防具を買おう
週末までご近所ダンジョンは入り口だけにして、ゴブリンを警戒しながら散歩をしました。
そのお陰なのか、ゴブリンとの遭遇はあれからありません。
週末になって冒険者ギルドに弓と剣を持ち込みました。
「水野さん。こんにちは」
「阿部さん。顔色が大分よくなりましたね」
「はい。その節はありがとうございました。それで、良ければこれ食べてください」
私は有名なクリームパンを持参してきました。
このクリームパンが私大好きでして……
「もう、気にしないでくださいって言っているのに、お礼はこれで最後ですよ。私も頼みにくくなってしまうので」
「はい。でも、頼み事があれば言ってくださいね。必ずお礼はしますので」
「ありがとうございます。あっ、そう言えば本日耐性系の講義があるので受けられますか?」
「お願いします」
「それでは11時ですので、ご予約お取りしておきますね」
「はい。ありがとうございます!!!それでは行って参ります」
「お気を付けて」
水野さんに耐性講義の予約をしてもらったので、あと30分です。
今のうちに買取り所のカリンさんのところへ行っておきましょう。
「うん。ゴブリンの弓(状態 不良)、ゴブリンの剣(状態 不良)だね。どっちも魔力が高いけど……まぁいいか。弓は矢がないから5万だね。剣は需要が多いから、20万だよ」
えっ?えええええ!!!!!25万!!!!私の月給よりも多いです。私の手取り23万なんですけど!!!!
「驚いているところ悪いね。魔力量が多いからだから、普通のゴブリンの弓(状態 不良)は2万円〜3万、ゴブリンの剣(状態 不良)は10万くらいしか価値ないから、今回は特別だと思うよ」
思った以上の高額がついて驚いてしまいました。
普段の倍の価格だと説明してくれるカリンさんは丁寧ですね。
「それで?今日も何か買うの?」
「それが、私この間ケガをしてしまいまして、軽くて普段着られるような防具はないですか?」
「う~ん、防御力に寄るけど、心臓とか急所だけを守るなら胸当てかな?足ならブーツを履いた方が早い」
そう言って見繕ってもらったのは、皮シリーズと呼ばれる防具たちでした。
皮のジャケット、皮の胸当て、皮のガントレット、皮のパンツ、皮のブーツ。他の鉄シリーズよりは軽いそうです。
「う~ん、それぞれのお値段を聞いても?」
「皮のジャケット15万、皮の胸当て10万、皮のガントレット6万、皮のパンツは12万、皮のブーツは10万だね」
どれも高い!皮シリーズと言っても魔力を帯びていて、頑丈さと魔法に対して防御力が高いそうです。
「冬用に皮のジャンパー50万とか、全身のライダースーツバージョン100万もあるよ」
皮って凄いですね!
「中級ダンジョンの魔物から取れる皮を加工する鍛冶師がいるからね。色々なバージョンをオーダーメイドで作れるよ」
絶対高い奴です!カリンさんの目が¥マークになってます!!!
「皮の胸当てをください!」
「まいど~10万で~す。ポイントでオマケしとくね」
「ありがとうございます!!!」
ここに居ては何か買わされてしまいます。
私は逃げるように立ち去りました。
いつの間にか講習の時間になっていたこともあり、耐性について講義を受けました。
耐性は
毒
麻痺
石化
睡眠
魅了
幻覚
恐怖
などが主流で確認されていて、他にも特殊な異常状態があるそうです。
出会った魔物によって使ってくる異常攻撃が違うので、耐性についての勉強も必要ですが、魔物についての知識も必要なのですね。
異常攻撃を使ってくる魔物をいくつか例題を上げていましたが、どの異常効果もスライムさんの進化系に存在するので、ミズモチさんもいつか使えるようになるのでしょうか?
《ミズモチさんはプルプルしながら、あなたへ話しかけています》
「ええ、そうですね。いつかレベルが上がれば、ミズモチさんも進化するんですね」
私、某モンスターゲームが大好きだったので、進化は胸熱展開です。
ただ、あのアニメの主人公さんが卒業されるそうです。
22年近く頑張っておられたので、寂しいですね。
お疲れ様でした。
「あれ?阿部さん、今日はいらしていたんですね」
私が講習を終えて、冒険者ギルドを歩いていると、湊さんに出会いました。
ショップのときもそうでしたが、湊さんとは縁があるのか、良く遭遇しますね。
「こんにちは、湊さん。私は今、耐性についての講習を受けてきました」
「ああ、新人のときに受ける講習ですね。私も受けたことありますよ」
「講習って受けないと、冒険者知識が無さ過ぎて色々大変ですね」
「本当に大変ですね。あっ、阿部さんはお昼はもう食べました?」
「いえ、今講習が終わったばかりですので」
「なら、一緒に食べませんか?」
「えっ?パーティーメンバーは良いんですか?」
「ええ。今日は、私しか来てないので」
ちょっと疲れたような顔をする湊さん、色々とあるのでしょうね。
社会人をしていれば、苦労している人の顔ってなんとなくわかってしまいますね。
「湊さん、臨時収入が入ったので、今日は私が奢ります」
「えっ?そんな悪いです」
「いえいえ、実はまたまたドロップ品がありまして」
「えっ!私たちダンジョンに行っているのに、まだ魔石しか見たことないですよ!阿部さん運がいいんですね」
私のドロップ品は全て、あのご近所ダンジョンの物ですが、まぁ言わなくてもいいですかね。
「そうなのかもしれません。ですから、奢らせてください」
「ふふ、それではご相伴に預かります。えっと、食べたい物があるんですがいいですか?」
「なんでも、ドンとこいです」
私は湊さんに連れて行ってもらい、アメリカンの雰囲気が漂うお店にやってきました。
「ここのビッグバーガーが大好きなんです!」
ビーフ100パーのハンバーグにドデカいバンズ、レタスにトマトというシンプルなハンバーガーがとりあえず大きく。ソースが美味しかったです。
「ミズモチさんも食べますか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、あなたへ話しかけています》
「えっ?三つ食べたい。はは、いいですよ」
「あっ、あの~阿部さん」
「はい。なんですか?」
「ミズモチさんは、普通の食事ができるんですか?」
「はい。大丈夫ですよ。ミズモチさんは嫌いな物はありませんよ。熱いのは身体が熱くなってしまうみたいですが」
「へぇ~不思議ですね」
湊さんとミズモチさんと一緒に巨大ハンバーグを堪能しました。私は一つを全部食べきれませんでした。
残ったのはミズモチさんが食べてくれましたが、湊さんは一人で食べきっていました。
さすがの若さですね!羨ましいです!!!