていますね。ただいま帰りました。カオリさん」

「お帰りなさい。ヒデオさん。ミズモチさん」


 誰かに出迎えてもらうのは、やっぱりいいですね。 

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