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解決

翌日。

ルキの片腕に座る様に抱えられたまま登校してきたニカ。

クラスメイト達は、思わず二度見してしまう。


身なりに無頓着で瓶底眼鏡に伸びっぱなし前髪、短時間で出来るからと背中に垂らした三つ編みお下げだったニカが、変貌を遂げていた。


瓶底眼鏡は外し、くりっとした溢れんばかりに大きな空色の瞳がきょろきょろとクラスメイト達に向けられる。

前髪は綺麗に切り揃えられ、眉毛にかかっている。丁寧に巻かれた髪の毛はふわふわと背中を覆い、まるで人形の様だ。


ルキはニカに頬擦りしようとしては小さな掌に拒まれている。


「ルキ」

「ん? あぁ、アマリリス、今後ニカと昼食とるからごめんな」

「ふぅん?」


腕を組んでじっとりとアマリリスはニカを見つめる。

ニカはぱちり、とひとつ瞬きをした。小さな唇が動く。


「ルキ、私の。私の婚約者。鬱陶しいけど」

「あぁら、やっと認めましたのね」

「前から、認めてた」

「好きなんでしょう。嫉妬したんでしょう」

「いつも、構ってきたのに。急に、来なくなった」


なにかが吹っ切れたのか、ルキは感極まった様にニカを抱きしめて、頬擦りしようとしたが、ぺち、と気の抜ける音を鳴らし、ニカに頬を叩かれている。


「それは、寂しい。と、思った」


下唇を突き出し、上目遣いにアマリリスを見るニカに、アマリリスも耐えきれなくなって、ルキから引き剥がして抱きしめる。


「やぁだ、可愛い!」

「!?」


ニカは、アマリリスがルキの事を好きなのだと思っていた。だから、婚約解消を勧めてくるのだと。

むしろ、アマリリスはじれったいルキとニカにちょっかいをかけていただけに過ぎない。


「私、妹が欲しかったんですのよ。あぁ、可愛いわぁ。と言うか、小さいし細過ぎますわ、食べなさい。ルキはお返ししますから、ちゃんと食べなさい。いえ、むしろ私が食べさせて……」

「ちょっとアマリリス、ニカを返して。ね、ニカ、俺の方がいいでしょ、ね?」

「ん」


アマリリスの腕の隙間からニカはルキに腕を伸ばした。

ぱぁっと花開くような笑顔でルキはニカを抱き寄せた。


「負けませんことよ!」

「いや、うん、色々助かったけど! ニカは譲らん!」


背の高いルキに抱き抱えられたニカは足をぶらぶらと揺らす。

色々と、勘違いしていた様だ。まぁ、いいか、と周りに集まっているクラスメイトに目を向けて、目を細めた。


「騒がしい」

「他人事すぎない? ニカ」

「ルキ、アマリリスばっか」


ルキの肩に体を寄せるニカに、ルキは固まった。固まらざるを得なかった。

今まで一度も、ニカからルキに甘えてきた事はなかったのだから。


「嫉妬最高かも」

「愛に真摯に、愛に偽りなく。これで大丈夫?」

「え、あ、うん」


ニカは窓の外に目を向ける。

高く広がる青空には薄く雲がかかっている。


石像と同じ顔の女性が微笑んでいるのがニカには見えた。

短編で出すか悩んだのですが、書き漏れがあったら追加できる連載の形式にしました。

敢えて書いてないシーンとかもあるのでまた書き足すかもです。


真面目に書くつもりだったんですけど題材が題材なので…

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