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金沢城の化け狸ダンジョン 終

 私は金沢市の冒険者ギルドにたどりついて、インフォメーションに向かいます。

 冒険者ギルドは二十四時間対応してくれるのでありがたいです。


「すみません」

「冒険者の方ですか? 今、緊急事態でして」

「あっ、そのことについてなのですが?」

「あなたも冒険者なら、お手伝いをお願いします。いいですか、ラコンキャッスルによって被害が出るかどうか危険な状況なんです。あなたも民衆の避難を手伝うか、下級冒険者でしたら」

「いいから聞いてください!!!」


 いけません。

 あまりにも話を聞いてくれなかったので、大きな声を出してしまいました。

 一階のフロアにいた人がこっちを見て固まっています。


 ですが、これだけ注目されている方が、話は早いですね。


 私はリュックからミズモチさんに出ていただき、ミズモチさんに城狸の魔石を出してもらいました。


 巨大な魔石がインフォメーションに置かれます。


 バスケットボールよりも大きな魔石は、私が今まで見た中でも大きい方だと思います。


「こっ、これは?」

「金沢城ダンジョンのボスモンスターの魔石です」

「えっ?」

「「「「「「えええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」」」」」」


 インフォメーションの女性以外にも、フロアにいた全員が大きな声を出されました。


「私が倒してきました。ですから、城狸が街を襲うことはありません」

「し、城狸? あっあの、ラコンキャッスルのことですか?」

「そういう名前なんですか? すみません。私、金沢の人ではないので、正式名称はわかりません」

「確認を、確認を取りますのでしばらくお待ちください!」


 インフィメーションの女性は、近くにいた冒険者に金沢城公園に向かうように頼んで、ギルドマスターに現場の説明をしておりました。


 私がしばらく待っていると、フロアにいる冒険者たちが遠巻きに私を見ています。


「ミズモチさん、疲れましたね」


《お腹いっぱい!》


 城狸は私が倒しましたが、あの大きな城狸をミズモチさんが全て食べてしまいました。

 魔石とドロップは残してくれてよかったです。


「君がラコンキャッスルを一人で倒したという冒険者か?」


 スーツ姿に高身長のベリーショートの女性が私の前に立ちました。

 仕事ができる女性という雰囲気をしております。

 私が挨拶をしようと立ち上がると、目線が同じ高さです。


「はい。B級冒険者、阿部秀雄です」

「ふぅ、私は金沢ギルドギルドマスターの直江タシギと言う。とんでもないことをしてくれたね」

「何か問題でも?」


 私、怒られるのでしょうか?


「違うよ! むしろ、感謝している。あんたはとんでもないことをしてくれた」

「えっ?」

「私たちだって、B級ダンジョンを攻略できないわけじゃない。だが、あのダンジョンのボスは、デカすぎた。しかも、ダンジョンと街に近すぎた。あれだけ巨大な魔物が、もしも町で暴れたら大事になっていた。街に被害がなく討伐してくれて、本当にありがとう」


 直江ギルドマスターさんは、私に向かって頭を下げられました。

 その向こうではインフォメーションの女性や、フロアにいた冒険者たちが全員で、私に向かって頭を下げていました。


「街を救ってくれてありがとう。あのダンジョンはあってはいけないダンジョンだ。ボスが邪魔で消滅させることもできなかった。だから、本当にありがとう」

「あっいえ、私は大したことはしていません。全ては私のテイムしているミズモチさんが頑張ってくれたんです」

「ミズモチさん?」

「はい。ミズモチさんです」


 私はミズモチさんをリュックから出ていただいて、直江ギルドマスターさんの前に出しました。


「スライム?」


 直江ギルドマスターが困惑していると、インフィメーションの女性が何かを耳打ちされていました 


「そのスライムが、ラコンキャッスルと戦っていたスライムということか、それにラコンキャッスルの消滅も確認された」

「そうですか」

「ふぅ、とんでもないな。A級モンスターを倒せるスライムとは聞いたことがないよ」


 困った顔で笑う直江ギルドマスターさんは悪い人ではなさそうです。


「他にも魔石やドロップはあるかい?」

「はい」

「なら、買取に色をつけさせてもらうよ。あとは、ダンジョン攻略報酬もつけよう」

「ありがとうございます」


 そのあとは、買取の鑑定をしてもらいました。

 応接間に通されて、ダンジョンブレイクの貢献者としての書類にサインしたりとなんだか大変でした。

 

 それにしてもダンジョンって消滅させられるんですね。


「ほら、買取が終わったよ。冒険者口座に送金しといた」

「ありがとうございます」


 私はギルドマスターさんに声をかけられて、アプリを起動しました。


 元々、最近を稼いだ額が自分でも驚く額でした。

 多少の金額ならどんな金額でも驚かないつもりでした。


 ですが、そこには20,000,000円という数字が入金されたことが記載されていました。


「はっ?」

「A級魔物の魔石が、500万、ドロップや小さな魔石が諸々で500万、そしてダンジョンを消滅させた貢献度が1000万だ。本当はそれ以上を渡しても私はいいと思うんだけどな。B級ダンジョンの相場が、1000万で決まっているんだ。すまないね。ただ、石川県にいる間は、阿部秀雄とミズモチさんいう冒険者に感謝と敬意を払うように、私から伝達させてもらうよ。本当にありがとう」


 あまりにも多大な感謝は恐縮してしまいますね。


「お気遣いしないでください。普通でお願いします」

「ふむ、名を売るのを嫌うか、承知した」

「そうそう、目立つのは良くありません。それでは私はこれで失礼しますね」

「ああ、金沢を、我が街を楽しんでくれ。良い旅を」

「はい。ありがとうございます。それでは」


 私は金沢ギルドの人々から見送られて、冒険者ギルドを出ました。


 

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