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金沢城の化け狸ダンジョン 2

 狸火縄銃部隊を突破した私は警戒しながらも、先へと進みました。

 金沢城公園は広くて、どこに狸が潜んでいるのかわかりません。

 大手門口から入りました。


 お城は見えているのですが、随分と遠くに感じますね。


「ミズモチさん、疲れていませんか?」


《楽しいよ〜!》


「それはよかったです。やっぱりミズモチさんがいればどこまでも行けそうな気がしますね。本日もできればレベルを上げれられたら嬉しいです」


 ドン! ドン! ドン!


「えっ? なんの音ですか?」


 太鼓の音が聞こえて、巨大な馬が現れました。

 真っ赤な毛並みをした馬は太鼓の音に導かれて私の前に姿を見せました。

 馬の上には、黒い毛並みをした巨大な腹を持つ狸がキセルを咥えて現れました。


「なんと巨大な狸さんなのでしょうか? 馬の上に乗っているのでより大きく見えます。ホルスタインミノタウロスを見ていなければ、ブラックビッグベアーさんより大きいですね」


 馬と狸を表せれば、本当に大きいです。


《吾、誰の許しを得て、ここを荒らしとる》


 レベルが上がったおかげで、狸の言うことがわかります。


「申し訳ありません。お邪魔しております」


《なんじゃ吾、わいらの言葉がわっかいや》


 正直、日本語になれない方が、話しているのを頑張って聞いている状態で言葉自体はわかりません。


「少しだけです」


《おうか、なら勝負するがいや! へしねー》


「すいません。何を言われているのか全くわかりません」


 勝負は分かりましたが、へしねーとは死ねとかでしょうか?

 その割には笑顔で楽しそうにされています。


《槍じゃ! 槍をもてー!》


 巨大な狸が五匹で、巨大な槍を持ってきました。

 あの武器だけでも凄いですね。


《逃げんか! くくく、わいは滾りおるの〜! へしねーへしね〜》


 黒狸さんは巨大な狸五匹が必死に持ってきた槍を片手で持って馬から降りました。馬は巨大な狸が変身していたようで、巨大な狸が山ほど溢れ出しました。


 どうやら馬に化けていたようですね。一気に囲まれて四面楚歌です。

 

《心配するんかいや! ならこんなところに来るんやない》


 獰猛な笑みを浮かべた黒狸に、私は息を吐きます。


「変身!」


《なっ! 吾も鬼かいや! うざくらし〜! へしねー》


 黒狸が大きな槍を構えます。


「ミズモチさん、黒狸は私がやります。周りの狸たちの警戒をお願いします」


《任せて〜!》


 頼もしいですね。

 ミズモチさんが居てくれると思えば、何も怖くありません。


「私が相手です」


《ウラャー!!!》


 巨大な槍を振られるのに対して、ここは力試しです。

 白金さんに魔力を注いで黒狸が振るう槍を迎え撃ちます。


「ぐっ!強いですね。でも」


《いじっかしー》


「ふむ。単純な力ならあなたの方が上です。ですが、私には白鬼乙女さんから頂いた装備の差が出ましたね」


 ちょっとだけ愉悦を感じてしまいます。


 私は黒狸のお腹程度しか身長がありません。

 ですが、押し勝てるのは嬉しいです。


《ウラャー!!!》


 黒狸が槍を振り回して攻撃を仕掛けてきました。

 周りの狸たちは、腹を叩いて戦いを盛り上げています。


 ミズモチさんも、プルプルと震えながら応援してくれています。


《ヒデ!イケー!やれー!倒せー!》


 ふふ、嬉しいですね。

 数で応援されるよりも、ミズモチさんに応援される方が嬉しいです。


「黒狸。あなたの動きも、力も、もう十分に分かりました」


《いじっかしー》


「今度はこちらからいきますね。ライト!」


《ウガッ!》


 戦いに集中していた狸全員が目を閉じてしまいました。

 それが目の前であれば、黒狸は槍で目を隠して防いでいました。


「やりますね」


《うざくらしー》


「常の型、柳流奥義オロチ」


 先ほどの黒狸のように白金さんで猛攻を加えます。

 ですが、それは免許皆伝をいただいた必殺技です。


《ウガッ!!!》


 必死に防ごうとしますが、左右上下斜めから押し寄せる猛攻に次第に黒狸が下がり始めます。


「私、一人なら勝てると思いましたか?」


《いじっかしー!!!》


「あなたがここのボスであれば勝てないかもしれません。ですが、あなたからは白鬼乙女さんがいる灰色オーク侍さんや忍者さんには及びません。あなたは強くありません」


 恐怖耐性(中)に反応しない魔物さんは強くなんてありません。


《一斉にかかれー!!!》


 我慢の限界がきた黒狸は、合図を出して他の狸に命令を出しました。


「それももう意味がありませんよ。ミズモチさん」


 ミズモチさんは何もしないで応援してくれていたわけではありません。

 魔力を張り巡らし、小さな魔力が込められた氷がこの辺り一体に風に乗って吹いています。


「ダイヤモンドダスト」


 美しい氷の反射が、私の言葉で一気に凍りついていきます。


「黒狸、決着をつけましょう。初めて私も使うので、どうなるのか分かりません。秘技、夢幻」


 私がスキルを発動すると、黒狸の胸に大きな穴が空いていました。


「私を倒したければ、白鬼乙女さんの手下さんぐらい強い魔物さんをつれてきなさい!」


 ミズモチさんが魔力を込めれば、凍りついた狸さんたちも砕け散って、辺りには綺麗な氷の粒が飛散しております。


「綺麗ですね」


《次〜イコ〜》


 ミズモチさんが私の頭の上に乗って楽しそうにされております。

 いつもは乗せてもらっているので、たまには私がミズモチさんを運びましょう。

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― 新着の感想 ―
ローカルな方言は難しいですね、へしこ・・とは多分関係がありませんね。
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