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エレファントダンジョン 終

 私の言葉に三人は覚悟を決めたような顔をされました。


「師匠、俺たちだって三人でC級ダンジョンのボスを倒したんだ。B級だからって怯んだりはしません」

「先生、さっきは助けてくれてありがとう。今度はちゃんと見せるから」

「見てて、私は強い」


 若いって良いですね。

 

 確かに至らぬところもあるかもしれせん。

 

 ですが、若いからこそ怖さを払いのける勢いがあります。


 彼らは戦うことを決意して、相手を見極め自分たちにできることを考え始めました。


 巨大なマンモスに一撃を当てても、効果が薄いです。

 ではどうやって倒せばいいか? あの巨大になろうと弱点は変わりません。


 毛に包まれた巨大マンモス……、羨ましいですね。


「皆さん、まずは、あの分厚い毛をどうにかしないといけません。目を潰そうにも毛で隠れています」


「私に任せてほしいんだ。藤丸!お願い」


 サナさんは私がミズモチさんに乗っているのを見て、藤丸君に跨りました。

 狼に乗った少女は、器用に割れた地面を走り抜けて、火の魔法を使って巨大マンモスに火をつけていきます。

 点いた火はすぐに消えてしまいますが、サナさんはつけては離れのヒットアンドアウェイを繰り返しています。


「私も!」


 藤丸君が巨大マンモスを翻弄しているところへ、綾波さんが風を使って矢は放つだけでなく、サナさんがつけた火に風を使って、火を強めていきます。


「俺も負けてらんねぇな」


 二人の活躍で少しずつダメージが蓄積されています。

 そこへ、タツヒコくんが剣を持って突撃していきました。


「オラ!」


 巨大マンモスの足を切り付けていますが、明らかに攻撃不足です。

 剣術のことは分かりませんが、ただ切り付けるだけでは巨大マンモスには攻撃が通りません。


「雷神剣!」


 攻撃力を補うように、タツヒコ君は剣に雷を纏わせて巨大マンモスを切り付けました。


《グウォオオオオ!!!》


「おお!」


 雷鳴と共に切られた巨大マンモスにダメージが入りました。


 タツヒコ君の必殺技です。


 凄いですね。雷を使う勇者って凄く憧れます。


「三人とも本当に成長されていますね」


 チームワークに魔法を使った攻撃。

 彼らは成長した姿をしっかりと私に見せてくれています。


「ミズモチさん。私たちも参加しましょう」


《いく〜ゴハン!》


「ふふ、ここでの主役は三人です。私たちはあくまでサポートですからね」


《は〜い!》


 私もミズモチさんに乗せてもらって、白金さんを持って三人の戦いに参戦します。三人はそれぞれで役目をしっかりと果たしています。

 

 タツヒコ君が近接戦闘で、相手の防御を突破してダメージを与え。

 サナさんが藤丸君と共に翻弄して、魔法を放ち。

 綾波さんが牽制と、二人の援護。


 本当に素晴らしい戦いを繰り広げています。


 ですが、どうしても巨大マンモスを倒し切るための一手が足りていません。


「ミズモチさん。今回は私に任せてください」


 白金さんをハサミのように変化させます。


「それではいきましょうか」


 三人を援護するためには、あの邪魔な毛を切る必要があります。

 

 ええ、別に毛が羨ましいわけではありません。

 ただ、倒すの邪魔なだけです。


「皆さん、私が巨大マンモスの毛を刈ります。皆さんは刈った場所に攻撃を!」

「「「はい!!!」」」


 良い返事ですね。


「ミズモチさん。お願いします」


《高速移動!》


 ミズモチさんの勢いに任せて巨大マンモスの周りを飛び回っていきます。

 巨大マンモスですからね。

 どこからでも毛が刈りたい放題です。


 いや、たくさんの毛があるって鬱陶しいですね。


 丸裸にしてあげますよ。


「うわ〜、先生がめっちゃ生き生きとしている」

「師匠、巨大エレファントに並々ならぬ思いを持っていたんだな」

「素敵」

「「えっ!!!」」


 私が刈った場所を三人が攻撃してダメージを蓄積していきます。

 巨大マンモスも突如刈られる毛に分けがわらなくて、長い鼻を使って攻撃してきますが、全然当たる気しません。


 暴れるように向きを変えようとします。


「ミズモチさん」


《アイス!》


 巨大マンモスの足がミズモチさんが作り出した氷によって滑っていきます。


「足元注意ですよ。ほら、お腹を見せてくれましたからね。そこも刈ってあげます」


 私はここぞとばかりに、お腹から足の毛を刈ってやりました。


「ふぅ、見慣れた象さんの出来上がりです」


 多少は毛が残っていますが、全身の毛を刈ってやりました。

 これでスッキリですね。


「容赦ねぇ〜」

「なんだか、エレファントがかわいそうだよ」

「残忍、それがいい」

「「えっ!!!」」


 巨大マンモスの全身は傷だらけになって、今にも倒せそうではありますが、ここで私がトドメを刺してはいけません。


「さぁ、巨大マンモスは虫の息です。ですが、追い詰められた魔物は何をするのか分かりません。十分に警戒してトドメを刺しますよ」

「「「はい!!!」」」


 それからは私が巨大なマンモスが暴れそうな時は指示を出して退避して、三人にトドメを刺してもらいました。


 B級ダンジョンのボスモンスターは、A級魔物クラスの魔石をドロップします。


「やったー!B級ダンジョンを攻略したよ〜!」

「ああ、俺たちもやれる」

「講師、強い」


 三人が喜んでいる場所に私は降り立って、変身を解除しました。


「さぁ、帰るまでが大事ですからね。魔石を持ってダンジョンを出ますよ」

「は〜い。もうこういうのはコリゴリだよ」

「明日は休みにしよう」

「疲れた」


 私たちは無事にダンジョンを脱出して帰路へ着きました。

 後日、本日の反省会をすることを約束して帰り着けたことは、彼らの成長が確認できて私としては満足ですね。

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