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デートリベンジ

 本日の私は、他の方々を怖がらせないために、自分の顔を隠すようにマスクにニット帽をかぶっております。

 ニット帽は深く被れば、目元まで隠せるので眉が無くても大丈夫です。


 伊達メガネをつければ、まつ毛がないこともわからないはずです。


「お待たせしました」


 本日は、お昼前の11時に待ち合わせをしたのですが、カオリさんの方が先にいらしていました。待たせてしまって申し訳ないですね。


「おはようございます!ヒデオさん!今日は、私が先生ですからね!ついて来てください!」

「おはようございます!よろしくお願いします!」


 何故かいつもよりも元気なカオリさんは頼もしいです。

 控えめな印象でしたが、最近は積極的にご自身を変えようとしている姿を見かけます。そんなカオリさんが、本日は引っ張っていってくれるようです。


「ドンキは、よく行かれますか?」

「実は、あまりいったことがないんです。何度か、安いと聞いて、目的の物を買いに行ったことはあるんです。でも、物が多くあり過ぎて、探すことに疲れてしまうんですよね」

「わかります!私も、ずっとお店の中にいると目がチカチカしてきて」


 カオリさんが共感して笑ってくれます。

 笑顔がとても素敵ですね。

 カオリさんの薄化粧にも最近はなれてきて、ドキドキしないで見れるようになりました。何よりも、いつもよりフランクに接してくれるのは嬉しいです。


 本日は、ミズモチさんにも留守番をお願いしてきました。


 実は、白鬼乙女さんから受けた恐怖がなかなか抜けないのです。

 冒険者や魔物に対して、少しだけ怖いなって思うようになっています。

 今までも、冒険者仕事は怖かったです。

 ただ、今まで必死にやってきてから感じていなかっただけで、白鬼乙女さんから受けた恐怖は命の危機を感じるほど、警戒心が強くなったような気がします。


 胸の中で、言い表せない不安を抱いてしまうのです。


「着きましたよ」

「うわ〜相変わらず派手ですね」

「ふふ。見てるだけでは買えないので、入りましょう」


 カオリさんに連れられて、化粧品のコーナーへ入っていきます。

 女性ばかりの化粧品が置かれた場所に、少しだけですが男性の化粧品コーナーがありました。


 付け睫や、眉毛描きなど。男性用も充実しているのですね。

 女性のように長い物ではなく自然な感じに見える長さのものまで売られています。


「凄いんですね」

「最近は、男性も化粧をしますからね。女性ばかりが化粧をする時代は終わったんです。ヒデオさんは、毛が全てなくなったので産毛とかもないと思います。そうすると花粉対策とか、日焼けにも対策をしておかないと皮膚の防護機能が損なわれるんですよ!」


 カオリさんが、色々と説明してくれながら、商品紹介をしてくれます。

 髪以外にも存在していた毛は色々な作用があって、体を守ってくれていたんですね。


 人相的な話で、付け睫と眉を描けばいいと思っていましたが、顔全体に乾燥を防ぐために化粧水と、乳液。それと出かける前用の日焼け止め、パックや花粉防止の潤いマスク、全身に塗るための保湿クリームなど、結構な買い物量でした。


「こんなにしないといけないのですね!!!」

「ヒデオさんは、男性なので化粧を塗っていくことはありません。これはあくまで保湿や花粉防止、あとは対人用の処置です」


 私は色々と楽観的に考えていましたが、体には様々なケアが必要なんですね。


「ふぅ、買い物はこれぐらいにしておきましょう」


 彼これ一時間ほど過ごしていたと思います。

 体は疲れていませんが、心がグッタリしております。


「近くの公園に行きませんか?」

「公園ですか?」


 休憩できるのは嬉しいですが、何もないので本当に休憩だけです。


「はい。今日は私についてきてください」

「わかりました。よろしくお願いします」


 カオリさんについていくと、ベンチに座るのではなく人々から少し離れた芝の上にシートを引き始めました。


「カオリさん。準備がいいですね」

「いえ、これはさっき買ったんです。丁度いいのがあってよかったです」

「えっ!いつの間に!確かに何かしら、カオリさんが買っているのを見かけましたが、シートを買っている姿を見かけませんでした」


 私に説明しながら、このようなものまで買っているカオリさん仕事が出来ますね。本当にいつもありがとうございます。


「そんなことよりも、休憩しましょ」

「はい。それではお邪魔します」


 二人で座ってしまうと場所がなくなるほど小さなシートですが、女性と二人で公園の芝生に座るってデートっぽくて嬉しいです。

 こんなこともしたことがありませんでした。


「はい。水筒を持ってきたのでどうぞ」

「えっ!そんなことまで!ありがとうございます」


 風はそれほどありませんが、少しだけ肌寒い外で暖かいお茶を飲むとホッとします。


「休憩をしたら、化粧を練習しましょうね」

「はい。ご指導よろしくお願いします!」

「それと、そろそろお昼どきですね」

「そうですね。何か食べに行かれますか?」

「いえ、実は用意してきたんです」

「えっ!」


 ご飯をご馳走してお礼をしようと思っていたのに、カオリさんはお弁当箱を出して、広げていきました。何から何まで頭が上がりません。

 カオリさん!完璧すぎです!


「ここまでして頂いて、私は何もお礼ができませんよ!」

「いいです。私がしたいからしているんですから」


 そう言って笑ってくれるカオリさんは、本当に綺麗で……


 なんだか一緒にいて、一番安心してしまいます。


「私、カオリさんがいないと生きていけない。どんどんダメな人になってしまいそうです。まるで天使様です」


 ボソッと呟いた一言は、カオリさんには聞こえていなかったようです。

 何も返事はありませんでした。

 ただ、しばらく間。カオリさん顔が赤く見えたのは気のせいですね。

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ドンドンドン♪ドンキ〜♪鈍器買おて〜♪
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