6. 源義経
歴史が好きな『モトヤ』と『ソウマ』の何気ない日常。
また『モトヤ』がズレたことを言っているので『ソウマ』が困っています。
こっそり...聞いてみましょう。
【ソウマ】いやぁ、最近ほんと睡眠が浅くてさ。
【モトヤ】あーわかるよ、睡眠不足って辛いよな。俺も昨日、12時間しか寝てないから。
【ソウマ】いや寝すぎだろ!12時間寝てて不足するって、熊か冬眠明けのお前くらいだよ。
【モトヤ】いやいや、睡眠は長ければいいってもんじゃないから。最近よく言うだろ?質が大事だって。
【ソウマ】それはそうだけど、12時間も寝たら質より量だろ、量。
【モトヤ】でも寝るのが下手なんだよ俺。眠りが浅くて、昨日も夢の中でバイトしちゃったんだよ。
【ソウマ】夢の中でバイトってどういうことだよ。
【モトヤ】コンビニでレジ打ちしてさ、お客さんに「源義経、温めますか?」って聞いちゃって。
【ソウマ】いや義経をレンチンするなよ!平安の英雄をホットスナック扱いするな。
【モトヤ】そしたらお客さんも真顔で「あ、お願いします」って答えてさ。
【ソウマ】素直にお願いするな!普通そこで「誰だよそれ!」ってツッコむだろ。
【モトヤ】で、あわててレンジ入れたら、義経がターンテーブルの上でぐるぐる回って「兄上ぇ~」って叫び出したんだよ。
【ソウマ】何を見せられてんだよ、その夢。しかも義経の声、妙にリアルだな。
【モトヤ】びっくりして飛び起きたら、冷凍の唐揚げ握りしめてた。
【ソウマ】現実とリンクすな!しかも冷凍のままかよ。
【モトヤ】そうだよ、カチカチだったよ。冷凍食品を握ったまま寝るなんて、睡眠の質がヤバいってことだろ?
【ソウマ】いや質とかそういうレベルじゃないだろ。病気だよ、もはや。
【モトヤ】俺なりに睡眠の質を上げようとしてさ、色々試したのよ。
【ソウマ】例えばどんなことしたの?
【モトヤ】枕の下に歴史の本を入れて寝るとか。
【ソウマ】枕元に置くだろ普通。枕の下じゃゴツゴツして寝れないじゃん。
【モトヤ】でもそうするとさ、夢の中で義経が出てきて「壇ノ浦が寒い」って文句言うんだよ。
【ソウマ】いや知らんよ義経の寝心地!壇ノ浦の環境まで夢に再現すんな。
【モトヤ】で、今度は快眠グッズを色々買ったんだけどさ。
【ソウマ】どんなの買ったの?
【モトヤ】寝袋型のパジャマとか、耳栓とか、あと睡眠アプリも入れたよ。
【ソウマ】ちゃんと本格的じゃん。それで効果あったの?
【モトヤ】耳栓したら静かすぎて、逆に義経が近づいてくる足音がよく聞こえちゃって怖くて寝れないんだよ。
【ソウマ】どんだけ義経出てくるんだよ。義経にトラウマでもあるのかよ。
【モトヤ】睡眠アプリもさ、「安眠サウンド」を流してくれるんだけど、途中で「義経が平家を追い詰める」ってナレーションが入って眠れない。
【ソウマ】そんな実況アプリねぇだろ!なんだよその歴史ドキュメンタリー型睡眠アプリ。
【モトヤ】それでつい義経応援しちゃってさ、「頑張れ義経、負けるな義経」って声出ちゃって、隣の部屋から壁叩かれたんだよ。
【ソウマ】隣人も驚くわ。深夜に応援上映してると思われるだろ。
【モトヤ】だからさ、ソウマも睡眠には気を付けろよ?
【ソウマ】いや、義経が夢に乱入してくるのはお前だけだろ。
【モトヤ】そうかな?でも俺、昨日ついに義経にツッコまれちゃったよ。
【ソウマ】どういうこと?
【モトヤ】寝ぼけて「壇ノ浦の戦いって、壇蜜と関係ある?」って聞いたら、義経が「関係あるか!」って怒鳴ったんだよ。
【ソウマ】義経がツッコミ役になるな!てか壇蜜と壇ノ浦は無理やりすぎるだろ。
【モトヤ】睡眠の質って難しいよな。
【ソウマ】難しいのはお前の脳内だよ。
【モトヤ】でもさ、睡眠だけじゃなくて、最近ダイエットもしてるんだよ。
【ソウマ】あぁ、ダイエットね。いいじゃん健康的で。
【モトヤ】でもなかなか痩せなくてさ。この前ジムに行って筋トレしたんだけど、インストラクターが厳しくて。
【ソウマ】まぁプロだからな。「頑張れ!」って励ましてくれるだろ?
【モトヤ】それが「もう限界です!」って言ってるのに、「いや、まだ限界じゃない!」って言うんだよ。
【ソウマ】いいトレーナーだよ。限界超えさせてくれるからね。
【モトヤ】だから俺、仕方なく「壇ノ浦で平家と戦った義経より辛いですよ!」って言ったんだ。
【ソウマ】その例えが分かりづらいわ!なぜそこで義経を出すんだよ。
【モトヤ】そしたらインストラクターがさ、「義経の苦労に比べればこんなの楽勝です!」って言い返してきて。
【ソウマ】なんでインストラクターまで乗っかってくるんだよ。変なジムだな。
【モトヤ】で、さらに「筋トレは平家を追い詰めるように!」って叫ぶから、俺も「よし、平家を倒す!」って叫びながらスクワットしたんだよ。
【ソウマ】いや、ジムで平家を倒すな!何と戦ってるんだよ。
【モトヤ】そしたら他のお客さんも影響されちゃってさ、「平家を討てー!」って叫びながら筋トレし始めて。
【ソウマ】お前のせいでジム全体が源平合戦になってんじゃねぇか!
【モトヤ】だからトレーニング終わった後、みんなで「勝利の宴」を開いたんだよ。
【ソウマ】宴とかやるな!痩せるために行ったのに意味ないだろ。
【モトヤ】で、ダイエットだからって全員プロテインで乾杯したんだ。
【ソウマ】プロテインで宴をやるなよ、気持ち悪い。
【モトヤ】でもさ、俺そのジムで新しいダイエット法見つけたんだ。
【ソウマ】どんな方法よ?
【モトヤ】「義経流ダイエット」。
【ソウマ】嫌な予感しかしないけど、何それ?
【モトヤ】兄から追われる恐怖で痩せる方法。
【ソウマ】精神的ストレスダイエットじゃねぇか!義経が可哀想だわ。
【モトヤ】いやでも効果抜群だから。常に背後に兄・頼朝がいると思うことで食欲がなくなる。
【ソウマ】精神状態がヤバすぎるだろ。普通に食事制限と運動しろよ。
【モトヤ】あと、別の方法もあるよ。「壇ノ浦ダイエット」。
【ソウマ】だから、何それ?
【モトヤ】水中で激しく運動することで、脂肪を壇ノ浦に沈めるっていう…。
【ソウマ】脂肪を壇ノ浦に沈めるな!てか、それただの水泳だろ。
【モトヤ】いやいや、平家が沈んだ壇ノ浦だからこそ意味があるんだよ。
【ソウマ】いや、意味ねぇよ。無理やり歴史に絡めんな。
【モトヤ】あと「弁慶ダイエット」もあるけど聞く?
【ソウマ】一応聞くけど、何だよそれは?
【モトヤ】立ったまま食べ物を拒否して筋力を鍛える。
【ソウマ】それただの断食と筋トレだよ!五条大橋で義経を守った弁慶に失礼だわ。
【モトヤ】しかも効果がないときは最後に弁慶みたいに立ったまま寝る。
【ソウマ】寝るのかよ!そこは寝ちゃダメだろ。
【モトヤ】しかも立ったまま寝るからさ、睡眠の質も悪くなってまた義経の夢を見るんだよね。
【ソウマ】また義経が出るのかよ!もうトラウマじゃん!
【モトヤ】まぁ、そうやってダイエットと睡眠を同時に克服する方法を見つけたんだよ。
【ソウマ】お前が克服したのは義経への恐怖心だけだろ。
【モトヤ】いや、でもジムのおかげで最近体重減ってきてさ。
【ソウマ】そうなんだ、それはよかったな。ちなみに何キロくらい痩せたの?
【モトヤ】それが0.5kgくらい減ってた。
【ソウマ】誤差だよ!誤差!それ義経関係なく普通の体重変動だから。
【モトヤ】でも俺的には、平家に圧勝したくらいの気持ちなんだよ。
【ソウマ】その感覚がすでに大敗北だよ。
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