7. 野口英世
歴史が好きな『モトヤ』と『ソウマ』の何気ない日常。
また『モトヤ』がズレたことを言っているので『ソウマ』が困っています。
こっそり...聞いてみましょう。
【ソウマ】なあ、モトヤ。最近何か趣味とか始めた?
【モトヤ】あ、俺、趣味は「野口英世」だね。
【ソウマ】早速よくわかんないんだけど。趣味が野口英世って何?
【モトヤ】野口英世にハマっててさ、昨日も野口英世のマネして生活してみたんだよね。
【ソウマ】マネするって、細菌でも研究したの?
【モトヤ】いや、さすがに細菌は怖いからさ、まず形から入ったよね。とりあえず野口英世みたいに、睡眠時間3時間にしてみた。
【ソウマ】そこマネるとこじゃねえよ。無理すんなよ。
【モトヤ】いや全然無理じゃないよ。だって寝なければ人生3倍楽しめるってことだからね。
【ソウマ】ポジティブすぎんだろ。野口英世もそんな理由で睡眠削ったんじゃないよ。
【モトヤ】しかもね、朝起きておしゃれなスーツ着てさ、財布には千円札の野口英世100枚入れて、野口英世オンリー生活!
【ソウマ】ただの10万円じゃねえか。ややこしい言い方すんな。
【モトヤ】コンビニでも堂々と「これ、野口英世で払います!」って宣言したよ。
【ソウマ】それただ現金で払ってるだけだよ。「ペイペイで払います」みたいに言うなよ。
【モトヤ】でもコンビニの店員が変な顔するからさ、「あ、すみません、諭吉はNGなんで」ってフォロー入れた。
【ソウマ】全然フォローになってねえよ。店員困惑するだけだろ。
【モトヤ】あとさ、野口英世って借金が趣味だったらしいじゃん?
【ソウマ】趣味じゃねえわ!あれはただ使いすぎただけだから。
【モトヤ】だから俺も野口英世にならって、思い切って借金デビューしようと思って。
【ソウマ】そのデビューだけはするな。デビューするならギターとかピアノとかにしろよ。
【モトヤ】でも借金した方が人生に刺激があると思わない?
【ソウマ】刺激が強すぎんだよ。ハバネロ程度で満足しとけ。
【モトヤ】それで、昨日銀行行って「野口英世を敬愛してるんで、ぜひ僕にも借金させてください!」って言ったのに、断られちゃったんだよ。
【ソウマ】それ当然だろ!銀行も困っただろうなぁ、歴史上の偉人出されて借金の理由にされても。
【モトヤ】「じゃあ、野口英世の生まれ変わりなんです」って言ったら、「今生きてる人でお願いします」って言われてさ。
【ソウマ】冷静な対応で良かったよ。よく通報されなかったな。
【モトヤ】そのあと銀行の人に「野口英世は人に迷惑かけません」って言ったら、「あなた今めちゃくちゃ迷惑かけてますよ」って返された。
【ソウマ】銀行員ツッコミうめえな!俺の仕事取らないでくれよ。
【モトヤ】でも野口英世に近づくには、あと何をすればいいかな?
【ソウマ】いや、そもそも近づかなくていいんだよ。お前、研究するわけじゃないんだから。
【モトヤ】研究はしてるよ。「どうやったら一日100枚の野口英世を気持ちよく使い切れるか」って研究。
【ソウマ】ただの散財じゃねえか。研究って言うのやめろよ。
【モトヤ】研究成果としては、「自動販売機が一番気持ちいい」ってことが分かった。
【ソウマ】あれ一気に入れたら迷惑だからな!後ろ詰まっちゃうだろ。
【モトヤ】でもこのまま続けてたら、いつか俺も千円札に載れるかな?
【ソウマ】載れるわけねえだろ。野口英世は世界の研究者だからな?お前、銀行で迷惑かけただけだろ。
【モトヤ】じゃあせめて、百円玉くらいなら……
【ソウマ】硬貨は人物じゃないんだよ。どう頑張っても載れねえんだわ。
【モトヤ】そっかぁ。でも諦めないよ!俺は常にポジティブだからね!
【ソウマ】ポジティブの使い方が間違ってんだよ。野口英世もお前を見て泣いてるよ。
【モトヤ】泣いてるかなぁ?むしろ喜んでくれてると思うけどなぁ。
【ソウマ】それが超ポジティブの怖さだよ!
【モトヤ】次は野口英世にちなんで、実際に黄熱病を治しにアフリカ行ってくるわ。
【ソウマ】それただの観光じゃねえか。絶対、病院にも行かずにサファリとか行くだろ。
【モトヤ】いや、サファリで細菌探すから。
【ソウマ】それただの野生動物観察だよ。いい加減にしろよ。
【モトヤ】いやいや、俺は真剣だって。野口英世は寝食を忘れて研究してたらしいじゃん?だから俺もアフリカで寝食を忘れてサファリ生活するんだよ。
【ソウマ】お前の場合、研究じゃなくて遭難だからな、それ。
【モトヤ】遭難じゃないよ、あえて不便な暮らしをして野口英世を肌で感じるんだよ。きっとそこに発見があるんだ。
【ソウマ】発見するのは「やっぱりホテルが最高」ってことくらいだろ。
【モトヤ】それに、俺が本気でアフリカ行けば、きっと地元の人も「あの野口英世が戻ってきた!」って歓迎してくれると思うんだよね。
【ソウマ】絶対歓迎されないから。むしろ追い返されるぞ。「変な日本人来た」って。
【モトヤ】まあ、俺の中では野口英世だから問題ないよね。
【ソウマ】問題ありまくりだわ。あと野口英世はちゃんと医者の資格持ってたけど、お前、なんの資格も持ってないだろ?
【モトヤ】いや、持ってるよ。野口英世検定3級。
【ソウマ】そんな資格ねえわ!なんだよその怪しい資格!
【モトヤ】知らないの?世界で唯一、野口英世について熱く語れる資格だよ。
【ソウマ】それただのファンだろ。検定って言うなよ。
【モトヤ】だから今、2級目指してるんだよ。2級取るには一ヶ月ずっと野口英世スタイルを続けることが条件らしい。
【ソウマ】それただの苦行じゃねえか。絶対にやめろよ。
【モトヤ】でも、苦行こそ成長の道だからね。野口英世もそうだったでしょ?
【ソウマ】いい感じにカッコいいこと言うなよ。お前の苦行と野口英世の努力を一緒にすんな。
【モトヤ】それよりソウマもやろうよ、野口英世生活。
【ソウマ】絶対やだわ。巻き込むなよ。
【モトヤ】朝からスーツ着て、野口英世を財布にぎゅうぎゅうに詰めて、3時間しか寝ない生活。楽しそうじゃん!
【ソウマ】拷問だろ。ていうか、野口で圧迫された財布の気持ちにもなってみろ。
【モトヤ】ところでさ、野口英世って超おしゃれだったらしいけど、何着くらいスーツ持ってたと思う?
【ソウマ】さあな、意外に多かったかもしれないけど。
【モトヤ】実は1着だけだったらしいんだよね。つまり、彼は世界一の「一張羅マン」なんだよ。
【ソウマ】一張羅マンって言葉初めて聞いたわ。世界一って言っても全然嬉しくないぞ。
【モトヤ】でも、あの偉大な野口英世も実は「一張羅マン」だって知ったら親近感わくでしょ?
【ソウマ】まあ、それは確かにちょっと親近感あるけど…。
【モトヤ】だから俺も一張羅マンとして生きていこうと思う。
【ソウマ】単に貧乏なだけだろ、それ。
【モトヤ】いやいや、一張羅を極めてるだけだよ。ほら、時代はミニマリストだしね。
【ソウマ】いや、お前の場合は単に物買いすぎて金がないだけだろ。野口英世の名前出してごまかすな。
【モトヤ】じゃあ、野口英世も俺も実質ミニマリストで決まりだね!
【ソウマ】勝手に野口英世をミニマリストの先駆者にすんなよ。無理やり流行に乗せるな。
【モトヤ】でも、今気づいたんだけど、俺って野口英世よりもすごい部分があるよね?
【ソウマ】絶対ねえよ。どこがだよ?
【モトヤ】野口英世って千円札になったけど、俺は一万円札を持ってるからね。
【ソウマ】持ってるだけかよ!野口英世だって一万円札持ってたことくらいあるわ!
【モトヤ】まあ、俺もいずれ紙幣になる男だけどね。野口英世に負けてられないし。
【ソウマ】その根拠のない自信、どこから来るんだよ!
【モトヤ】だって野口英世に憧れてる俺は、「未来の紙幣」ってことでしょ?
【ソウマ】違うよ!お前が紙幣になったら、日本終わるわ!
【モトヤ】いや、むしろ始まりだから。俺が日本経済の救世主になれるかもしれないよ?
【ソウマ】どう考えても経済破綻の引き金だわ!頼むから野口英世に謝れよ!
【モトヤ】ごめん、野口先生。やっぱり俺にはまだ早かったみたい。
【ソウマ】今さら気付くなよ!
ありがとうございましたー!!!!
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