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吸血鬼ハンターになったのに、なぜか吸血鬼から重めの愛情を注がれてます  作者: Fujii
第1部:賽は投げられた~あるいは、親友との話
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幕間:~赤の女王~

 ショッピングモールの屋上。室外機が整然と並んだ、立ち入り禁止エリア。

 人知れず瞬時にそこまで跳躍ちょうやくしたマリナは、あきれたようにため息を漏らす。


「最近は話の分かる良いコが増えて、あたしとしては嬉しかったのだけれど。

 まだこんな血気盛んなコもいたのね」


 彼女の目の前には、漆黒の化け物。マリナに対して、威嚇いかくのうなり声をあげている。


「あたしが誰なのか、知らないわけがないわよね?

 ―――わきまえなさい、無礼者が。

 そうすれば、今回は見逃してあげるわ」


 銀の髪を風になびかせながら、マリナは化け物に対して鼻で笑ってみせる。


「面白いモノを見つけて、せっかく良い気分だったのに……。

 あたしの楽しみに、水を差さないでくれる?」


 マリナの冷たい視線を受けると、化け物は身を低くし、いつでも飛びかかれるような体勢を取った。


「そう、あくまで反抗するの」


 マリナのたおやかな手に、紅い光が宿る。紅蓮ぐれんの炎にも似た深紅の揺らめきが、彼女の全身に広がっていく。

 化け物は短く吠えると、大口を開けてマリナに飛びかかった。


「不届き者には、お仕置きが必要ね」


 飛びかかってきた化け物に対して、虫でも追い払うかのように、マリナは軽く手を振った。

 そのひと払いで、化け物は派手に吹き飛び、室外機にぶつかって地面に倒れ伏した。


 硬質な靴音を響かせ、マリナは悠然と化け物へと歩み寄る。


「いい? あなたの主人に伝えなさい。

 ―――次はない、とね」


 マリナは整ったかんばせ侮蔑ぶべつの色を宿しながら、ヒールで化け物の胸部を踏みつけた。

 全体重をそのヒールに乗せ、苦痛にあえいでいる化け物を睥睨へいげいする。


「たかが新参者の従属種じゅうぞくしゅ風情(ふぜい)が、調子に乗るんじゃないわよ。

 アレはあたしのモノ。お前ごときが触れていいモノではないと、肝に銘じておきなさい?」


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