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《近々コミカライズ発売予定》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました  作者: イコ


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新ダンジョン発見 1

 本日は、ミズモチさんと約束していたダンジョン攻略の日です。


 ですが、前回までのミノタウロスダンジョンでは、レベルが上がりにくいかもしれません。


 他のダンジョンはないかユイさんに相談したところ、ミノタウロスと同レベルのスリープシープダンジョンを紹介して頂きました。


 羊さんたちは、冒険者を眠らせてしまう魔法を使うので、厄介なのです。


 スリープシープさんがドロップする、羊毛が高級品として取り扱われています。


 普通の羊毛よりも肌触りや寝心地が良いとされていて、枕などに取り扱われるそうです。


「本日は羊さんですよ。ミズモチさん」


『ニク〜?』


「はい。羊肉はジンギスカンですね。熱々の鉄板で焼くと美味しいでしょうね。煮込み料理とかにも入れるところを見たことがあります。もしも、お肉がドロップしたら、カオリさんにお願いして料理をしてもらいましょうか?」


『ヤバ!スキ〜』


「ふふ、ミズモチさんはカオリさんをお気に入りですね」


 今度、カオリさんにミズモチさんに料理を作ってもらえないかお願いしてみましょう。


「さて、スリープシープさんは魔法を使われるそうなので、十分に注意して行きましょう」


『ハーイ』


 スリープシープダンジョンは、街から少し離れた牧場だった場所にダンジョンができてしまったそうです。大量の羊さんたちは可愛いですね。モコモコです。


「さて、ミノタウロスのように凶暴ではないようですね。羊さんたちは群れを成していますが、こちらに敵意もないようです」


 ミノタウロスのダンジョンはショッピングモールが厳重に警戒されていましたが、牧場は木の柵で区切られているだけです。


「さて、敵意のない羊さんを攻撃するのは、気が引けますね」


 今まではダンジョンに入ると、魔物の方から襲ってきていたので、自衛として戦っていました。ですが、向こうから襲ってこなければ、平和な生活を妨げる悪い人の気分がします。


「ミズモチさん。少し散歩をしましょうか?」


『する〜』


 郊外にある牧場は、都会とは雰囲気が違う様子で喧騒から離れて自然の中へ休暇に来たような気分になりますね。


「ふぅ〜、気持ちいいですね」


『眠いね〜』


「ふふ、そうですね。日当たりも良くて眠気がどこからともなく……はっ! いけません。ミズモチさん。これは罠です!」


『え〜眠い〜』


「してやられました。私たちを油断させて眠らせるつもりだったのですね!」


「「「「メェーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」


 私が眠らないことに気づいたスリープシープが、こちらに群れを成して襲いかかってきます。


「ミズモチさん。いったん逃げましょう」


『ヒデ!眠い〜』


「仕方ありません。抱き上げますよ」


 眠りについてしまったミズモチさんを抱き上げて、牧場の柵へ向かって走り始めました。そこさえ越えれば、避難できるはずです。


 そこまでいけば!


「うっ!」


 私の脇腹に小さなスリープシープが体当たりをしてきました。

 死角から攻撃が脇腹に直撃しました。


「ミズモチさん。すみません。もう少しなのに……」


 私は寝てしまいそうなミズモチさんを、柵の外へと放り投げて自分は鬼人化を発動させます。


「変身!」


 鬼人化することで、スリープシープの動きにも対応できるようになりました。

 ですが、白金さんで受け止めても、大量に押し寄せるスリープシープの群れに押し流されてしまいます。


「ミズモチさん!」


 私の叫びが通じたのかわかりません。

 スリープシープの群れに流されて、元々いた場所よりも随分と遠くまで連れ去られてしまいました。


「ここはどこでしょうか?」


 必死に抵抗したおかげで、スリープシープたちの群れから外れることはできましたが、ミズモチさんとも離れてしまって場所が全くわかりません。


「油断していましたね。ミズモチさんは大丈夫でしょうか? 一先ず帰ることを優先するしかありませんね」


 ハルカさんの教えに、微量の食料と飲み物を常に持参することは言われていましたので、私は困りません。

 ですが、ミズモチさんがお腹を空かせていないのか心配です。


「それにしてもここは薄暗くて、薄気味悪いですね」


 牧場でないことはハッキリしています。

 山の奥まで連れてこられてしまいました。


「牧場はどっちの方角かわかりませんね。山を降りるように意識すればいいのでしょうか? 遭難は2度目ですが、やっぱり怖いですね」


 しばらく歩き続けていると、スリープシープらしき魔物の影が見えました。

 白金さん用意して、倒す準備をします。


 ですが、現れた魔物は、真っ黒な山羊でした。

 三本のツノと、三つの目を持つ魔物は初めて見ます。


「なんでしょうか? スリープシープではありませんよね?」


 恐怖耐性があるにも関わらず恐怖を感じている自分に気付きました。


「まさか、高ランクの魔物ということでしょうか? これは」


 私は察知さんを発動します

 最初から発動してればよかったです。

 魔物の位置から、スリープシープの群れらしき場所を確認できました。


「ここは逃げるが勝ちですね! ライト!」


 暗くなった夜の山を私の光が昼間のように照らして明るくします。

 三つの目が同時に閉じられ、私はその隙に走り出しました。


 察知さんを使って、向かってくる魔物を避けながら、スリープシープの群れがいるであろう方向に走り抜いて、後ろを振り返ると遠くの方で、私を見ている目がありました。


「ハァハァハァ。黒山羊さんは、物凄く危ない気がします!」


 なんとか牧場にたどり着いた私は、スリープシープを見つけて安堵しました。


「牧場に戻ってこれました」


『ヒデ!いた!』


 私が、牧場にたどり着くと、ミズモチさんが出迎えてくれました。


「ミズモチさん! よかったです。無事だったのですね」


『探したよ〜』


「すみません。ちょっと色々ありまして」


 ミズモチさんに会えた安堵で、振り返った私の視界から、黒山羊さんは姿を消していました。


「なんだったのでしょうか?」


 私は、すぐに冒険者ギルドに帰還して、このことをユイさんへ報告しました。

 メッセージで、写真を撮って簡易報告も済ませています。


「ただいま帰りました」

「ヒデオさん。無事でよかったです」

「はい。私は大丈夫です。ですが、調べて頂けましたか?」

「ええ。ですが、未知のダンジョンとして判断されました。近々高ランク冒険者ともう一度ダンジョン探索に行ってもらうことになると思います」


 私はご近所ダンジョンの調査をしたことを思い出して、協力することを申し出ました。


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