毒蛇ダンジョン 1
ドラゴンのダンジョンに向かうのが来週だということもあり、我々は互いの連携を確認するために、一日だけ一緒にダンジョンに向かうことにしました。
選んだダンジョンは、C級として認定されている毒蛇ダンジョンです。
これまでの私はミズモチさんと二人だったので、毒に対して危機感を感じていました。一度ゴブリンの矢が肩に刺さった際に毒によって苦しみ、ユイさんに助けて頂いたのは苦い記憶です。
そのため毒というワードに危機感を持っておりました。
ですが、チームで行動するのであれば、誰かが毒に侵されても、救ってくれる可能性があります。
何よりも私には毒耐性があるので、どこまで耐えられるのか? 試すのもありかもしれません。もしかしたら、ドラゴンが毒を放ってくることも考えておくために、色々と事前に爬虫類について慣れておきたいのです。
ユイさんに毒蛇ダンジョンに行くための注意点をお聞きしにやってまりました。毒消しのアイテムや蛇の弱点。危険に陥りやすい状況などを事前に聞いて、準備をします。
「初めてですね」
「えっ?」
「ヒデオさんが事前に調査をここまで丁寧にされるのは」
「ああ、確かにそうかもしれませんね。私一人でしたら、行って目で確認すればいいと思っていました。何かあればミズモチさんがなんとかしてくれていたので」
「ふふ、ソロの方とは思えない発言ですね」
「そうですか?」
「ええ。ですが、今の発言でヒデオさんがリーダーとして頑張っているのが伝わってきます」
確かに他の方々がいるから準備をしっかりとしないといけないと思いました。
皆さんが怪我をして、取り返しのつかないことになってはいけないと思ってしまうからです。
「まだまだだと思いますが、頑張りたいと思っています」
「ええ、私たちも協力できることはさせて頂きます。カリンにも相談していただければ、アイテムを薦めてくれると思いますよ」
「ありがとうございます。このまま向かってみます」
「はい。お気をつけて」
ユイさんに勧められて、カリンさんの冒険者ショップを訪れました。
最近はドロップ品があまりゲットできていないので、来る機会が減っていました。
「おっ、久しぶりやん。阿部さん」
「久しぶりと言っても、今月の最初にタツヒコ君のことでお世話になりましたよ」
「あ〜まぁあれは色々あるよ。それで? 今日は買取?」
「いえ、ホーンブレイクという冒険者パーティーを組んだので、今回はパーティーで使う回復アイテムや毒消し薬を購入しにきました」
「へぇ〜阿部さんが誰かと冒険なんて成長したな。それに買ってくれるならサービスするよ」
カリンさんは私が一人で危ないことをしているのを知っているので、心配してくれたようです。前回のポイントも貯まっているので、ポイントも使ってしまいたいです。
「ヨッシャ! 任せて。毒蛇のダンジョンに必須アイテムを取り揃えるから、ちょっと待ってて」
カリンさんに品物を集めてもらう間に、私はショップ内を見て回りました。
自分以外の装備品の値段などを見ました。
タツヒコ君が使っていた鉄の剣は、100万もするそうです。
魔力を帯びているというだけで凄い額ですね。
それに綾波さんの弓は300万。
矢は一本1万だと思えば、気が遠くなるように感じます。
それを何本も使わせてしまうのは、控えたいです。
私は、黒杖さんに出会えて本当によかったです。
サナさんはそういう意味では武器には困っていませんね。
ただ、私と同じで魔物さんのご飯代が出費として換算されるわけです。
三人はそれぞれやっぱり経費が大変でしょう。
私は白鬼乙女さんに白金さんを頂いて、防具も頂き物が多いです。
A級昇格が叶えば、三人にお礼として装備をプレゼントするのもありかもです。
「阿部さん用意できたよ」
「ありがとうございます」
「五人分でよかったん?」
「はい。用意はしっかりしておきたいので」
「それじゃあこれで全部で、50万やから細かいところは」
私はカリンさんが用意してくれたアイテムにポイントを使ってお支払いをしました。流石に50万分もポイントはなかったのですが、ポイントを全て消費して随分と安くなりました。
「ありがとうございました」
「A級試験のことも聞いてる。無理はダメだよ。だけど、阿部さんならやってしまうような気がするから不思議なんだよね」
ユイさんやカリンさんは私に期待してくれているのだと思います。
それに応えられる私で居たいです。
「無理はしませんが、頑張ります」
「まぁそれが阿部さんって感じがするよ」
私は改めてお礼を言って冒険者ショップを後にしました。
週末になって、毒蛇ダンジョン前にやってきました。
毒蛇ダンジョンは、元々ダムだった暗くてジメジメした場所で、巨大な建物に警戒が強くなります。
「私は蛇も可愛いと思うけどなぁ〜」
「無理キモイ」
「俺もちょっと」
「男ならシャキッとしいや」
誰かと冒険者するってにぎやかでいいですね。
ミズモチさんは藤丸君の上に乗せて頂き満足そうです。