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124/267

レベル11

 ミノタウロスを問題なく倒すことができましたので、私はその足でお祝いをするためにミヤコさんの店へとやってきました。


「いらっしゃいませ。あら、阿部さんやないの、今日はお一人?」

「すみませんが、スライムも一緒で大丈夫ですか?」


 私の胸ポケットからひょっこりと顔出すミズモチさん。


「あら、可愛ええね。大丈夫ですよ」


 いつも座るカウンターの一番奥へ通してもいました。

 二席だけしかない小さな個室。

 私のお気に入りの場所です。


「ミズモチさん。他の人には気づかれないようにしましょうね」


【進化ミズモチさん】『は〜い!」


 水餅サイズのミズモチさんはテーブルの上に鎮座して、煮物をパクりと食べられました。私では作れない料理をここでは味わうことができます。


 煮物に焼き魚。卵焼きなど、一通り注文させていただきました。


「ミズモチさん、お水です。それと私はビールで乾杯です」


 ーーチン


 小さく鳴った食器の音が、食事を開始する合図になります。

 ミズモチさんが豪快に皿の上に乗った料理を食べていかれます。

 普段は食べられない手のかかった美味しい料理ですからね。

 しっかりと味わって食べてくださいね。


 里芋の煮っ転がしや、ごった煮、豚汁なども心が温まりますね。

 締めはタイ飯の土鍋です。タイを一匹使ったタイ飯は香りも味も最高です。


「どうですか?ミズモチさん」


【進化ミズモチさん】『ウマウマ〜ヒデ〜おいし〜』


 なんだかいつもよりも食べるのがゆっくりなミズモチさんは食事を楽しんでいるように感じます。美味しい物をしっかりと味わっているということでしょうか?


「満足されましたか?」


【進化ミズモチさん】『サイコウ〜』


 ふむ。肉が一番好きではありますが、こういうしっかりと料理された美味しい料理を味わう情緒も兼ね備えているとは、さすがはミズモチさんです。


 本日の収入を全て支払いに使って、ミヤコさんにお礼を伝えます。


「本日はありがとうございました」

「いえいえ、いっぱい食べてもろて嬉しいぐらいやわ。また来てください」

「はい。是非お願いします」


 ほんのりと酔いが回りながら、綺麗なミヤコさんに見送られて帰るのは嬉しいですね。

 家に帰り着くと、ミズモチさんはダンボールへと進んで入って寝てしまいました。

 本日は満足できるほど食事ができたのかもしれませんね。


 お風呂を済ませて、スキルの操作を開始します。


 レベル 11(SP110)


 SPのタッチすると項目が現われました。


 ・魔物の攻撃強化+10

 ・魔物の防御強化+10

 ・魔物の魔法強化+10

 ・魔物の魔法防御強化+10

 ・魔物の異常耐性強化+10

 ・魔物の回復力強化+10

 ・魔物の異常耐性回復+10

 ・魔物の操縦技能

 ・恐怖耐性(中)

 ・鬼人化

 ・Kとの永別


 随分と、ミズモチさんは強くなったように感じますね。


 ただ、やはり気になるのは【Kとの永別】です。


 今まで、この項目に置かれていたことは、全て毛についての内容でした。

 それは湊さんが習得した魅力に匹敵する力だと思います。


 ユウ君やコウガミさんもとても美しい顔立ちに成られて、人を魅力する容姿を手に入れられました。


 永別……つまり、私は一生永遠に、Kとはお別れと言いたいのでしょうか?


 今回の取得スキルは110ポイントです。


【Kとの永別】も110ポイントです。


 スキルを授ける神がいるのでしたら、今回は本気度が強いように感じますね!これまでも一度だけ、スキルポイントを全部使うということがありました。


 つまり、本当にこれが最初で最後ということですかね?


 ーーゴクリ


 私は唾を飲み込んで【Kとの永別】をタップしました。


 そこで初めて詳細が現れます。


 今まで、いくら詳細を見たくても見れなかった。


 Kの全貌を!!!詳細が……


「えっ?」


【ツルピカorフサフサ】you ready OK?


 習得しなければ……ツルピカ確定。


「くっ!ここまで念押ししてくるとは、私に永遠の別れを経験しろというのですね……」


 私はダンボールの中で眠るミズモチさんを見ました。

 このスキルを取ることは、ミズモチさんへの裏切り行為になるのでしょうか?


 この能力を取れば、髪が生えるかもしれません。

 髪の毛がフサフサな自分、それに憧れる人生でした。


 高校時代から髪の毛が細くなり、薄くなったのは二十代でした。

 額から徐々になくなっていき、三十代、四十代と後退の一途でした。


 そして、現在……私は全てを失ってしまった。


 なんでしたら、髪の代わりにツノまで生えてきました。

 あれを黒く塗ってちょんまげだと言い張れないでしょうか?

 いや、流石にちょんまげをしている人がいないことはわかっています。


 ですが、もしもちょんまげと言えるのでしたら私にだって諦めが……


 あれ?おかしいですね。こんなことで涙が……


 髪の薄い人生でした。


 高校時代は、友人にからかわれたことも懐かしい。

 歳をとってハゲと努力をしたり、最近では身入りが良いこともあって薬を乱用してたりもしました。


 ですが効果はなく………覚悟を決める時が来たのかもしれませんね。



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― 新着の感想 ―
Kよさらば・・・
ツルピカ or フサフサ……まさか……結果はランダムだったりして……(゜ロ゜ノ)ノ
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