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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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丁寧な冒険者さん

【Side水野結】


 インフォメーションをしていた神田先輩が寿退社されることが決まったため、冒険者受付からインフォメーションへ異動することになりました。


 インフォメーションは、初心者冒険者にギルド内の案内をすることはあるのですが、ほとんどの場合は面倒な冒険者さんから飲みや遊びの誘いがある程度で、仕事らしい仕事は講習の予約の電話を受けるぐらいです。


「あの~」


 そんな私に話しかけてきたのは、スキンヘッドの迫力ある男性でした。

 内心では、また口説きにきた人かな?って思っていると……


「はい。冒険者の方ですか?」

「はい。私は阿部と申します」


 阿部さんと名乗った男性は、冒険者カードを見せてくれました。

 ここに来る人はだいたいが冒険者さんで、わざわざ自己紹介する人は珍しいので戸惑ってしまいます。


「阿部さんですね。私は水野と申します」

「これはこれはご丁寧に……水野さん。私、冒険者になったばかりでわからないことがあるので質問しても大丈夫ですか?」

「はい、何をお知りになりたいですか?」


 物腰の低い阿部さんに、私は淡々とダンジョンについての説明をしました。

 ほとんどの方が話の途中で面白くないと言って立ち去ったり、もういいと言って話を最後まで聞いてくれない方が多いです。


「ご理解頂けましたか?」

「あっ、はい。ありがとうございます!!!ダンジョンについて理解できました」


 阿部さんは最後まで真剣な顔で聞いてくれて、本当に珍しい人です。


「はい。そして、Dランクでも、出現する魔物が異なるため、Dランク下位や上位が存在します。初心者にはDランク下位のGの巣穴、ゴブリンの住処、スライムダンジョンの三つを勧めております」


 つい、冒険者の受付時代にしていた流れでダンジョンの紹介をしてしまいました。

 インフォメーションの私でも紹介はできるのですが、本来は受付に回す仕事を、つい言いたくなりました。


「それではゴブリンの住処に行くことにします」

「承知しました。同時に依頼を受けられると、報酬が出ますよ」

「依頼?」


 もうここで話を止めてしまうのもおかしいので、私は依頼についての説明もすることにしました。


「何から何までありがとうございます」


 最後まで真剣に私の話を聞いてくれて、お礼まで言ってくれました。

 私は真面目過ぎて面白くないと、同僚に言われたことがあるので、阿部さんの態度は私にとって新鮮でした。


 つい、私も話していて楽しくなってしまっていました。


「いえいえ、阿部さんは凄く丁寧な方でしたので、説明もラクでしたよ」


 本当につい、笑顔になってしまいました。


 それから阿部さんは冒険者ギルドに来るたびに挨拶をしてくれて、私は、つい阿部さんのお世話をしてしまうようになりました。


 そんなある日、夜勤の人と交代する時間に電話がなりました。


「はい冒険者ギルド水野です」


「たっす……け……て」


「えっ?どうしました?あなたは誰ですか?」


 何度呼びかけても反応がないのでヤバい状況なのか心配になり、私は番号を調べました。

 冒険者ギルドには冒険者であれば連絡が取れるように、電話番号を登録してもらっています。

 調べればすぐに阿部さんの電話だとわかったので、今度は住所を調べました。

 冒険者の方は亡くなることもあるので、ご家族へ連絡するために住所の閲覧が認められていることが助かりました。


 私も慌てていたのだと思います。


 夜勤の人と交代して、阿部さんの家へ向いました。

 家にいるのかどうかもわからないのに、後で考えるとバカなことをしましたね。

 ですが、知っている人が助けを求めていると思って、冷静さを欠いていました。


 阿部さんのお宅に辿り着くと玄関が少し開いていて、阿部さんの靴が見えました。


 私が扉を開くと阿部さんが倒れていました。

 傷は無いので、病気?私は阿部さんの顔色を見て、講習で習った毒の症状に気付きました。

 職員用に渡されているポーション(小)を阿部さんに飲ませます。


 毒消しがあればもっと良かったのですが、大きなケガをしていないので、ポーション(小)でも十分に毒を消してくれるはずです。

 阿部さんの布団を引いて、なんとか寝かせることが出来ました。途中でスライムさんが助けてくれたので、運ぶことが出来てよかったです。


 阿部さんが目覚めたときに、お腹空くかも知れないと思って、簡単なお粥を作り終える頃には、阿部さんが目を覚ましました。


 状況説明などを終えると、阿部さんは自分のことよりもスライムさんのことを心配して、本当に優しい人なんだと思います。


「阿部さん」

「はい!」


 熱を測るために近づくと、不安そうな顔をする阿部さんがなんだか可愛いのです。世話のかかる人ですね。


「うん。熱は下がりましたね」


 私が離れると阿部さんの顔が赤くなっていました。

 熱は下がっていますが、まだ体調は本調子ではないのでしょう。


「あれ?顔が赤いですが、まだしんどいですか?」

「あっいえ、大丈夫です!」

「よろしい。ソロでダンジョンに行かれているんですから、毒や異常状態についての知識は持ってくださいね。今回は私が救うことが出来ましたが、次も助けられるとは限らないんですからね」

「あっ、ありがとうございます!!!この度は命を助けて頂き。どうぞ何でもおっしゃってください。お礼をしたいと思います」


 土下座の姿勢で頭を下げなくてもいいのに、阿部さんの動きが面白くて、つい笑ってしまいそうになります。


「そこまでしなくてもいいですよ。まぁ今回は貸し一としましょう。これでも冒険者ギルドに勤めていますので、冒険者の方へのケアも仕事です。逆に私たち冒険者ギルドが困っているときは、助けてほしいときに声をかけさせてください」


 阿部さんに本当に頼み事をするかはわかりませんが、こういう言い方をした方が、阿部さんは納得してくれる気がしました。


「わかりました!なんでも言ってください!お手伝いさせて頂きます!」

「はい。本当に今回は危なかったんですからね。異常状態の講習を受けてくださいね」

「承知いたしました」

「よろしい。顔色も先ほどよりもよくなって、これだけ話ができれば十分ですね。一応消化の良い物がいいと思ったのでお粥を作って起きました。朝にでも食べてください」


 その後は注意点を上げて、タクシーで帰りました。


 なんだかんだと阿部さんの世話をしてしまうのも……ついです。

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― 新着の感想 ―
わざわざsideの話をやるってことはもしかして、3人の女性がこの作品のヒロイン候補ってことか?
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