私の趣味は………
私は久しぶりに自分の趣味について考える機会を得てしまいました。
「あの、ヒデオさんは趣味とかあるんですか?」
カオリさんと二人きりでランチをしている際に、そんな質問を受けました。
趣味とはなんでしょうか?少し前にテレビで見た趣味の定義は、三年続けていれば趣味と呼んで良いと聞いた覚えがあります。
冒険者業は趣味でしょうか?まだ半年ほどなので趣味ではないように思います。
それに趣味というには実益を得られているので副業の方が近いですね。
それではミズモチさんを愛でることでしょうか?
確かに趣味と言っても良いような気がしますが、どうにもしっくりきません。
ふと、子供の頃を思い出してみます。
子供の頃は、有名な野球選手がメジャーに挑戦したり、サッカーのプロチームが出来たりとたくさんの大スターが誕生していました。
インドアだった私はマンガやアニメが好きで某歌に乗せてポーズを取ったりも流行っていました。
戦闘マンガも好きでしたが、様々なスポーツマンガも好きで、バスケットマンガは何度も読んで泣いていました。
最近最新版の映像で映画化されたそうです。
見に行きたいと思いながら、時ばかりが過ぎてしまっています。
周りにいた友人などは、マンガの絵を描ける子が人気者でした。
私などは、絵が下手で、歌もあまり上手に歌えない方でした。
音楽も、ロックバンドやビジュアル系バンド、ラッパーさんたちに憧れる周りについていけない自分がいました。
私はフォークギターを持って歌う二人組などが好きで、今でも大好きなので、ほとんど毎日通勤の間に聞くほどです。
運動は苦手ではありませんでしたが、得意というほど自慢できるほどではありません。むしろ、球技では顔面にボールを当てて倒れたこともあります。
「趣味と呼べるのかわかりませんが、大人になってからスマホを持つようになって、景色を撮るのが好きになりました」
「景色ですか?」
「はい。最近はもっぱらミズモチさんばかり撮影してしまっています。ですが、例えば今の時期でしたら雪に埋まった公園とか、雨が降りしきる花壇などを撮るのが好きです。もちろん、ゴロゴロするミズモチさんとかはすぐに撮影していますので、一番のお気に入りですけどね」
「ふふ、ヒデオさんのフォルダーにはミズモチさんが一杯ですね」
それは仕方ないのです。
ミズモチさんを見ていると、ついついスマホを操作してカメラを起動させたくなるので、スマホは便利なのですが私はほとんどの機能を使えていません。
よくスマホでゲームしている人などを見かけますが、私はゲームもあまり得意ではなくて、スマホの画面をじっと見ているだけで疲れてしまいます。
「カオリさんは、趣味は料理ですか?」
「う~ん、料理は好きなんですけど。本当はマンガとかアニメが好きなんです」
「えっ?そうなんですか?意外ですね」
「そうですか?今はマンガを読むための方法がたくさんあるので、結構そういう人も増えていると思いますよ」
言われて見ればそうですね。
私が生まれる前から有名なマンガはたくさんあります。
この時代になれば、昔以上に溢れていて当たり前ですね。
最近は、会社の忙しさでマンガを読む機会も減って、ミズモチさんとの生活が始まったことで色々なことを思い出しつつあります。
不思議なものですね。
会社だけだった頃は、時間も、健康も、乱れて余裕など感じたことはありませんでした。
ですが、今は冒険者をして週末や平日の夜に身体を動かしても疲れなくなりました。
ミズモチさんがたくさん食べるので、自分もいっぱい食事を取るようにもなりました。
カオリさんにランチを作って貰っているのも、健康を保つ一因なので感謝ですね。
「カオリさんはどんなマンガを読まれるのですか?」
「私は流行の物から、自分が好きなジャンルが多いです」
「そうなりますよね。私は最近読めていませんが、昔はスポーツ物が好きでした」
「ヒデオさんもマンガを読むんですね?ふふ、ヒデオさんがマンガやアニメを見る姿が想像できませんでした」
同じ趣味を持っていることにカオリさんが意外な顔をされます。
「私の子供の頃はたくさんの雑誌やアニメがありましたよ。テレビを付ければ朝の子供劇場や、夕方に再放送されるアニメを見たモノです。
長期休みに入るとアニメが朝からやっていて、古いアニメなどもたくさん見ましたよ。現在はテレビを見る機会も減ってしまったのですが………また、新しいマンガを読みたくなりますね」
マンガもですが、アニメなどの映画にもいけていませんね。
「あっあの。一緒に映画に行きませんか?」
「映画ですか?」
「はい。話題のバスケットを題材した映画が」
「あっ、それは私も丁度見たいと思っていたやつです」
「えっ?ふふ」
「でも、私とでいいですか?」
「はい。一人で行こうかなって思っていたんですが、なかなか一人では」
「わかります!私も行きたいなって思っていたのですが、一人だとまた今度でいいかって」
私たちは互いに笑顔になり、週末に映画に行く約束をしました。
カオリさんとお出かけは楽しみですね。
その前にミズモチさんの魔力補給にいかなければいけませんね。