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第62話 殺られて当然だよな

「へっへっへ! 裏組織に殴り込もうなんて、歳に反してやるじゃねぇか!!」


「いや、お二人が助けてくれると知ったからの対応というか……俺自体、そんな

大したもんじゃないんで」


アミ―ディオ・シュルパートのパーティーメンバーである虎人族のアタッカー、ガリウの参加が決定。


作戦決行の前日、二人は勿論ガリウの奢りでカクテルを呑んでいた。


「相変わらず謙遜する奴だな~」


アミーディオと同じく、ギールが口にする言葉は完全に謙遜だと把握しているものの、そこまで嫌な気分ではなかった。


(つっても、本気でやりゃギール一人で潰しちまいそうだよな。パルダから教えてもらったが、おそらく壁を三つ超えた奴が一人……もしくはもう一人いるかって戦力だよな……こいつがどんな手札を持ってるのか知らねぇが、ほっとけば一人でも潰しそうではあるよな)


正直なところ……ガリウとしては、自分たちのパーティーに勧誘したい気持ちがあった。

年齢は自分たちと比べて一回り以上下ではあるものの、それを気にしない程の強さを感じる。


とはいえ、同じ気持ちを持つリーダーのアミーディオから止めとけと言われているからこそ、吞みの席でも勧誘の言葉は口にしなかった。


「やっぱりあれか、派手に潰すか?」


「相手が屑連中とはいえ、目立てば面倒なので、なるべく粛々と潰したいですね」


「オーケーオーケー、任せな。こう見えて、そういう戦り方も出来るからな」


パルダには及ばないもののガリウの体は十分に巨漢と言えるサイズ。


しかし、ネコ科特有の俊敏さも持っており、軽快なステップで首を斬り裂き、粛々と殺すという動きも可能。


「そういえば……潰せば色々と見つかるじゃないですか。そういうのって、どうしたら良いんですか?」


「あぁ~~、確かに色々と見つかるな……とりあえず、金とかに関しては俺らで別ければ良いか」


裏組織のアジトを潰せば……当然、色々な者が見つかる。


「まっ、面倒な書類とか俺らに任せとけ。喧嘩売ってきた連中のそういう書類を警備兵に届けたことは何回もあるしな」


「本当に頼もしいっすね」


冒険者と言えど、そもそも裏組織に狙われたとしても、そう簡単にやり返そうとはしない。


単純にビビっているというだけの話ではなく、裏組織と言えど……権力者たちがよく使う組織であるため、知らないところで面倒な者たちから恨みを買ってしまう可能性がある。


「そもそも、ギールを狙おうとした奴の意識は、俺たちに向けねぇと駄目だからな」


ガリウもパルダと同じく、ギールには感謝しかない。


ガリウとしては、オークション時……悪意を持って自分たちの邪魔をしてきた貴族に対し、その場で飛び掛からない様に殺意を……衝動を抑えるので必死だった。


冒険者らしい粗暴な性格ではあったが、それでも長年冒険者として活動していれば、力任せに動くだけで解決出来ない問題が多くある。

仲間を、親友を救ってくれた恩人をそういった問題になるべく巻き込みたくないと思うのは自然なことだった。



翌日の夜……確実、予定の時間までなるべく体を動かし、最初からフルスロットルで動ける準備は万端。


「ここだな……んじゃ、サクッと潰しちまおうか」


「俺が言うことじゃないけど、あまり音を立てるなよ」


「解ってるって」


「……」


三人は丁度予定時間に集合。

クロックのアジトがある建物に到着。


(スキルは欲しいっちゃ欲しいけど……静かに殺すことが先決。今回は諦めよう)


ギールとしては、それなりに実ったスキルを奪うことが出来る大チャンスではあるが、欲をかけば痛い目に合う。

それは過去に何度も体験したことがある為、今回はオルディ・パイプライブを使用しないと決めた。


「やっぱり上から攻めるのが一番だよな」


「下は普通に酒場だからね」


組織によってはがっつりカモフラージュしてないところもあるが、クロックは一回を酒場にして一応カモフラージュをしている。


依頼人などはそこであれよこれよと手順を踏んでクロックに依頼を頼むが……ギールたちの目的はクロックの殲滅。

わざわざ真正面から入る必要はない。


「よっと」


鮮やかな双剣技によって最上階の壁が切断され、パルダが音を立てない様に切断された壁を素早く動いてキャッチし、床に優しく置く。


「ッ!!?? なにも、のぉ……」


「……ふぅ」


三つの強化技を使用し、足音を残さない様に購入した双剣で首を切断。


倒した男は……ラッキーなことに、クロックを束ねるトップ。

万全な状態であればギールの攻撃になんとか対応……もしくは、マジックアイテムの力を借りて何とかすることも出来た。


しかし、壁を切断して侵入してくるとは想定しておらず、懐から毒属性が付与された短剣を取り出すも、刃を侵入者に当てるよりも先に、首を切断されてしまった。


「どうやら、こいつがトップだったみてぇだな」


「だからといって、油断は出来ないけどね」


音を立てず、彼らのお株を奪うような形で潰す。

その心構え通り……音を立てず、一撃で……最悪、数撃で酒場以外の建物に居る人間を次々に殺していく。


パルダやガリウは表情一つ変えることなく殺していく。

そしてギールも何一つ臆することなく素早く動き、双剣で敵を仕留めていく。


人によっては裏の組織に所属しなければ生きていけなかった……そういった人物がいてもおかしくなく、実際に三人はそういった人物と遭遇したことがある。

とはいえ……法に反し、人から恨みを買ってしまうような件を実行してしまったことに変わりはない。

故に、逆に殺されても文句はないよな? というのが三人のスタンス。


「まっ、俺ら三人でやればこんなもんか」


結果としてクロックを潰すのにかかった時間は五分足らず。

見事物音を殆ど立てず、クロック所属の者たちに声を上げる間も与えず……殆ど殲滅は成功した。


「酒場にいる連中は一旦放っておくしかねぇな」


「そうだね。早く回収出来る物を回収してここから出よう」


三人は素早く書類や金庫などを回収し、ほぼ壊滅したクロックのアジトから撤退。


カモフラージュの酒場で働いている残りの構成員が気付くのは、襲撃が起こってから数十分後も後だった。

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