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カリンさんにご相談

 私は自分でセンスがいい方ではないと思っています。

 服はシンプルなものが好きで、着れればいいと思っている方です。

 カオリさんとデートに行く時も、服屋さんに行って飾られている服をそのまま買うようなタイプです。


 ですから、服装のことは女性に聞けと言うじゃないですか。


「そんで、私のところに来たと?」

「はい。私が話しかけやすい女性で、タツヒコ君を知っている人と言えば、ユイさん、カリンさんです」

「まぁユイは聞いてもね。あの子も独特な服装の趣味しているから、人選はしゃーないか、お姉さんが見繕ってやりますか。そんで、その子が阿部さんの弟子? へぇ〜かっこいい子だね」


 タツヒコ君は、私の影に隠れてカリンさんをチラチラと見ています。

 何でしょうか? 童灯さんや綾波さん、ユイさんと話している時にはこのような態度ではありませんでした。


「どうしたんですか? タツヒコ君」

「きっ、綺麗だ」

「えっ?」


 私は小声で呟くタツヒコ君の言葉に驚いてしまいます。

 確かにカリンさんはハーフ系の美人さんです。

 作業着を着ているのが、男前で話しかけやすさをしています。

 ですが、私服に着替えるとハルカさんに負けないほど、綺麗な人です。

 どうやら、タツヒコ君のタイプだったようですね。


「タツヒコ君は、前にここに来たことがあるんじゃないんですか?」

「前にショップに来たときはおっさんだった」


 えー、私が来るときはカリンさんしか会ったことがないので、驚きです。

 他にも従業員さんがいたんですね。


「何々? 男二人でコソコソ話して? お姉さんを仲間ハズレにするなんて、寂しいなぁ〜」

「あっ、すみません。先ほどの話なのですが、明日の休日を利用してお願いできますか?」

「任せて、阿部さんのお礼も楽しみにしてるよ」

「はい。お礼はさせていただきます」


 私はカリンさんとの約束を取り付けてショップを出ました。

 終始、沈黙を守ったタツヒコ君を連れて廊下に出ると、タツヒコ君が座り込んでしまう。


「むっ、無理だ」

「えっ? 何が無理だというのですか?」

「明日、あの女神と一緒に服を買いに行くなど、僕にはハードルが高すぎる! もっと普通の女性で良いではありませんか? 師匠」

「いや、カリンさんも十分普通の女性ですよ。確かに綺麗ではありますが、むしろ話しかけやすい人です」

「そういう問題じゃないんです! あの人がダメなんです! あの人と二人で買い物なんて? 緊張で死んでしまう」

「あ〜 二人きりでなければいいんですか?」


 つまりは、綺麗すぎるカリンさんと二人きりになれないということでしょうか?


「私も一緒にいきましょうか?」

「お願いします!!!」


 食い気味でしがみつかれました。

 面倒を見ると決めたので、最後まで面倒を見ますが、私自身もどうしていいのかわかりません。


「ということがありまして」


 私は家へと帰ってきて、夕食を頂いております。

 その際に、自分ではわからないことをカオリさんに相談しました。

 本日はカオリさんオリジナルソースのハンバーグです。

 何が違うんでしょうね? 私が作るよりもはるかに美味しいのです。

 ミズモチさんの食も進んでおります。


「なるほど、それは一目惚れですね」

「へっ? 一目惚れ?」

「ええ、そのタツヒコくんはカリンさんを好きになったってことです」

「えええ!!!そんなこと本当にあるんですね」


 私はそういうことに疎いので、全くわかりませんでした。


「でも、大変ですね」

「大変?」

「ええ、私も色々苦労しましたから、恋愛ってやっぱり相性なんです」

「相性ですか?」


 カオリさんが憂いを帯びた顔をしています。

 幸せを感じていますが、カオリさんは私よりも色々な経験をされているので、私が知らない経験があるのでしょうね。


「ええ、特に女性は愛されたい人と、愛したい人がいるんです」

「それは聞いたことがありますね。追いかける方がいいか、追いかけられる方がいいかというやつですね」

「そうです。女性も男性も、追いかけている方が楽しいとは思います。ですが、恋愛はやっぱり相思相愛が一番幸せだと私は思うのです」

「それはそうですね」


 私は、あまり人を追いかけたことがありません。

 すぐに好きになりますが、きっと自分には無理だと諦めてしまうので。


「私はこれまで好きになってもらうことが多くて、追いかけられてきました」


 やっぱりカオリさんは美人ですからね。

 男性であれば、カオリさんに声をかけたくなるのでしょうね。

 それがわかっているから、カオリさんも化粧を濃くして男性避けにしていたのだと思います。


「だけど、自分が追いかけるようになって恋愛が楽しいって知りました」

「えっ?」

「今は、ヒデオさんを追いかける日々ですよ」

「わっ、私もカオリさんに愛されて幸せです」


 カオリさんは妖艶で、私はいつもタジタジになってしまいます。

 ですが、追いかけられて好きだと言ってもらわなければ、私はカオリさんとお付き合いすることはできませんでした。

 

 カリンさんとタツヒコ君はどうなのでしょうか?


 タツヒコ君は一目惚れということなので追いかけるのでしょうね。

 カリンさんは追いかけられたい人なのでしょうか?


 恋愛初心者である私にはあまりにもレベルが高い会話すぎてわかりません。


「明日は、色々と大変ですが頑張ってきてください」

「はっはい! 午前中で終わって帰ってきます」

「ええ、ゴールデンウィークはどこかにいきますか?」

「そうですね。ミズモチさんのために魔力供給ができる場所が近くにある場所ならありがたいです」

「ふふ、なら少し遠出できる場所を考えておきますね」


 カオリさんとミズモチさんと旅行に行くようです。

 どこがいいのかわかりませんが、今から楽しみです。

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