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第63話 嘘は付いてない

「よっと……へへ、やっぱりあくどい事やってるだけあって、結構溜め込んでたな」


「それなりに使えるマジックアイテムとかもあるね」


「…………」


ギールは金庫の中にしまわれていた硬貨の量に……唖然とした。


(幾ら何でも……多過ぎないか)


つい先日までギールの懐にあった金額を、優に超えている。


「おいおいギール、驚き過ぎだって」


「いや、そう言われましても」


「この金全部があいつらの利益って訳じゃねぇだろ。俺たちと同じで、誰かを潰したり拷問したりするにも、そのための準備費用が必要なんだよ」


「ガリウの言う通りだね。まっ、その費用も今は僕たちの手の中にある訳だけど」


パルダがささっと金庫の中に入っていた金額を三等分にし、ギールがマジックアイテムを鑑定。


三人ともこれが欲しいという意見を出し合い、特に揉め事が起こることなく配分も終了。


(白金貨が二十枚と、金貨が六十枚……霊化の指輪に勝るとも劣らないマジックアイテムが二つ……美味し過ぎるだろ)


配分された報酬を目の前にし、ギールは勃起していた。

高ランクのモンスターを倒すことで、それらの素材を売って大金を得ることが出来るが、当然……リスクが高い。


(スキルを奪えないのは惜しい……でも、全てのスキルを使用しても構わない状況なら……俺一人でやれるんじゃないか?)


二人と別れた後、ベッドの上でアホなことを考え始めていた。


しかし、直ぐに自分で自分の頬を軽く殴った。


「アホか、馬鹿たれが。流石に調子乗り過ぎだって話だ……今回は、パルダさんとガリウさんがいたから、偶々上手くいっただけだ」


確かにギールの身体能力は竜魂の実を食べた影響もあって、非常に優れていると言える。

スキルの多さに限れば、既に世界一かもしれない。


だが、保有しているスキルの数が多いからといって、殺されることなく確実に裏の組織を一人で潰せるとは限らない。


「金庫を盗むだけだとしても……別にそういう訓練や実戦ばかり行ってきた訳じゃないしな」


斥候の真似事であれば、何度も行ってきた。

一応それなりに自信はあるが、暗殺者の真似事は殆どしたことがない。


「金は力だけど……おっかない連中に睨まれそうだし……うん、止めとこう止めとこう」


裏の組織が一つ潰れれば、困るのはそこに依頼をしていた権力者や金を持つ者たち。


裏の組織自体はクロックだけではないが……その組織と懇意にしている者たちがいる。

そういった者たちからすれば、懇意にしている組織を潰した連中を潰してやりたい……そう思い、実行に移してもおかしくない。


(明日からは……良さげな魔剣でも探そう)


翌日からは自身が使う魔剣探しと、今度は壁を越えるための相手探しを同時に行う。


朝から武器屋などを訪れていると……一人の美女と、一人の美少女と遭遇。


「あら、ギールじゃない」


「フランさん」


声をかけてきた人物はアミーディオのパーティーメンバーであるフラン。

そして隣にいる美少女はギールがリスクを背負って変態クソ貴族から助けた、シール・サーブレット。


目の前の青年が自分を助けてくれた人物だと思い出し、シールは慌てて一歩踏み出した。


「あの、先日は助けていただき、ありがとうございます!! 本当に……本当に、感謝してます!!!」


腰を九十度に折り、綺麗な姿勢で恩人に感謝の気持ちを伝える。

そんなシールの態度に少々戸惑うギール。


「お礼の言葉なら、もう聞いたから大丈夫だぞ」


「そういう訳にはいきません」


ギールの言う通り、シールは恩人に対して救ってくれた礼は伝えていた。

しかし……それは非常に泣きじゃくった状態。

本人としては思い出すだけでも恥ずかしい状態だったが、そうなるのも仕方ない恐ろしさがあった。


「ギールさんが、私を救うためにどれだけの犠牲を背負ったか……本当に、感謝してもしきれません」


一歩……運命が違っていれば、ギールは牢屋の中。

無理矢理警備兵の拘束から抜けようとすれば……結局犯罪者であることに変わりはない。


犯罪者になるかもしれない覚悟を背負い、自分を助けようとしてくれた。

シールにとって……ギールはまさに物語の中に出てくるような救世主……メシア。


「……分かった。感謝の気持ちは受け取っておく。だから、頭を上げてくれ」


貴族令嬢の救出……過去に体験したことがなかった訳ではない。


そういった依頼に関わったことはあるが、主に礼を言われるのはパーティーのイケメン代表であるレオル。

ギール(タレン)は今まで貴族令嬢どころか、美女や美少女にきっちり頭を下げて感謝の意を伝えてもらったことなど、一度もなかった。


「良かったわね、面と向かて感謝の気持ちを伝えられて」


「はい!!」


「ところでギール、何を探してたの?」


「ちょっと良い魔剣はないかと思って」


「魔剣? 魔砲剣じゃなくて?」


「はい、魔剣です」


相手が大先輩の一人ということもあり、ギールのお口は少々軽くなっていた。

とはいえ、フランが相手であれば嘘を付いたところで、見抜かれる可能性が非常に高い。


(短剣がメイン武器じゃないのかしら? どう見てもあの短剣はメインクラスの武器だけど……もしかして、ギールも私やアミーディオと同じ?)


フランの正式な名前は……フラン・チェスカ。

アミーディオと同じく貴族出身の冒険者。

二人とも親と仲違いして家から追い出されたわけではない為、冒険者として活動を始めた時点でそれなりに金を持っていた。


フランから見てギールはそれなりに成功している部類に思えるが、先日自分たちがシールの溜めに支払ってくれたおおよその金額を返したとはいえ、そこまで余裕があるとは思えない。


(短剣を使えるって話してた時の眼は嘘じゃなかった。でも……今魔剣を欲しているギールの眼も……嘘じゃないわね)


軽く話し終えた三人は別れ、ギールは再び魔剣と情報探しを行う。


シールとしてはもう少し一緒にギールと話したいという思いがあったものの、フランはフランでギールがどういった目的で冒険者活動をしているのか……おおよそ見当が付いている。


その為、知り合いではない訳ではないが、それでもあまり武器選びなどに付き添わない方が良いと思い、シールの手を引いてギールと別れた。


それから数日後、ギールは幸運にも好みである魔剣を手に入れ、悪くない情報も手に入ったため、アミーディオたちに別れを告げてから直ぐに次の目的地に出発した。

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